てあしくちびょう

手足口病

目次

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概要

手足口病とは、口のなかや手足に発疹(ほっしん)が現れる感染症のひとつで、夏季を中心に流行します。4歳くらいまでの幼児が発症しやすく、なかでも2歳以下で発症する子どもが多いとされています。

代表的な手足口病の原因ウイルスには、コクサッキーウイルスA16型やエンテロウイルス71型などがあります。多くの子どもは、小学校に入学する年齢を迎える頃までに、これらのウイルスに感染しており、免疫を獲得しているとされます。そのため、大人になってから手足口病を発症するケースは、子どもに比べると多くはありません。

手足口病は、基本的には良好な経過をたどって自然に治る病気です。しかし、発疹などの症状がみられた場合は医療機関を受診し、経過観察することが大切です。経過中に強い頭痛や嘔吐、強い全身倦怠感やむくみが現れた場合は、髄膜炎や脳炎、心筋炎などの重い合併症がないか確認するためにも、医療機関を早期に受診する必要があります。

原因

原因ウイルス

手足口病の原因ウイルスは、大人の手足口病と同様、一種類ではありません。代表的なウイルスとしては、コクサッキーウイルスA16型やエンテロウイルス71型が知られています。また、日本では2009年以降、コクサッキーウイルスA6型が原因となる手足口病が増えています。どのようなウイルスに感染するかにより、引き起こされやすい合併症などは異なります。

感染経路

原因となるウイルスは、次の経路を介して感染します。

飛沫感染

感染している人が咳やくしゃみをした際に、唾液や鼻水などに混ざって排出されたウイルスを取り込むことで、感染することがあります。

経口感染・糞便感染

手足口病の原因ウイルスは、感染している人の便や皮膚にできた水疱(水ぶくれ)の中にも含まれます。これらのものに触れた手を介し、ウイルスを取り込むことで感染が成立することもあります。

お子さんの排泄物を処理した後は手を洗う、日頃から手洗いうがいを習慣づけるといった一般的な対策が、手足口病の予防においても重要です。

症状

原因ウイルスに感染してから、3~5日程度の潜伏期間を経て、次のような症状が現れます。
*コクサッキーウイルスA16型、エンテロウイルス71型の潜伏期間です。

水ぶくれ状の発疹

手足口病では、手のひら・足の裏・口のなかに小さな水ぶくれが生じます。この水ぶくれを水疱(すいほう)とよびます。水疱はおしりやひざに生じることもあります。口腔内の発疹はすぐに破れて潰瘍性になります。熱は出ないことが多いとされます。

手足口病の症状は、3~7日ほど経つと消えていき、治癒に向かいます。手足口病の水ぶくれは、水痘(すいとう)と異なり、消退までの過程で「かさぶた」にならないという特徴があります。

爪の症状

手足口病の原因となっているウイルスにより、特徴的な症状がみられることもあります。たとえば、コクサッキーウイルスA6による手足口病では、水疱のサイズが比較的大きく、発症後数週間を経て爪が剥がれる「爪脱落」がみられる場合もあると報告されています。

以下の症状が出た場合はご注意ください

子どもの手足口病患者さんの大半は、合併症を来すことなく治癒に向かいます。しかし、まれに髄膜炎、脳炎、手足のしびれ、ギランバレー症候群、心筋炎など、重い合併症が生じることがあります。お子さんに次の症状がみられる場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。
・元気がない
・吐いた
・頭痛
・高熱
・発熱が2日以上続いている
・強い全身倦怠感を伴うむくみ、腹痛
など

 

検査・診断

手足口病を診断するための検査は、子どもの場合も大人の場合も基本的に同様です。ほとんどの手足口病は、診察で患者さんに現れている症状(水疱など)を確認することにより診断されます。

原因ウイルスを特定するための検査

一部の医療機関では、必要に応じてウイルスを特定するための検査を行うことがあります。検査には、以下3つの方法があります。
・水疱の内容物、咽頭(いんとう)拭い液、便、直腸拭い液を用いた病原体の同定(ウイルス分離)
・ウイルス遺伝子の特定(PCR法)
・ウイルスに感染した際に体内で作られる抗体の検出(血液検査)

治療

手足口病そのものを治す治療薬は存在しないため、基本的には症状を抑えることを目的とした治療が行われます。たとえば、口内の水疱による痛みや、脱水をコントロールするために、薬や点滴による治療が行われることがあります。これを対症療法といいます。

脱水への対応

水分補給・食事の工夫

手足口病を発症しやすい年齢層(主に4歳頃まで)の子どもは、脱水状態に陥りやすい傾向があるため、こまめに少量ずつ水分を与えることが大切です。

口のなかにできた水疱は強い痛みを伴うため、口から飲食物を摂ることを嫌がる患者さんもいます。このような場合は、痛み止めの薬を使いながら、柔らかく薄味の食べ物を与えることなども必要になります。主治医の説明をよく聞き、必要に応じて食事内容を工夫しましょう。

点滴

脱水が進行し、口からの飲食物の摂取が難しい場合は、点滴による水分の補給も検討されます。

合併症の治療

手足口病は、多くの場合数日で治癒に向かいますが、まれに髄膜炎や脳炎、麻痺、心筋炎などの合併症を発症することがあります。通常の手足口病とは異なる様子がみられた場合には、その患者さんの状態に応じた治療方法が検討・追加されます。

 

予防

手足口病には根本的な治療法がないため、日頃から予防を徹底することが重要視されています。以下は、ご家庭で行える予防法の一例です。

  • 手洗い・うがいを行う
  • 手足口病を発症している患者さんと、箸やタオルを共有しない

など

手足口病を発症した場合、症状がおさまった後も長期間、便のなかにウイルスが排泄されるといわれています。そのため、症状がみられないときでも、子ども・大人、ともにに手洗いやうがいを徹底することが大切です。

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