せきずいしゅよう

脊髄腫瘍

最終更新日:
2023年08月22日
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2023/08/22
更新しました
2017/04/25
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概要

脊髄腫瘍とは、脊髄内や脊柱管内に発生する腫瘍の総称です。

脊髄は脳から続く中枢神経で、脊柱管と呼ばれる背骨の中の空間に存在し、頭蓋骨(ずがいこつ)から続く“硬膜”という膜に保護されています。硬膜の中にはさらに“クモ膜”があり、クモ膜内は“脳脊髄液”という液体で満たされ、その中に脊髄が浮くような形で存在しています。

脊髄腫瘍には、脊髄の中にできる腫瘍(髄内腫瘍)、硬膜内で神経を保護する神経鞘(しんけいしょう)から主に生じる腫瘍(硬膜内髄外腫瘍)、脊柱管内の硬膜外にできる腫瘍(硬膜外腫瘍)があります。それらが神経や脊髄を圧迫すると、さまざまな症状をきたします。

 

種類

脊髄腫瘍は脊椎や脊髄に発生するもの(原発性)と、ほかの臓器から転移したもの(転移性や続発性と呼ばれる)の2 種類があります。

原発性脊髄腫瘍は、脊髄内および脊髄に隣接する組織に発生するもので、良性と悪性があります。一方で続発性脊髄腫瘍は他部位のがん乳がん肺がん前立腺がん甲状腺がんなど)が転移してきたものであるため、いずれも悪性です。また、腫瘍が発生する部位によって“髄内腫瘍”“硬膜外腫瘍”“硬膜内髄外腫瘍”に分けられます。

髄内腫瘍

上衣腫、血管芽腫、星細胞腫、海綿状血管腫(病理学的には血管奇形に分類)などがあります。

硬膜内髄外腫瘍

脊髄腫瘍の中でもっとも多く、良性腫瘍のシュワン細胞腫(神経鞘腫)や髄膜腫などを含みます。

硬膜外腫瘍

多くはがんの転移によるものですが、原発性脊髄腫瘍として血管腫や脂肪腫、神経鞘腫、髄膜腫があります。

原因

脊髄腫瘍にはさまざまな種類がありますが、いずれもはっきりとした原因は分かっていません。多くの場合、遺伝によるものではないといわれていますが、中には遺伝性のもの(神経線維腫症1型、2型、フォン・ヒッペル・リンドウ病など)もみられます。

症状

脊髄腫瘍では、腫瘍が脊髄を圧迫することでさまざまな症状がみられます。

脊髄が直接圧迫されたり、脊髄への血流が妨げられたりすることで組織がむくみや壊死(えし)を起こします。一方、脊髄神経根が圧迫された場合には、その神経が支配する体の部位にしびれや痛み、筋力の低下などを生じます。腫瘍による圧迫が持続することでその支配域にある筋肉が萎縮し、筋力低下や歩行困難になることもあります。

症状は腫瘍が発生する部位によっても異なります。首の部分に位置する頸髄(けいずい)に発生した場合は体幹や手足の感覚障害や麻痺が起こり、胸から腰までに位置する胸髄に発生した場合は胸や腹部の感覚障害や足の運動機能障害が生じます。いずれの場合にも、発症初期には局所の痛みや手足の感覚障害などが現れます。ほかにも、尿失禁や便失禁、勃起不全などがみられることもあります。

検査・診断

脊髄腫瘍が疑われる場合には、診断のためMRI検査などが行われます。

腫瘍の状態を確認するために造影剤を用いたMRI検査を行ったり、手術計画のためCT検査を行ったりすることもあります。また、腫瘍の種類を正確に診断するため、病変を一部採取して顕微鏡で詳しく調べる“生検”を行うこともあります。

治療

脊髄腫瘍の治療では、基本的に腫瘍を切除するための外科的手術が行われます。

悪性腫瘍の場合や転移から起こる続発性脊髄腫瘍の場合は、手術に加え化学療法や放射線療法を追加して行うこともあります。

そのほかにも、それぞれの症状に対する治療が行われます。腫瘍が脊髄を圧迫することで痛みがある場合には鎮痛薬を使用したり、出にくくなった尿を排出するために尿道カテーテルを挿入したりすることもあります。

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