りんきんせいちつえん

淋菌性腟炎

最終更新日
2017年04月25日
Icon close
2017/04/25
掲載しました。

概要

淋菌性腟炎とは、淋菌によって引き起こされる感染症のひとつです。
淋菌は性感染症としての側面が強く、淋菌性腟炎は性活動を介して感染・発症することが多いです。クラミジアやHIVなど、その他の性感染症を引き起こす病原体との合併感染もまれではありません。

また淋菌が男性では性器、女性では腟だけに留まらず、子宮頸管(しきゅうけいかん)、卵管、さらにはお腹の中にまで淋菌が広がることもあります。その結果、慢性的な腹痛が現れたり、不妊症につながったりすることもあるため注意が必要です。

原因

淋菌は日光や乾燥に対して弱いため、空気中などでは短時間のうちに死滅する細菌です。しかし、粘膜中では問題なく生息可能です。そのため腟や男性器、口腔内などに淋菌がいると、性交渉を介して淋菌に感染することが多いです。

オーラルセックスを行うと、口腔内の淋菌が感染性器に感染する、もしくは性器の淋菌が口腔内にうつることがあります。淋菌性腟炎を発症すると、腟の中に淋菌が留まることなく、子宮頸管や卵管、さらにはお腹の中へと広がるリスクもあります。性交渉を介した感染以外にも、母子間の垂直感染があります。胎内感染、産道感染を起こすリスクもあり、赤ちゃんへの影響も考えられます。
 

症状

自覚症状が現れる場合もありますが、発症しても無症状なことが少なくありません。そのため、知らず知らずのうちにパートナーにうつしてしまっていることもあります。自覚できる症状としては、黄色のおりものが増える・腟のかゆみなどを挙げることができます。

また、原因の項目で記載したように、淋菌は腟からさらに広範囲に広がるリスクがあります。卵管など周囲組織に広がり慢性的な炎症が生じると、不妊の原因となる場合があります。お腹の中に拡がり炎症が起こると、慢性的な腹痛が現れます。

淋菌感染による赤ちゃんへの影響も無視することはできません。女性の淋菌性腟炎がきっかけとなり早産流産低出生体重児の娩出につながることもあります。また、赤ちゃんが産道感染することで、淋菌性結膜炎敗血症などを起こすこともあります。
 

検査・診断

淋菌性腟炎の診断は、腟周辺の検体を用いた検査が重要です。淋菌性腟炎では、腟に病原体が限局しているとは限りません。尿を用いて淋菌の存在を確認することもあります。

淋菌が存在することを直接確認するために培養検査を行ったり、顕微鏡を用いて肉眼的に確認したりすることがあります。また、淋菌に関連した遺伝子を検出可能か調べる遺伝子検査を実施することも多いです。
 

治療

無症状のまま経過することも多い淋菌性腟炎ですが、パートナーへの感染リスク、不妊症子宮外妊娠、赤ちゃんへの影響を考慮して、積極的に治療します。
治療の中心は抗生物質です。耐性菌(抗菌薬に対して抵抗力を持ち、抗菌薬が効かなくなった細菌)の増加も懸念されている状況であり、医師の指示にしたがって治療を受けるようにしましょう。

淋菌性腟炎ではパートナーが淋菌を保有していると、治療後も再感染・発症が起こるリスクがあります(ピンポン感染)。したがって、淋菌性腟炎の治療では、本人のみならずパートナーも同時に検査・治療する必要があります。

なお淋菌性腟炎では、クラミジアやHIVといったその他の性感染症を合併している可能性もあることから、淋菌と同じく性交渉で感染しうるその他の病原体の検査・治療を実施することもあります。

こちらも気になることはありますか?
▶︎不妊治療について詳しく知りたい方はこちら

医師の方へ

淋菌性腟炎の詳細や論文等の医師向け情報を、Medical Note Expertにて調べることができます。

この病気の詳細を調べる

「淋菌性腟炎」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

関連の医療相談が10件あります

※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。