ひぶんしょう

飛蚊症

最終更新日:
2022年09月27日
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2022/09/27
更新しました
2017/04/25
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概要

飛蚊症(ひぶんしょう)とは、眼球の硝子体(しょうしたい)が濁ることによって視界に蚊が飛んでいるような影が見える現象です。特に明るい場所で視界に蚊のような影が浮遊し、視界をずらしても影が少し遅れてついてきて、まばたきをしても消えません。

硝子体が濁る原因には、加齢による生理的なものもあれば、網膜裂孔や硝子体出血など病的なものもあり、原因によっては放置すれば失明につながる可能性もあります。

加齢によるものでは慣れてくると症状は軽減するため、特に治療の必要はありません。しかし、病気によるものでは放置すると視力の低下や失明につながる恐れがあるため、早めに眼科を受診して適切な治療を受けることが大切です。

原因

飛蚊症の原因は、硝子体の濁りです。目に入った光は、角膜(黒目の部分)→瞳孔(黒目中央のひとみ)→水晶体(眼球内にあるレンズ)→硝子体(眼球内部を満たす透明なゼリー状の組織)→網膜の順に進み、網膜から視覚情報が脳に送られます。

そのため、何らかの原因によって硝子体が濁ってしまうと、それが網膜に影を落とし、視界に影が見えるようになるのです。
飛蚊症の原因としては、大きく“生理的な原因” “病的な原因”に分けられます。

生理的な原因

生理的な原因は主に加齢によるもので、加齢に伴って硝子体が変化することで起こります。

一般的に40歳代くらいになると、水晶体の内部に液体がたまった空間のようなものができてきます。この現象を“液化(えきか)”といい、液化した空間は年齢とともに徐々に大きくなり、それに伴って硝子体が縮小します。この変化によって硝子体が濁ることがあります。

また、液化によって生じた空間はやがて破れて内部の液体が流れ出るようになり、これによって硝子体の容積が急激に減少すると硝子体は網膜と接する面から剥がれます。網膜から剥がれた硝子体面には濁りがあるため、突然の飛蚊症を招きます。

これを“後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)”といい、突然の飛蚊症の原因としてもっとも多く、60歳代前半の人によくみられます。ただし、近視が中等度以上の人では10年ほど早く発症するといわれています。

病的な原因

飛蚊症の原因となる病気には、網膜裂孔、硝子体出血ぶどう膜炎などがあります。

網膜裂孔とは網膜の一部に穴や裂け目ができる状態を指し、後部硝子体剥離を生じたときに、網膜と硝子体の癒着が強い部分や網膜組織が脆弱(ぜいじゃく)な部分に裂孔を生じることがあります。網膜裂孔は網膜剥離の原因になるため、飛蚊症は網膜剥離発症の前駆症状である可能性があります。後部硝子体剥離を生じたときに網膜血管が裂けると出血し、飛蚊症をきたすことがあります。後部硝子体剥離以外でも網膜に出血を生じる病気では、出血量が多いと硝子体中に出血が散布され飛蚊症を生じます。

ぶどう膜炎は虹彩、毛様体、脈絡膜からなるぶどう膜に炎症が起こる病気で、ウイルスや細菌などによる感染に加え、サルコイドーシスベーチェット病などによって起こります。

生理的な原因による飛蚊症の場合はそれほど心配いりませんが、病的な原因による飛蚊症では放置すると失明に至ることもあるため注意が必要です。

症状

飛蚊症では突然、黒い影が視界に常に見え、視線をずらしても少し遅れてついてきます。特に明るいところで白い壁や天井を見たときなどに黒い影が飛んでいるように見え、まばたきをしてもその影は消えません。

影の形は糸くず、雲、蚊、ハエ、アメーバ模様、輪状などさまざまで、大きさや色の濃さも原因や程度によって異なります。

病的な原因の場合には目のかすみや視力の低下を伴うことが多く、生理的な原因で代表的な後部硝子体剥離では飛蚊症の発症前後にピカピカ光るものが見えることがあります(光視症)。

検査・診断

飛蚊症の診断には眼底検査が必要になります。この検査で生理的な原因と病的な原因を区別することができ、ある程度原因の特定も可能です。眼底検査では瞳孔を開くための散瞳薬を点眼した後、検眼鏡を用いて瞳孔から網膜の状態を調べます。

また、一般的な眼科検査である視力検査や眼圧検査も行われ、さらに原因を特定するための精密検査が行われる場合もあります。

たとえば眼底が見えないほどの多量の硝子体出血では超音波断層検査、ぶどう膜炎が疑われる場合には血液検査、胸部X線検査、ツベルクリン反応などの全身検査や、眼内液を採取して行う検査(遺伝子検査・サイトカイン測定・抗体測定)などが行われます。
 

治療

飛蚊症の多くは加齢による後部硝子体剥離です。発症早期は剥がれた硝子体と網膜の距離が近いため、網膜に濃い影を落とすので症状は比較的強いことが多いですが、経過とともに硝子体は徐々に前方(網膜から離れる方向)に移動するため影は薄くなり、自覚症状も軽減することが多いようです。したがって多くの場合は、特に治療はせずに様子をみることが多いです。しかし、まれに飛蚊症が非常にはっきり見え、長期の経過後も視界を遮るような場合、硝子体手術により切除すると症状は消失します。

一方、病気が原因の場合には、その病気に対する治療が必要となります。たとえば網膜裂孔ではレーザー治療、硝子体出血では出血が多量の場合に硝子体手術が行われます。網膜裂孔は大きさや部位によりますが早いと1日で網膜剥離を生じ、レーザー治療では完治せず、観血的な手術が必要になるため、飛蚊症を自覚したらできるだけ早く眼科を受診することが極めて大切です。

ぶどう膜炎においては内科的治療が中心で、原因に応じてステロイド薬や抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬などが用いられます。
 

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