きかんしえん こども

気管支炎(こども)

肺

目次

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概要

気管支とは、気管から肺にいたるまでの間に位置する部分を指します。気管支炎は、気管支に炎症が生じることから、咳や痰などの呼吸器症状を引き起こす状態を言います。子どもの気管支炎は、発症から治癒まで数日から数週間の経過をたどるウイルス性の急性気管支炎が多くを占めます。数週間から数か月以上の咳や痰を伴う慢性気管支炎は、成人であれば喫煙に関連してよくみられる病気です。しかし、子どもの場合は受動喫煙に加えて、慢性的な感染症、喘息(ぜんそく)や異物誤飲等で生じることがありますが、急性気管支炎に比べると頻度は低いと考えられます。

原因

子どもの気管支炎は多くが急性のものであり、中でもウイルス性(90%以上)、その他細菌やマイコプラズマなどの感染症に伴う急性気管支炎が多くを占めます。原因ウイルスとしては、いわゆる風邪を引き起こすものであり、アデノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルスなどを挙げることができます。また、細菌による気管支炎は、免疫力が弱い状況において好発しやすい傾向にあります。

慢性気管支炎は子どもではより頻度は少ないですが、気管支に対して慢性的な刺激が生じる状況において発症することがあります。具体的な刺激としては、慢性的な呼吸器感染症(何度も繰り返し感染症にかかること)、治療不十分な喘息、受動喫煙、異物誤飲やハウスダスト等の刺激物が原因として挙げることができます。

症状

急性・慢性のどちらにおいても、症状の主体は痰を伴う咳になります。子どもの気管支炎には風邪に関連した急性気管支炎が多いことから、咳や痰が数日から1〜2週間程度続くことが典型的な症状です。また、急性気管支炎を引き起こしている感染症によって、発熱、全身倦怠感(ぜんしんけんたいかん)、筋肉痛、咽頭痛、鼻水など付随する症状は異なってきます。たとえば、アデノウイルスであれば主に夏に流行することも多く、39℃以上になる高熱が1週間前後持続することがあります。また、インフルエンザウイルスが原因の場合は、急激な発熱に加えて筋肉痛や倦怠感(けんたいかん)が全面に生じ、重篤感が強くなります。マイコプラズマは7~8歳頃に発症することが多く、頑固な咳が特徴的です。RSウイルスにおいては、幼児期以降であれば通常の鼻風邪程度で治まることが多いのですが、乳児が罹患(りかん)すると急性細気管支炎と呼ばれる病気を引き起こします。特に生後6か月未満の乳児、心臓や肺に持病のある小児、早産児が病気にかかると呼吸器症状が重症化しやすいことが知られています。

検査・診断

気管支炎の診断には、発症に至るまでのエピソードを明らかにすることがとても大切です。周囲の感染症の流行状況、集団生活の状況、受動喫煙、喘息の既往歴、異物を突然飲んでむせ込んだなど、多くの情報が診断のためには必要です。

検査では、胸部レントゲン写真を行うことがあります。原因によってレントゲン写真の所見はさまざまです。レントゲン写真を始めとした画像検査に加えて、原因に応じてより特別な検査が追加されることがあります。

アデノウイルスやインフルエンザ、RSウイルスでは、咽頭や鼻などから採取した拭い液を利用した迅速検査が適応になります。また、細菌が原因の場合は、培養検査が行われることもあります。培養検査では、痰の中に混入している細菌を繁殖させ、気管支炎を引き起こしている細菌の種類を同定します。同時に、抗生物質が効くかどうかを推定することも可能であり、治療方法の決定に重要な役割を果たします。マイコプラズマでは、マイコプラズマの存在を証明するための血液検査が行われることもあります。

喘息に関連した検査としては、血液検査でアレルギー体質かどうかを判定することもあります。また、気管支喘息が疑われる場合は呼気中の一酸化窒素(NO)を測定することで気道のアレルギー性炎症の評価をすることもあります。

治療

気管支炎の治療は、原因によって大きく異なります。風邪に伴う急性気管支炎の場合は、基本的に対症療法が主体になります。

インフルエンザ

インフルエンザによる急性気管支炎の場合は、抗インフルエンザ薬(オセルタナビル、ザナミビルなど)が使用されることもあります。呼吸器症状の程度や基礎疾患の有無、合併症の併発等を加味しつつ、抗インフルエンザ薬が使用されます。

RSウイルス

RSウイルスに伴う急性細気管支炎の場合、特別な治療法はありませんが、予防のための注射が選択されることがあります。すべての小児が予防のための注射の対象となる訳ではなく、先に挙げたリスク因子(心臓や肺に持病がある、早産児など)がある場合に行います。通常の予防接種と異なり、数回の接種で免疫が獲得されるというものではなく、毎月一回、RSウイルスが流状する冬季を中心に接種を繰り返す必要があります。

細菌など

肺炎球菌やインフルエンザ桿菌(かんきん)、マイコプラズマなどが原因となる気管支炎に対しては、抗生物質を使用することがあります。症状や経過、培養の結果等を加味しながら抗生物質の種類は決定されます。小児における急性気管支炎では、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌()であれば、ペニシリン系やセフェム系と呼ばれる抗生物質が選択されることが多いです。その一方、マイコプラズマはこれらの種類は効果がなく、マクロライド系やテトラサイクリン系と呼ばれる別種類の抗生物質が使用されます。しかし、テトラサイクリン系は、発達段階にある小児において特有の副作用が出現することがあるため(たとえば歯に色素が沈着する)、慎重に適応を検討することが求められます。

喘息

喘息治療においては、気管支を広げるためのβ2刺激薬、アレルギーを抑える抗アレルギー薬、吸入ステロイドなどが症状に応じて使用されます。

誤飲

1歳前後までのお子さんは、はいはいができるようになったり、よちよちしながらも歩けるようになったりするため、行動範囲が徐々に広がります。また、好奇心がとても強い時期であり、手にしたものを何でも口に入れる傾向にあります。そのため、ビー玉やコインなど小さなものを口にしてしまい、誤飲をきたすこともあります。この場合の気管支炎についての根本的な治療は、異物を除去することです。この際に、全身麻酔下での異物除去が必要となる場合もあります。

喫煙などの慢性的な刺激

慢性的な外部刺激による気管炎の場合、原因となっている刺激を除去することが有効です。たとえば、受動喫煙による影響が疑われる際には、ご両親が禁煙をすることも治療方法の一つになります。

以上のように、原因に応じた適切な治療方法を選択することが、とても大切です。