ほうじょうきたい

胞状奇胎

最終更新日:
2023年12月04日
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2023/12/04
更新しました
2017/04/25
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概要

胞状奇胎とは、妊娠した際に胎盤を作る“絨毛細胞(じゅうもうさいぼう)”が異常に増殖し、ブドウやイクラのように子宮の中に充満していく病気です。

妊娠は卵子1つと精子1つが受精して受精卵を形成し、それが子宮内膜に着床することによって生じます。しかし、この受精卵に異常が生じると胞状奇胎を発症すると考えられており、日本では500例の妊娠に1回程度の発生率であるとされています。

胞状奇胎を発症しても、早期の段階では通常の妊娠初期のような微熱、吐き気などの症状が生じるのみです。しかし、時間が経過すると絨毛細胞が異常なスピードで増殖し、腹痛や不正出血を引き起こすようになります。また、胞状奇胎は適切な治療を行っても“絨毛がん”になる可能性があるとされており、定期的な経過観察が必要です。

原因

胞状奇胎の根本的な原因は受精卵の異常によると考えられており、卵子の異常によって精子のDNAのみから発生する“全胞状奇胎”と1つの卵子に2つの精子が受精したことによって生じる“部分胞状奇胎”に分けられます。

なぜこのような受精卵の異常が生じるのか明確な発症メカニズムは解明されていない部分も多いですが、母体が40歳以上になると発症率が高くなることから、妊娠時の年齢などが関与していると考えられています。

症状

胞状奇胎は早期の段階では微熱、吐き気など通常の妊娠初期のような症状が引き起こされます。しかし、胞状奇胎では絨毛細胞の増殖スピードが異常に速く、子宮内にブドウやイクラのように細かい袋状にどんどん増殖していくため、腹痛や不正出血などの症状が現れるようになります。また、妊娠すると体内で産生されるようになる“hCG”というホルモンが通常の妊娠時よりも過剰に分泌され、吐き気や嘔吐などのいわゆる“つわり症状”が非常に重く現れるようになるのも特徴の1つです。また、子宮内の感染症による敗血症や、妊娠週数が進んだ症例では、高血圧、腎機能の異常などがみられるようになることもまれにあります。

なお、胞状奇胎は適切な治療を行っても異常増殖した絨毛細胞が周辺組織に広がっていく“侵入奇胎”に移行し、そのうち1~2%は絨毛がんになるとされています。

検査・診断

胞状奇胎が疑われるときは、以下のような検査が行われます。

(1)画像検査

胞状奇胎は絨毛細胞がブドウやイクラのように袋状に異常増殖して子宮内に充満していくのが特徴的な病気です。診断のためには超音波検査で子宮内の状態を調べる必要があります。

また、進行して絨毛がんに進行していることが疑われるような場合にはCTやMRIなどによる詳しい検査が必要です。

(2)血液検査

胞状奇胎では妊娠すると体内で産生されるようになる“hCG”というホルモンの過剰分泌が生じますので、診断の手がかりの1つとしてhCG値の測定を行うために血液検査が必要となります。また、貧血の有無や腎機能など全身の状態を把握するために血液検査を行うことがあります。

(3)病理検査

胞状奇胎の確定診断を下すには、子宮の内容物を採取して顕微鏡で詳しく観察する病理検査が必要です。

治療

胞状奇胎は、子宮内に増殖した異常な細胞を除去する手術によって治療が行われます。手術方法は流産や人工中絶手術と同じく子宮の内容物を除去します。

なお、胞状奇胎は上述したように絨毛がんに移行することもあるため、慎重な経過観察が必要です。通常は手術を行った約7日後に再び手術を行って完全に子宮の内容物を取り除きます。また、手術後も定期的にhCG値の測定などを行って絨毛がんへの移行の有無を確認するための経過観察が必要となり、半年以上の通院を要します。

予防

胞状奇胎は母体の年齢が高くなると発症率が高くなることが報告されていますが、明確な発症メカニズムは解明されていません。そのため、確実な予防法はないのが現状です。

胞状奇胎は放っておくとがんになることもあるため、適切な治療を受けることが大切です。

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