びーがたかんえん

B型肝炎

最終更新日:
2021年03月19日
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2021/03/19
更新しました
2017/04/25
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概要

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染した状態の総称です。発症すると肝炎肝硬変といった肝臓の病気を引き起こす可能性が高くなり、肝臓がんの原因になることもあります。

B型肝炎にかかっていても自覚症状が現れないことが多く、気付かないうちに重篤な病気へと進行してしまう例も見受けられるため、注意が必要です。

近年はワクチンの活用や妊娠時の血液検査の徹底により、新規に罹患する患者数は大幅に減少傾向にありますが、引き続き予防や検査の啓発が求められています。

原因

B型肝炎ウイルスは主に血液など体液を介して感染します。感染経路として垂直感染・水平感染が挙げられます。垂直感染として挙げられるのは母から子への感染です。出生時に産道で感染する場合や妊娠中の子宮内で感染する場合などが挙げられます。

一方、水平感染としては性行為による感染や不衛生な医療器具を使用したことによる感染、入れ墨やピアスの穴開けなどによる感染などがあります。

症状

B型肝炎は、感染の状態により、一時的な症状で終わる一過性感染と、B型肝炎ウイルス(HBV)を保有し続ける持続感染に分けられます。

急性肝炎:一過性感染

一過性感染は、主に免疫系の発達した成人が感染した場合に認められます。このうち、約30%が急性肝炎を発症するとされています。具体的な症状として、1~6か月の潜伏期間を経た後に、全身の倦怠感や食欲不振黄疸(おうだん)、褐色尿などが現れます。

一般的には数週間でピークを迎え、回復に向かいます。しかし、急性肝炎を発症した方のうち1~2%程度で症状の進行が認められ、劇症肝炎を発症します。劇症化すると、肝性昏睡(かんせいこんすい)肝性脳症)という肝機能低下による意識障害が起こり、死亡する危険があります。

慢性肝炎:持続感染

持続感染は、母子感染や3歳以下の幼少期に感染した場合に起こりやすいといわれています。持続感染の場合、ウイルスを保有しているものの、肝機能が正常で特別な症状が認められない無症候性キャリアが約90%を占めているとされます。

残りの約10%は継続的な炎症を起こし続ける慢性肝炎の症状を示します。このうち年間約2%が肝硬変へと移行し、肝細胞がん、肝不全に進行するとされています。

検査・診断

診断時の検査では、血液検査にてHBs抗原の有無を調べます。B型肝炎ウイルスに感染すると、増殖するウイルスに由来するHBs抗原が血液中に出てきます。ただし、急性肝炎の場合、HBs抗原が感染後比較的早い段階で消失してしまうことがあるため、HBs抗原陰性の急性肝炎の診断にはIgM型HBc抗体の測定が併せて実施されます。

慢性のB型肝炎と診断されると、HBe抗原とHBe抗体の測定が実施されます。HBe抗原はHBVが増殖するときに過剰に作られるたんぱく質です。HBe抗原が陽性であれば、肝臓内でHBVの増殖が活発で感染力が強い状態であることを示しています。HBe抗体はHBe抗原に対する抗体です。HBe抗体が陽性ということは、一般にHBVの量と増殖が落ち着いて感染力が弱くなった状態であることを示しています。

そのほか、リアルタイム(TaqMan)PCR法を用いてHBV-DNAを測定しHBウイルス量をモニターします。

HBVの検査と並行して、AST、ALTを測定し肝炎を発症しているかを評価します。さらに4型コラーゲン7Sなどの線維化マーカーの測定とともにエコー、CTなどの画像検査を行い、無症候性キャリア、慢性肝炎、肝硬変のどの状態にあるかを評価します。

また、肝炎の進行具合を調べるために、肝生検が併せて行われることもあります。

治療

急性肝炎の多くは自然に回復に向かいますが、慎重な経過観察が必要です。劇症肝炎への移行の危険があるため、入院による安静と経過観察が一般的です。

また、B型肝炎ウイルスは一度持続感染の状態になると体の外に排除することは難しくなります。慢性肝炎の場合には肝硬変や肝臓がんへの進展を予防し、生活の質を維持することが治療の目的となります。慢性肝炎の治療方法は、抗ウイルス療法が主体です。抗ウイルス療法では、インターフェロン(IFN)や核酸アナログ製剤などが用いられます。抗ウイルス療法によりHBVの増殖が抑制されるとほとんどの慢性肝炎はコントロールされることから、AST、ALTの異常を認める場合は、グリチルリチン製剤やウルソデオキシコール酸などの肝庇護療法を漫然と行わず、抗ウイルス療法を行うことが推奨されます。また、HBVのウイルス量と肝臓の状態を総合的に判断して抗ウイルス治療が行われるので、B型肝炎の治療を行う医師には専門的な知識が求められます。

予防

B型肝炎の予防にはワクチン接種が有効です。垂直感染が懸念される新生児は産後なるべく早いタイミングでHBV免疫グロブリンを筋肉注射し、HBワクチンを皮下注射するほか、その後も1か月後、6か月後にワクチンの接種を受けることになっています。また、医療従事者など感染リスクが高いと判断される方は、ワクチンを接種することが推奨されています。さらに水平感染も予防するために、わが国では2016年10月より0歳児全員に対するB型肝炎ワクチン接種が行われています。

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