じゅうにしちょうかいよう

十二指腸潰瘍

最終更新日:
2020年09月10日
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2020/09/10
更新しました
2017/04/25
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概要

十二指腸潰瘍(かいよう)とは、十二指腸の壁が傷つき、粘膜下層よりも深い部分にまでえぐれが生じている病気です。発症にはピロリ菌が関与していると考えられており、過剰な胃酸分泌に続いて十二指腸潰瘍が発生するとされています。また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる痛み止めの服用も発症リスクを高めると考えられています。

十二指腸潰瘍の症状には、腹痛や出血による貧血などがあります。腹痛は、特に空腹時や夜間にみられる傾向があります。潰瘍の程度が進行すると十二指腸の壁に穴があく穿孔(せんこう)に至ることもあります。十二指腸潰瘍の多くは、ピロリ菌の除菌が有効です。

原因

十二指腸潰瘍は、胃酸分泌が過剰になることで健康な消化管が傷害されて発症すると考えられています。正常な十二指腸の壁は、粘膜層・粘膜下層・固有筋層・漿膜(しょうまく)などからなっています。このうち、粘膜下層よりも深い部分にまでえぐれが生じた状態を十二指腸潰瘍と呼びます。

ピロリ菌

十二指腸潰瘍の原因はピロリ菌感染に関連したものが多いとされています。ピロリ菌とは、酸性の環境である胃のなかに生息している細菌です。

非ステロイド性消炎鎮痛剤

そのほかの原因として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が挙げられます。NSAIDsとは、一部の解熱鎮痛薬のことです。ただし、ピロリ菌感染を原因とした十二指腸潰瘍と比べると頻度はまれです。

症状

腹痛

典型的な症状は右上腹部の痛みといわれています。ただし、実際には必ずしもこの部位に痛みを感じるわけではありません。

十二指腸潰瘍の腹痛は、鈍い痛み、うずくような痛み、焼けるような痛みという特徴があります。このような腹痛は、空腹時もしくは夜間に腹痛が増強することが多いです。十二指腸潰瘍の発症には過剰な胃酸分泌が関与しているため、胃酸を中和する重曹などの制酸薬により痛みが軽くなります。このほかに、吐き気や胸焼け、ゲップ、食欲不振などの症状が出ることもあります。

消化管の出血

十二指腸潰瘍が進行すると、消化管壁から出血し、下血や吐血、貧血をといった合併症が起こることもあります。

穿孔

さらに進行すると、消化管の壁に穴があく穿孔を引き起こすこともあります。

検査・診断

十二指腸潰瘍を診断するためには、上部消化管内視鏡検査とピロリ菌の検査が重要です。

上部消化管内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査は、十二指腸潰瘍の進行度や傷の深さなどを正確に把握できる検査です。内視鏡検査では、検査と同時に潰瘍周辺部位の組織や胃の組織採取も行うことができます。採取した検体は、症状が似たほかの病気との鑑別やピロリ菌の検査に使用できます。また、消化管から出血している場合には、内視鏡検査時に止血処置も行うことができます。

ピロリ菌の検査

採取した検体をもとにピロリ菌を培養する検査や、顕微鏡で確認する検査などでピロリ菌の存在を確認します。このほか、試薬の色調変化からピロリ菌が存在しているかどうかを確認する迅速ウレアーゼ検査もあります。ピロリ菌の確認時に、血液や尿、便を用いた検査方法や、尿素呼気試験といった検査を行うこともあります。どのような検査方法をとるかは、個々の経過によって適切に判断されます。

治療

酸分泌抑制剤

十二指腸潰瘍の発症には過剰な胃酸分泌が関与しているため、胃酸分泌を抑える酸分泌抑制剤(H2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)の内服が有効です。

ピロリ菌の除菌療法

胃酸の分泌を抑える薬や抗生物質など、複数の薬剤を決められた期間内服します。1回目のピロリ菌の除菌による除菌率は約70〜90%と報告されており、治療が奏功した場合には十二指腸潰瘍の再発率はほぼないと考えられています。

NSAIDsの中止や変更

十二指腸潰瘍は、NSAIDsと呼ばれる痛み止めに関連して発症することもあるため、可能な場合は痛み止めを中止したり、変更したりします。同時に、酸分泌抑制薬などの薬剤を併用し、治療を行います。

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