さなだむし

サナダムシ

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概要

サナダムシとは、条虫と呼ばれる寄生虫のことを指します。サナダムシ(条虫)は消化管に寄生し、条虫症と呼ばれる病気を引き起こします。条虫症はサナダムシの幼虫に汚染された食物や水を摂取することから感染が成立します。

サナダムシは見た目の形態から名付けられており、実際には、有鉤条虫、無鉤条虫、アジア条虫、日本海裂頭条虫などが含まれています。条虫のなかには消化管に何十年も居座るものもあります。 成虫のサナダムシが消化管に生存するだけでは、重篤な症状を引き起こすことはありません。

しかし、有鉤条虫に関連して、幼虫が血流性に消化管以外の部分にも広がり、けいれんなどの重篤な症状を引き起こす「有鉤嚢虫症」を誘発することもあります。有鉤条虫は豚に寄生することから、不衛生な状況で放し飼いの豚と緊密に生活する環境では、てんかんの発症原因の30%を占めるとも報告されています。こうした影響は特に低所得の発展途上国においてみられ、深刻な健康被害をもたらしています。

原因

サナダムシとは、条虫と呼ばれる寄生虫のことを指します。サナダムシとはさまざまな種類の条虫を包括した総称であり、実際には日本海裂頭条虫、無鉤条虫、有鉤条虫、アジア条虫など多くの条虫が含まれています。

日本において問題になりやすいのは、サクラマスやトキシラズなどの魚類に寄生する日本海裂頭条虫であり、2007年から2017年までの11年間に日本国内で439例が発症したと報告されています。

魚類に寄生した幼虫を摂取することから人に感染します。消化管内にてさらに成長し、体長が10mを超えることもあります。 無鉤条虫、有鉤条虫、アジア条虫症は総称して「テニア症」と呼ばれており、年6件前後の発症例があると推定されています。

不衛生な環境で育てられた牛や豚に寄生していることが多く、条虫に汚染された肉を調理が不十分な状態で摂取することで感染が成立します。幼虫は消化管内で8〜12週で成虫まで成長し、6mほどの大きさになると報告されています。日本国外のみならず、日本国内でも感染する危険性がある条虫です。

有鉤条虫に関連して、より重篤な有鉤嚢虫症と呼ばれる病気があります。有鉤嚢虫症とは有鉤条虫の幼虫(嚢虫)が、消化管以外の脳や筋肉などに寄生するようになった状態を指します。有鉤条虫は消化管内で成虫になりますが、成虫は卵を大量に有しています。この卵が消化管内に排泄され幼虫になった後、全身に広がりその場で嚢虫に発育します。

また、有鉤条虫の卵に汚染された食べ物を摂取すると、同じく消化管の中で大量の卵が幼虫へ成長・血行性に全身に広がり、嚢虫へと発育します。

症状

サナダムシが消化管内に居座る状況では、症状を全く自覚しないことも多いです。吐き気や下痢、腹痛などの消化器症状を生じることがありますが、すぐには重篤な健康被害が生じることはありません。

また、サナダムシの一部が肛門から排泄されると、肛門周囲に不快な症状を感じることがあります。食物として摂取された栄養がサナダムシに搾取され、体重減少を生じることもあります。 しかし、有鉤嚢虫症を発症するとより症状は重篤になります。

嚢虫は脳にも広がることがあり、けいれんや意識障害、視力障害や四肢麻痺を引き起こす可能性があります。また血液中に寄生虫が存在することになるため、アレルギー反応を示すこともあります。中には筋肉や皮膚にも嚢虫が広がることがあり、細菌感染を併発することもあります。

検査・診断

消化管に寄生するサナダムシの成虫や卵は、便の中に排泄されます。したがって、サナダムシの診断に際しては、便を用いて顕微鏡的にサナダムシの存在を示唆するものが混入していないかどうかを検索します。毎回排便時に必ずサナダムシが排泄されている訳ではありませんので、一回の検査のみならず何回か検査を繰り返すことがあります。

有鉤嚢虫症を発症すると、血液中に虫が入り込んでいるため、血液検査で抗体を検査します。また全身への嚢虫の広がりを確認するために、レントゲン写真や超音波検査、CT、MRIといった画像検査が行われることもあります。

治療

サナダムシの治療は、プラジカンテルやアルベンダゾールなどと呼ばれる内服薬を使用して治療を行います。注意すべき点は、こうした薬剤は成虫のサナダムシには効果がありますが、卵に対しては効果がないことです。したがって、指示された内服薬を継続して飲むことはもちろんのこと、手洗いを徹底し環境中に排泄されている卵を摂取して感染を繰り返さないようにすることが大切です。

有鉤嚢虫症においても、プラジカンテルやアルベンダゾールが使用されます。しかし、薬により嚢虫が破壊されると、強い炎症反応を惹起して組織障害が誘発されます。そのため、有鉤嚢虫症の治療においてはステロイドなどの炎症を抑える治療を併用することがあります。

その他、けいれんを起こしているときには抗けいれん薬が使用されますし、水頭症を起こしているときにはシャント術が行われることがあります。また嚢虫が塊を形成し何かしらの症状を引き起こしていると考えられるときには、手術的に摘出をすることがあります。

サナダムシは不衛生な環境中で存在することが多いです。したがって、手洗いを徹底することが大切です。また、食物を摂取する際には、加熱処理を行うことも感染予防の観点からは重要になります。

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