ちょうえん

腸炎

最終更新日:
2021年06月24日
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2021/06/24
更新しました
2018/06/28
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概要

腸炎とは、十二指腸、小腸、大腸などに炎症や出血などが生じる病気の総称です。

腸炎は原因や重症度によって症状が大きく異なるのも特徴の1つです。一般的には下痢、腹痛、嘔吐などの症状が見られますが、重症なケースでは血便が見られたり、頻回な下痢や嘔吐で脱水症状が見られたりすることもあります。治療方法も原因や重症度によって異なり、早急な治療が必要となるケースもあるため、症状が続く場合はできるだけ早く医療機関を受診することが大切です。

原因

腸炎の原因は多岐にわたります。

もっともよく見られる腸炎は、細菌・ウイルス・寄生虫などの病原体に感染することによって引き起こされる“感染性腸炎”です。感染者の便や唾液などに含まれる病原体を介して感染するケースもあれば、病原体に汚染された飲食物を口にすることで感染するケースもあります。また、暴飲暴食などによって腸に負担がかかると病原体への感染がなくても腸炎を発症することも少なくありません。

さらに、腸炎は毒キノコなど人体に有毒な物質を含む食物、抗がん剤やアスピリンなど一部の薬剤、重金属、アレルギーを引き起こす飲食物などを摂取することで引き起こされることもあります。特に抗生剤を内服すると薬剤自体が腸の粘膜にダメージを与えるだけでなく、腸内の環境を整えるいわゆる“善玉菌”を駆逐してしまうことで腸炎を発症するケースも少なくありません。そのほか、過度に寒い場所にいることや紫外線の刺激を受けるといった環境的な要因なども腸炎の原因となり、心不全や血栓症など腸への血流が悪化するような病気(虚血性腸炎)などでも腸炎を発症することがあります。

また、はっきりした発症メカニズムが解明されていない潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)クローン病など腸の粘膜の炎症や出血を繰り返し引き起こす“非特異性炎症性腸疾患”も腸炎の一種とされています。

症状

腸炎の症状は、原因、炎症の強さや範囲、炎症が起きている部位などによって大きく異なります。一般的によく見られる腸炎は下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状が見られますが、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌などによる腸炎では血便が見られることもあります。また、症状が軽い場合は数日で自然に改善することがほとんどですが、重症な場合は頻回な下痢や嘔吐のため体内の水分が失われて脱水に至るケースも少なくありません。

そのほか、腸への血流が減少することで発症するタイプの腸炎は重症な場合、腹痛や血便などが見られるだけでなく腸の組織が壊死(えし)(細胞が死ぬこと)してしまうこともあるため早急な治療が必要となります。

検査・診断

腸炎が疑われる症状が見られるときは、症状の種類や程度などに応じて次のような検査が行われます。

画像検査

一般的には、腸の内部に異常なガスや便がたまっていないか調べるため腹部X線検査を行います。また、重症な場合には腸のむくみやがんなどの器質的な病気の有無を調べるためにCT検査などを行うこともあります。

血液検査

体内の炎症の程度を調べるために血液検査を行うのが一般的です。また、血便がある場合は貧血の有無、脱水が疑われる場合は腎機能などをチェックすることもあります。

便検査

感染性腸炎が疑われる場合は、便内に含まれる細菌やウイルスの種類を特定するために便を採取して詳しく調べる検査が行われます。また、ノロウイルス、ロタウイルスなどは迅速にウイルスの有無が判定できる検査キットも用いられています。

大腸内視鏡検査

治療を行っても下痢や血便が続く場合、潰瘍性大腸炎やクローン病などの非特異性炎症性腸疾患が疑われる場合などは大腸の内部を詳しく観察できる内視鏡検査が必要になることがあります。

治療

腸炎の治療は、原因や重症度によって大きく異なります。

軽度な感染性腸炎などは特別な治療を行わなくても自然に改善することが多いですが、整腸剤や吐き気止めなどを用いた薬物療法を行うこともあります。また、細菌感染による腸炎が疑われる場合は抗生剤の投与が行われます。一方、重症な感染性腸炎は脱水に至ることもあるため、点滴治療が必要になるケースも少なくありません。

そして、感染性腸炎以外の腸炎は暴飲暴食、アレルギーとなる飲食物、副作用を引き起こす薬剤、血流が悪くなる病気など腸炎を引き起こす原因を取り除いたり改善したりすることが大切です。非特異性炎症性腸疾患の場合には、炎症をおさえる薬剤の投与が必要となります。また、腸炎の状態によって使用する薬剤も異なってきます。

予防

腸炎を予防するには、手洗いや手指消毒を徹底するなどの基本的な感染対策が必要です。また、食中毒を引き起こす可能性がある肉類などの食品はしっかり火を通すようにしましょう。

感染性腸炎以外の腸炎は突然前触れもなく発症することも多いため、予防できないケースも少なくありません。しかし、アレルギーがある飲食物、過去に副作用があった薬剤などは避けることが大切です。また、非特異性炎症性腸疾患や血流の悪化による腸炎は明確な予防法はないものの、できるだけ早く治療を開始する必要があります。腸炎症状が続くときは軽く考えずに早めに医療機関を受診しましょう。

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