にょうかんけっせきしょう

尿管結石症

同義語
尿管結石
最終更新日:
2023年04月21日
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2023/04/21
更新しました
2017/04/25
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概要

尿管結石とは腎臓と膀胱をつなぐ尿の通り道である“尿管”に結石が生じ、強い痛みなどの症状が現れることをいいます。腎臓、尿管、膀胱、尿道に生じる結石は総称して“尿路結石”と呼ばれることもあり、なかでも腎臓、尿管の結石を“上部尿路結石”、膀胱、尿道の結石を“下部尿路結石”といいます。

『尿路結石診療ガイドライン 第2版 2013年版』によれば、尿管結石を含む上部尿路結石は、尿路結石全体の96%ほどを占めるといわれています。また尿路結石全体を通じて男女比は2.4:1と男性に多いことが分かっています。

種類

尿管結石の原因となる結石の成分は複数あり、それぞれ発生頻度や原因、治療方法などが異なります。

カルシウム結石

結石の中でももっとも頻度が高いことで知られています。シュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムがあります。

尿酸結石

高尿酸血症や高尿酸尿、痛風などのある方に生じることがあるほか、尿酸の排泄を促す治療薬によって生じる場合もあります。

感染結石

リン酸マグネシウムアンモニウムやカーボネイトアパタイトなどがあり、尿路感染症を原因に生じることが一般的です。

シスチン結石

腎臓の遺伝性疾患の1つ“シスチン尿症”によって生じることがあります。

原因

尿管結石は腎臓内で結石が生じ、それが尿管に移動してくることで生じます。結石は尿中でシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸などが飽和状態になり、結石の前段階である“結晶”が生じることをきっかけに発生します。結晶はごく小さなものですが、その表面にさらにシュウ酸やリン酸、カルシウムが付着していくと、徐々に大きくなり、固まることで結石が形成されます。

結石が生じる原因

結石が生じる過程には体質、代謝異常、内分泌疾患、生活習慣など、さまざまな要因が関係していると考えられています。たとえば腎臓から尿管、膀胱、尿道までを指す“尿路”に変形などがあると、尿が停滞しやすくなるため結石ができやすくなるといわれています。また、入院などで寝たきりの状態が続く方は尿が停滞しやすいほか、骨の吸収も促進されやすいため、結石ができやすくなります。そのほかにも、高カルシウム尿症、高シュウ酸尿症のような代謝異常のある方、尿がアルカリに傾いている方、痛風高尿酸血症の方なども結石ができやすいと考えられます。

生活習慣については食生活が影響していると考えられており、特に肉や糖質の取り過ぎ、カルシウム不足、お酒の飲みすぎなどが関与していると考えられます。そのほか、以下のような治療薬が原因で結石が生じる方もいます。

結石発生の原因となる主な治療薬

  • アセタゾラミド(緑内障の治療薬)
  • プロベネシド(痛風の治療薬)など

症状

尿管結石では、腎臓で発生した結石が尿管へ移動し、尿の通り道を(ふさ)いでしまうことにより、腰や背中、脇腹、下腹部などに激しい痛みが生じることがあります。このような痛みの発作を“疝痛(せんつう)発作”といいます。疝痛発作は朝方や就寝中に起こりやすく、痛みとともに吐き気や嘔吐を伴う方もいます。そのほか、結石が尿管の粘膜と擦れることによって、血尿が生じることもあります。

結石が尿管から膀胱へ落ちていく過程で疝痛発作は生じなくなり、その代わりに下腹部の痛みや頻尿・残尿感が現れることがあります。結石が完全に膀胱に落ちると、これらの症状も消失することが一般的です。

 

検査・診断

尿管結石が疑われる症状がある場合、まずは尿検査と超音波検査が行われることが一般的です。尿検査では血尿の有無や結石の成分、尿路感染の有無などが分かるほか、尿の成分を測定することによって結石の原因を見極められる可能性があります。また超音波検査では腎臓を観察し、尿管が詰まることによって腎臓が腫れる“水腎症”が生じていないかどうか確認します。なお、腎臓にある結石は超音波検査で確認が可能ですが、尿管にある結石を超音波検査で確認するのは困難です。

これらに加えて、全身状態や尿管結石の原因、位置などを確認するために、“血液検査”“画像検査”“結石成分分析”などが行われることもあります。

また、症状がない場合でも健診の尿検査などをきっかけに発見される場合があります。

血液検査

血液検査を行い、腎臓の機能を確認するために血清クレアチニン値などを測定します。そのほか、結石の原因の1つである“副甲状腺機能亢進症”が生じていないか確認するために、ホルモン検査が行われることもあります。

画像検査

尿管結石が疑われる場合、腹部のX線検査やCT検査、造影剤を用いたX線検査などが行われることがあります。近年はあらゆる結石を見つけやすいCT検査が行われる傾向にあります。

結石成分分析

結石が尿とともに自然に排出された場合や、手術などで結石を摘出した場合には、結石の成分を調べる検査を行うことがあります。成分が明らかになることで、原因究明や再発の予防に役立つ場合があります。

治療

尿管結石は、結石の大きさによって治療方法が異なります。

結石が小さい場合

結石が4~5mm以下と小さく、自然に排出される可能性が高いと判断された場合には、まず生活指導によって結石を排出させることが指導されます。また5~10mm以下の尿管結石も一定の確率で1か月以内に自然に排出されることが期待できます。

生活指導として、具体的には水分を1日に2L程度取って尿量を増やしたり、適度な運動をして結石の移動を促したりすることなどが挙げられます。またアルコールや刺激物を取ると、痛みの発作が生じやすくなることもあるため、結石が排出されるまでは控えることが望ましいでしょう。

そのほか尿酸結石やシスチン結石などの場合には、薬物療法で結石を溶かせる可能性があります。

結石が大きい場合

結石の大きさが10mm以上の場合、自然に排出される可能性は低くなります。また、5~10mm以下の結石の中には、1か月経過しても自然に排出されないものもあります。そのため患者の状況や要望にもよりますが、結石が大きい場合や症状が現れてから1か月以内に結石の排出がみられない場合には、合併症を避けるためにも積極的な治療が検討されることが一般的です。

検討される治療方法としては、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や経尿道的尿管結石砕石術(TUL)があります。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL:Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy)

X線検査や超音波検査で結石のある場所を特定し、そこへ向けて体の外から衝撃波を当て、結石を細かく砕く治療方法です。

経尿道的尿管結石砕石術(TUL: Transurethral Uretherolithotripsy)

尿道から尿管鏡を挿入して結石のある位置まで進め、超音波やレーザーなどで結石を砕いて摘出する治療方法です。尿管鏡には、材質が硬いものと細いものがあり、結石のある位置によって使い分けます。

予防

尿管結石は、一度結石が排出された後も高確率で再発するといわれています。そのため再発予防として、水分をよく取ること、肥満を予防すること、食生活を見直すことが大切です。また必要に応じて薬物療法による再発予防が検討されることもあるため、定期的に通院し、健康管理に努めるようにしましょう。

食生活の注意点

  • 食事の時間をゆっくり取り、“早食い”“大食い”は避ける
  • 葉野菜、たけのこ、紅茶などシュウ酸を多く含む食品の取り過ぎに注意する
  • ビールなどプリン体を多く含む食品の取り過ぎに注意する
  • 食塩の過剰摂取を控える
  • カルシウムを適度に取る(1日に600~800mg程度) など

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