クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
Blood
成人T細胞性白血病
成人T細胞白血病は、ヒトT細胞白血病ウイルスに感染した、CD4陽性T細胞を起源とする血液系のがんの一種です。血液中に存在する細胞のなかで、細菌感染や体内でできたがん細胞等と闘うはたらきを持つ白血...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません
血液

成人T細胞性白血病せいじんてぃーさいぼうせいはっけつびょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
掲載しました。
閉じる

概要

成人T細胞白血病は、ヒトT細胞白血病ウイルスに感染した、CD4陽性T細胞を起源とする血液系のがんの一種です。血液中に存在する細胞のなかで、細菌感染や体内でできたがん細胞等と闘うはたらきを持つ白血球は主に顆粒球とリンパ球に、リンパ球はさらにそのはたらきと成熟の場所に応じてBリンパ球とTリンパ球に分けられます。

ヒトT細胞白血病ウイルスは、このTリンパ球のみに感染する腫瘍ウイルスの一種で、特に日本で多く感染者が認められます(主に沖縄や南九州、紀伊半島など、国外の場合はカリブ海沿岸、南米等)。成人T細胞白血病自体は遺伝性の疾患ではないのですが、原因となるヒトT細胞白血病ウイルスが授乳や性交、輸血によって感染するために、結果として家族内で発症する場合もあり得ます。

原因

ヒトT細胞白血病ウイルスの感染が原因です。しかし、ウイルス感染者のうち、生涯で成人T細胞性白血病を発症する確率は4~5%程度であり、また発症までには多くの場合数十年かかることが知られています。このことから、ウイルス感染は必要条件ではあっても十分条件ではないと考えられていますが、その他にどのような要素が白血病の発症を引き起こしているかはまだはっきりとは分かっていません。

また、ウイルス感染がどのように白血病を引き起こすのかについても詳細な仕組みは不明ですが、ウイルスの持つ遺伝子がリンパ球に組み込まれることでそのリンパ球の増殖を促進するようなタンパク質の発現を促すということが現在知られています。

症状

F症状としては全身のリンパ節・肝臓・脾臓の腫大、免疫抑制(に伴い種々の細菌、カビ、ウイルスに感染しやすくなる)、高カルシウム血症、骨への浸潤、皮疹などが認められます。症状の出方や、進行の速度によって主に4つの病型に分類されます。

急性型

もっとも頻繁に認められ(過半数)、進行が早く積極的な治療を行った場合でも予後が診断から数か月~1年程度ともっとも悪い病型です。臓器・リンパ節の腫大、末梢血中の白血球の増加、白血病細胞の増加がみられる他、さまざまな皮膚病変(班状、腫瘤状等)がみられる場合もあり、また脳内に病変を認めることも頻繁にあります。

リンパ腫型

病気の約2割を占め、急性型のように血液中に白血病細胞を認めることはありませんが、全身のリンパ節腫大、高カルシウム血症を起こし病気の予後は急性型と同程度に悪いです。

慢性型

約1割程度で、皮膚病変やリンパ節腫大、末梢血中の白血球増加がみられます。生存期間も多くの場合2~5年程度と急性型やリンパ腫型に比べて長いです。

くすぶり型

もっとも珍しく、リンパ球数は正常、白血病細胞も末梢血中5%以下で皮膚あるいは肺病変以外は無症状のこともしばしばです。生存中央期間(この型の患者さんの半数が亡くなるまでの期間)は3年程度です。

検査・診断

リンパ腫型以外の場合は、採血をして末梢血中の白血球細胞を顕微鏡下で観察したり、細胞表面の抗原を調べたりすることで成人T細胞性白血病の診断につながります。リンパ腫型の場合はリンパ腫の生検が必要です。

また、同じく血液検査によってヒトT細胞白血病ウイルスの感染を確認することが診断に必要となります。この他には、病気の広がり、進行度を確認するために骨髄穿刺・生検(患部の一部を取って,顕微鏡などで調べる検査)、腰椎穿刺、CT検査、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)等も行われます。

治療

くすぶり型や病期進行リスクの低い慢性型では治療なしでも予後が比較的良好です。治療によって免疫抑制を悪化させる場合もあるため最初は経過観察とします。予後が不良な急性型、リンパ腫型、一部の慢性型では、複数の化学療法薬を組み合わせた治療法(VCAP-AMP-VECP)にさらにモガリツマブというCCR4タンパク質に対する抗体を加えた方法が現在もっともよい治療成績を示しています。

しかし、治療強度が高く副作用が比較的強いことが予想されるため、高齢の方などに対しては治療強度をやや低くしたCHOP療法などと組み合わせた治療法を用います。これらの治療によって高い効果がみられ、かつ適切なドナーが存在する場合には患者さんの元々の健康状態次第で骨髄移植を行う場合もあります。