たいじょうほうしんごしんけいつう

帯状疱疹後神経痛

最終更新日:
2023年09月20日
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2023/09/20
更新しました
2017/04/25
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概要

帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)とは皮膚に水ぶくれが生じ、皮膚と神経で炎症が起こる“帯状疱疹”が治癒した後も痛みが残ることをいいます。帯状疱疹においてもっとも多い合併症です。80歳までに3人に1人が帯状疱疹にかかり、そのうち20%が帯状疱疹後神経痛を合併するといわれます。特に60歳以上の高齢者に多くみられます。

帯状疱疹とは、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスへの感染が原因となって起こる病気です。水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染するのは大体子どもの頃で、初回感染では“水痘(水ぼうそう)”を引き起こします。

一度感染したウイルスは水痘が治癒した後も体の中の神経に潜み続けます。加齢や過労の蓄積などで免疫が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活性化し帯状疱疹を引き起こします。

帯状疱疹の痛みは、皮疹が現れている間に生じる“急性帯状疱疹痛”と、皮疹が治った後にみられる“帯状疱疹後神経痛”に分けられます。急性帯状疱疹痛のうちに治療を開始することによって帯状疱疹後神経痛のリスクを低下させられると考えられているため、早期に治療を開始することが大切です。

原因

帯状疱疹後神経痛の原因は帯状疱疹の発症です。水痘・帯状疱疹ウイルスの活性化によって神経が傷つき、その過剰興奮で痛みを感じる感覚(痛覚)が過敏になったり、些細な刺激でも痛みを感じやすくなったりすると考えられています。

しかし、帯状疱疹にかかったからといって必ず帯状疱疹後神経痛が起こるというわけではなく、起こりやすさは患者の年齢などによって異なります。帯状疱疹後神経痛のリスクを少しでも減らすためには、帯状疱疹の早期発見・治療をすることが大切です。

症状

帯状疱疹後神経痛では、帯状疱疹皮疹(ひしん)(皮膚にみられる症状)が治まった後も焼けるような痛みや刺すような痛み、あるいは締め付けられるような痛みが持続します。痛みの程度はさまざまで、さほど気にならないという人もいれば、夜も眠れないほど強い症状に悩まされる人もいます。また、軽く触れるだけでも痛みを感じる“アロディニア”を引き起こす人や、患部の感覚が鈍くなる人もいます。

検査・診断

一般に、帯状疱疹が治った後も患部の痛みが続いている場合には帯状疱疹後神経痛が疑われます。帯状疱疹後神経痛かどうかは、患者の病歴や症状、医師による身体診察によって判断されます。

治療

帯状疱疹後神経痛の治療方法としては、薬物療法や神経ブロック療法、レーザー治療、鍼灸治療、脊髄刺激(せきずいしげき)療法などが挙げられます。神経が傷ついたことによって痛みが生じているため治療が効きにくい傾向にあり、患者の状況に合わせてさまざまな治療方法を試す必要があります。

以下では、“薬物療法”“神経ブロック療法”“脊髄刺激療法”について解説します。

薬物療法

神経痛に対しては一般的な鎮痛薬は効果が乏しいことが多く、神経痛治療薬として開発された抗けいれん薬や抗うつ薬が検討されます。また医療用の麻薬や漢方薬が併用されることがあります。これらの治療薬は高齢者に使用すると、ふらつきや口の乾き、眠気などの副作用が現れることもあるため、気になる症状があれば医師や薬剤師に伝えましょう。

複数の治療薬を組み合わせて使用することもあります。医師の説明をよく聞き、相談して使用を検討しましょう。

神経ブロック療法

神経の周りに局所麻酔薬や抗炎症薬(ステロイド薬)を注射することにより、痛みの症状を和らげる治療方法です。合わせて、電極針に高周波を発生させて痛みを緩和する治療(パルス高周波)も行われるようになりました。ただし、神経の周辺には血管も多く、心臓や血管の病気で抗凝固薬を飲んでいる人では治療が行えない可能性があります。

脊髄刺激療法

脊髄(背骨)を電気で刺激して、痛みの信号を違う信号に変換して脳に伝え、痛みを和らげる治療方法です。前述のような治療でも改善がみられない、難治性の帯状疱疹後神経痛に対して検討されます。局所麻酔で背骨の隙間に針を刺して電線を挿入し、電線に電気が流れるようにします。脊髄や神経に傷をつけずに治療が行えることが特徴です。電気刺激装置を体内に埋め込むこともあります。

予防

帯状疱疹後神経痛の予防方法としては、帯状疱疹にかからないこと、帯状疱疹にかかったときには速やかに治療を開始することが挙げられます。

帯状疱疹の予防

帯状疱疹を予防するために、日本では2016年より50歳以上の人を対象とした“帯状疱疹ワクチン”の接種が開始されました。

水痘にかかったことのある人は子どもの頃に水痘・帯状疱疹ウイルスへの免疫ができていますが、これは年齢とともに弱まります。そのため、大人になってからワクチンを接種し、免疫を強化することで帯状疱疹の予防が期待できます。帯状疱疹ワクチンを接種したからといって帯状疱疹にかからなくなるわけではありませんが、発症した場合に重症化を防ぐ効果があると考えられています。

また、帯状疱疹は過労やストレスの蓄積などで免疫が低下したときに発症しやすいことが分かっています。そのため日頃から休養をしっかり取り、ストレスをためすぎない生活を意識することも大切です。

帯状疱疹の早期治療

帯状疱疹の治療薬(抗ウイルス薬)は帯状疱疹にかかって遅くとも3日以内に投与されることで、ウイルスの増殖を防いで皮膚症状や急性期の痛みを改善して重症化を防ぎます。通常は飲み薬ですが、高齢や全身に水ぶくれが出るような重症の患者では入院して点滴で投与されることもあります。

気になる症状があれば速やかに医療機関を受診し、早期に治療を受けられるようにすることが大切です。

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