がいしょうせいせいじょうあつすいとうしょう・せいじょうあつすいとうしょう

外傷性正常圧水頭症・正常圧水頭症

脳

目次

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概要

水頭症とは、脳脊髄液の流れが悪くなり、新しく作られた脳脊髄液がどんどん溜まってしまうことで、脳室が大きく拡大する病気です。ヒトの脳や脊髄は、くも膜下腔と呼ばれる空間を満たす液体、脳脊髄液の中に浮かぶように位置しています。脳脊髄液は、脳や脊髄を衝撃から守るクッションのような役割を果たしています。脳脊髄液は、脳内の脳室で1日に450ml程度作られています。脳室で作られた脳脊髄液は、くも膜下腔に流れ、脳や脊髄を循環すると、静脈に吸収されます。このように、脳脊髄液は産生され、くも膜下腔の中を巡り、最後には吸収されるという流れを繰り返します。

水頭症の病変が脳室にあり、脳脊髄液のくも膜下腔への流れが悪くなっている場合には、脳圧が高くなります。しかし、くも膜下腔での循環や吸収が悪い場合には、脳圧が高くならない場合も多くあります。後者を正常圧水頭症といいます。

正常圧水頭症は原因不明なものやくも膜下出血後に合併するもの、加齢によるものがあります。頭部外傷(けが)がきっかけになることもあります。

原因

くも膜下出血や脳内出血を起こした方が、数週間から数か月後に正常圧水頭症を発症するケースが多いですが、原因が不明な場合もあります。

くも膜下出血後に正常圧水頭症を合併する主な理由は、くも膜と脳表にわずかな癒着(くっつくこと)ができ、脳脊髄液の循環が悪くなるためとも考えられています。また、明らかな出血や脳挫傷の所見がないこの他の頭部外傷でも、くも膜と接する脳表にわずかなダメージが起こって、脳脊髄液の循環が悪くなることで正常圧水頭症が起こると考えられています。
 

症状

最もよく見られる症状は、小刻み歩行やすり足、転倒しやすいといった歩行障害です。次に多いのは認知障害です。また、尿失禁も典型的な症状で、これらが三兆候といわれます。

しかし、頭部外傷後には麻痺や記憶障害などが起こりやすく、元から三兆候に似た後遺症がある方は、正常圧水頭症に気づかれにくいこともあります。頭部外傷に対する経過観察のために行ったCT検査で、偶然水頭症がみつかることもあります。
 

検査・診断

検査項目は、他の正常圧水頭症の検査と同じです。

画像検査

撮影した画像で脳室の拡大を確認します。画像検査はCTとMRIで行います。くも膜下腔の幅が部位によって不均等であることは正常圧水頭症の重要な所見です。

髄液検査

髄液検査では、脳脊髄液の圧や性状を検査します。正常圧水頭症では圧が正常であることが特徴です。また補助的な検査として、腰椎に針を刺して脳脊髄液を30mlほど放出し、その後に症状が改善するかみることがあります。この検査はタップテストと呼ばれ、現在でも診断の上で最も有力な検査としてガイドラインにも記述されています。
 

治療

主にシャント術という手術が行われます。一般的に行われるシャント術はV-Pシャント術という方法です。具体的には、脳室に細いカテーテルを入れて、首から胸部、腹部の皮下を通し、カテーテルの末端を腹腔に入れ、脳脊髄液の新しい循環経路を作ります。この経路を作ることで、過剰な脳脊髄液が別経路で循環、吸収され、諸症状の改善につながります。シャントのカテーテルや圧を調節するバルブは一生涯埋め込むことになります。ただし、感染が起こったり故障したりした場合には、新しいものに取り換えます。

腰のくも膜下腔から腹腔へ流すL-Pシャント術が行われることもあります。

ただし、これらの治療は外傷による正常圧水頭症の症状を改善することができても、頭部外傷自体の後遺症には効果ありません。頭部外傷によって植物状態になったケースや重篤な麻痺などが生じたケースでは、偶然水頭症が発見されても治療を行わずに経過観察をすることもあります。
 

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