まんせいべんぴしょう

慢性便秘症

別名:慢性便秘
大腸・小腸

目次

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概要

便秘とは、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されます。また便秘症とは、便秘による症状が現れ、検査や治療を必要とする場合であり、その症状として排便回数減少によるもの(腹痛、腹部膨満(ふくぶぼうまん)など)、硬便によるもの(排便困難、過度の怒責(どせき)など)と便排出障害によるもの(軟便でも排便困難、過度の怒責、残便感とそのための頻回便など)があります。

日本における慢性便秘症は、男性よりも女性に多く、明らかな性差がみられます。特に50歳以下の若年者では女性比率が高く、男女とも加齢と共に有病率は増加し、70歳以降の高齢になると特に男性の比率が増えて性差がなくなる傾向にあります。

原因

慢性便秘症は原発性と続発性に分類されます。

原発性慢性便秘症

原発性慢性便秘症は、病態から以下のように分けられます。

腸管の拡張がない場合

腸管の拡張がない場合、さらに、便が大腸を通過するために要する時間や直腸肛門の機能により、通過時間正常型、通過時間遅延型、便排出障害型に分けられます。

  • 結腸通過時間正常型:食事の内容や量が便秘の原因となり、食生活の改善が必要となる慢性便秘症
  • 結腸通過時間遅延型:大腸の動きが悪く便が腸内に停滞しており、悪化すると慢性偽性腸閉塞や巨大結腸症などに発展する可能性がある状態
  • 便排出障害型:便は大腸を通過し直腸まで降りてきているものの、排便反射の低下などにより便を体外へと出すことができない状態

腸管の拡張がある場合

以下のような原因が考えられます。

  • 慢性偽性腸閉塞:物理的な腸管の閉塞がないにもかかわらず消化管の運動機能障害が起こる病気
  • 巨大結腸症:結腸の神経の異常や炎症性疾患などが原因で、蠕動(ぜんどう)運動が正常に行われず、腸が異常に拡張・肥大する病気

続発性慢性便秘症

慢性便秘症の背景に何らかの基礎疾患が隠れていることがあります。たとえば、大腸がん、甲状腺機能低下症、パーキンソン病、脊髄損傷(せきずいそんしょう)などが挙げられます。また、麻薬や抗精神病薬などの薬剤も続発性慢性便秘症を引き起こします。

症状

慢性便秘症の患者さんのなかには排便回数の低下に苦痛を感じない方も多く、主に排便困難症状を訴えることが多いといわれています。

排便困難症状とは排便時のいきみ、残便感、頻回便(便が出ず何回もトイレに行くこと)、肛門の閉塞感や違和感などを指します。

このほか、腹痛、腹部膨満感、食欲不振などさまざまな症状がみられます。

検査・診断

問診

問診で医師に症状などを詳しく伝えることが重要です。排便困難症状や便の性状、症状の出現時期など、診断基準を満たした場合に慢性便秘症と診断されます(慢性便秘症診療ガイドライン2017)。

腹部レントゲン検査

腹部レントゲン検査により、大腸が拡張しているかどうかの判定がなされます。

基礎疾患の検査

続発性慢性便秘症が疑われた場合、大腸がんではないことを確認するため、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)や腹部CT検査が行われることがあります。

可能性のある基礎疾患に応じ、血液検査やMRI検査などの各種画像検査が実施されます。

治療

慢性便秘症では、第一に生活習慣の改善が必要です。

食事の改善

特に高齢者では水分を含む食事摂取量が不足していることが多く、この点を是正することが重要です。また、野菜や果物といった高繊維食の摂取も奨励されます。

排便の姿勢

排便姿勢も非常に重要で、前傾姿勢を保つことにより排便がスムーズになることもあります。かつての日本でよく使用されていた和式便器は、排便時の姿勢という観点では理想形であるといわれています。

また、足置きの使用も有効な場合があります。

適度な運動

腸管ぜん動を促進するために、適度な運動も推奨されます。20~30分程度のウオーキングや軽いストレッチでも十分とされます。

薬物治療

生活習慣の改善を行いながら、便秘に対する薬剤を使用します。緩下剤や刺激性下剤などがよく用いられます。ただし、下剤の使用時には副作用への注意も必要です。

また、小腸での分泌液を促進することで便を柔らかくする緩下剤も有効とされます。

この他、症状に応じて座薬を組み合わせたり、便秘の周辺症状に対して漢方薬を使用したりする場合もあります。便秘が非常に強い場合は浣腸が使用されることもあります。