ぜんていしんけいえん

前庭神経炎

最終更新日:
2023年03月29日
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2023/03/29
更新しました
2017/04/25
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概要

前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)とは、体の平衡感覚の維持に関わる“前庭神経”という脳神経の1つに炎症が生じる病気のことです。

主にウイルス感染によって引き起こされると考えられていますが、発症するとグルグルと目が回るような激しいめまいや吐き気が生じます。症状は数日で改善していくことがほとんどですが、平衡感覚の違和感は最大で数か月にわたり続くこともあります。

治療は安静を維持したうえでめまいや吐き気を改善する薬物を用いた対症療法が主体となりますが、症状が改善した後もふらつきなどの症状が続くときは平衡感覚を鍛えるための前庭リハビリテーション(平衡訓練)を行うことも少なくありません。

原因

前庭神経炎は、前庭神経がウイルス感染によって炎症を起こすことが原因で発症すると考えられています。しかし、明確な発症メカニズムは解明しておらず、過去に感染した単純ヘルペスウイルスが前庭神経節に潜んでおり、それが再活性化することで発症するとの説もあります。

症状

前庭神経は脳神経の1つで、体の平衡感覚を維持するのに必要な神経です。そのため、前庭神経に炎症が生じると平衡感覚に異常が生じて目が回るような“回転性めまい”が生じるようになります。回転性めまいは突発的に発作のように生じるのが特徴で、多くは吐き気・嘔吐、目の動きの異常(眼振)を伴います。

通常、強い回転性めまいは1~3日ほどで改善していきますが、その後もふらつきなど平衡感覚の異常による症状が数か月ほど続くとされています。

なお、前庭神経炎は回転性めまいを引き起こすほかの病気と異なり、聴力低下・耳鳴り・耳閉感などの耳の症状を伴わないのも特徴の1つとされています。

検査・診断

前庭神経炎が疑われるときは次のような検査が行われます。

眼振検査

前庭神経炎では、眼球が一方向にゆっくり動いて素早く戻るという動きを繰り返す“眼振”という症状がみられるのが特徴の1つです。

そのため、特殊な眼鏡を用いて眼振の有無を調べる検査が行われます。

画像検査

めまいを引き起こす脳卒中脳腫瘍(のうしゅよう)など、ほかの病気との鑑別を行うためにCTやMRIなどによる画像検査を行うことがあります。

聴力検査

回転性めまいは、突発性難聴メニエール病など聴力低下を伴う耳の病気によって引き起こされることがあるため、それらの病気との鑑別を行うために聴力検査をすることもあります。

治療

前庭神経炎は、激しい回転性めまいがあるときは安静を維持して、めまいや吐き気を抑えるための薬物療法や、嘔吐による水分不足を補うための点滴といった対症療法が主体となります。

また、さまざまな研究により、発症して時間が経過していない段階でステロイドを投与するとふらつきなどの症状が残りにくくなるとの報告があるため、ステロイドを使用するケースも多いとされています。一方で、前庭神経炎はウイルス感染によって引き起こされると考えられていますが、抗ウイルス薬を投与しても効果がないことが分かっています。

なお、前庭神経炎による回転性めまいは数日で改善しますが、その後も長い場合は数か月にわたって歩行時や体動時にふらつきが生じやすくなるとされています。これらの症状を改善するために、前庭代償*を促進するための前庭リハビリテーションを行うことも少なくありません。

*前庭代償:前庭障害によって生じた眼運動や体平衡の異常であり、通常は時間の経過とともに自然と回復の過程を経る。

予防

前庭神経炎は明確な発症メカニズムが解明されていないため、確かな予防法はないのが現状です。しかし、この病気は後々になってもふらつきなどの症状を残すことがあるため、強いめまいが生じたときはできるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。

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