じんふぜん

腎不全

最終更新日:
2022年04月27日
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2022/04/27
更新しました
2017/04/25
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概要

腎不全とは、腎臓の機能が低下する状態のことを指します。

腎臓は血液をろ過して体内の老廃物を取り除き、尿を生成する器官です。そのため、腎不全に陥ると不要な老廃物や水分が体内にたまっていくため、全身にさまざまな症状が現れます。

また、腎臓は血液を作るためのホルモンやカルシウムの吸収に必要な活性型ビタミンDを作り出す器官でもあるため、腎不全が進行すると貧血骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を発症するようになります。

腎不全は、急激に腎機能が悪化する“急性腎不全”と、徐々に腎機能が悪化していく“慢性腎不全”の2つに大きく分類されます。いずれも適切な対処が遅れると腎機能が著しく低下し、最終的には人工透析腎移植などが必要になることもあるため注意が必要です。

原因

腎不全は上述したとおり、“急性腎不全”と“慢性腎不全”の大きく2つに分類されます。それぞれの特徴は次のとおりです。

急性腎不全

急激に腎機能が悪化する腎不全を指します。

急性腎不全はさらに脱水や心不全、大量出血、血圧低下、腎梗塞(じんこうそく)など、腎臓への血流が低下することによって引き起こされる“腎前性腎不全”、急性腎炎や薬剤性腎障害など腎臓自体に何らかの異常が引き起こされることが原因の“腎性腎不全”、前立腺肥大症や尿管結石、膀胱がんなど尿が排出される経路の異常が原因である“腎後性腎不全”に分類されます。

なお正確には“急性腎障害”という単語が用いられますが、“腎前性”“腎性”“腎後性”という表現を用いる際に、慣習的に“急性腎不全”という単語も用いられています。

慢性腎不全

長い時をかけて徐々に腎機能が悪化していく腎不全のことを指します。

原因はさまざまですが、もっとも多いのは糖尿病による動脈硬化に起因する糖尿病性腎臓病とされています。そのほか、慢性糸球体腎炎や腎硬化症なども慢性腎不全の原因となります。

なお現在は“慢性腎臓病”という単語が用いられ、その進行度によってステージ1から5まで分類がされています。

症状

腎不全に陥ると体に不要な水分や老廃物が十分に排出されなくなります。

その結果、むくみ、体重増加、血圧の上昇などが生じ、さらに進行すると動悸や息切れが現れるようになります。尿量は減少することが多いですが、腎臓には尿を濃縮するはたらきもあるため、そのはたらきが損なわれると一時的に1日に2,500ml以上の大量の尿が排出されるようになるケースも少なくありません。

また、慢性腎不全では体内に老廃物がたまり続ける状態になるため、だるさや皮膚のかゆみなどの症状が現れることもあります。そして、腎臓は血液を作り出すエリスロポエチンと呼ばれるホルモンやカルシウムの吸収に必要な活性型ビタミンDを作り出す器官でもあるため、腎機能の低下が進行すると貧血骨粗鬆症などが引き起こされます。

ミネラルの一種であるカリウムが排出されなくなってたまるようになると、致死性の不整脈を起こすことがあります。カルシウムやリンの代謝の調節が困難となり血管などの異所性石灰化が引き起こされ、酸・アルカリの調整が困難となることで体内が酸性に傾きます(代謝性アシドーシス)。

検査・診断

腎不全が疑われるときは、必要に応じて以下のような検査が行われます。

血液検査

血清クレアチニン、尿素窒素、eGFRなど腎臓の機能を示す検査項目、またカリウムやリンなどのミネラルの値を調べるため血液検査が行われます。

慢性腎不全による貧血が疑われる際は、エリスロポエチン値の測定が行われることもあります。

尿検査

腎不全の原因や今後の悪化速度を推測するため、尿中のタンパク質や糖などの有無を調べる検査が行われます。

一般的には簡易的にタンパク質の有無などを調べられる検査紙を用いて検査が行われますが、さらに詳しく調べるには尿中にどれくらいのタンパク質が含まれるか調べることもあります。

画像検査

腎臓の腫れや萎縮、腫瘍(しゅよう)、尿管や膀胱の異常などの病変の有無を調べるために腹部超音波検査やCT検査などの画像検査が行われることがあります。

腎生検

慢性糸球体腎炎など腎臓自体の病気が疑われる際は確定診断をするため、腎臓に針を刺して組織の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる腎生検が行われることがあります。

出血や感染症などのリスクがあるため、技術と設備が整った医療機関で行うのが一般的です。

治療

腎不全の治療方法は、種類によって次のように大きく異なります。

急性腎不全

急性腎不全の治療は、原因となっている病気の治療と腎不全による症状を改善する治療を並行して行っていくのが基本です。

原因となる病気の治療としては、脱水に対する点滴治療、腎炎に対する薬物療法、詰まった尿の通路を開通させるためのカテーテル挿入などが挙げられます。一方、腎不全の症状を改善するための治療としては、むくみを予防するための塩分・タンパク質制限を主体として食事療法や水分制限、尿量を増やすための利尿剤などを用いた薬物療法が行われます。

また、腎機能が著しく低下している場合には、体内の過剰な水分や老廃物を除去するための血液浄化療法が一時的に行われることもあります。

ただし、これらの治療により腎臓が改善する、あるいは改善しても元どおりの機能まで改善するとは限らず、慢性腎不全に至ることがあります。血液浄化療法が永続的に必要となることもあります。

慢性腎不全

慢性腎不全の治療は、腎機能のさらなる低下を防ぐことが主な目的となります。

そのためには、腎炎に対するステロイドなどの薬物療法、血圧の管理や塩分やタンパク質、カリウムやリンなどの電解質と水分を制限する食事療法が行われます。

また腎不全の進行によりむくみがある場合は尿量を増やす利尿剤を用いたり、カリウムやリンなどの異常がある場合はそれらを下げる薬を使ったりします。貧血が起こっている場合はエリスロポエチン製剤の注射が必要でしたが、HIF-PH阻害薬という新たな飲み薬が使用できるようになりました。

一方で、腎機能が著しく低下して改善が見込めない場合には、人工透析腎移植などの腎代替療法が必須となります。

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