こんごうせいけつごうそしきびょう

混合性結合組織病

同義語
MCTD
最終更新日:
2023年04月21日
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2023/04/21
更新しました
2021/05/10
更新しました
2017/04/25
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概要

混合性結合組織病とは、膠原病(こうげんびょう)(皮膚や血管、内臓の組織などに炎症を引き起こす病気)の代表例である全身性エリテマトーデス強皮症多発性筋炎皮膚筋炎という3つの病気の症状が2つ以上同時に現れ、血液検査で“抗U1-RNP抗体”という自己抗体(自分自身の体の一部を攻撃するタンパク質)が陽性となる病気のことです。日本では1993年に特定疾患に指定されています。

発症原因ははっきり分かっていませんが、発症すると全身性エリテマトーデス・強皮症・多発性筋炎/皮膚筋炎の症状が混在して現れ、症状の現れ方は個人差が大きいのが特徴です。一方で、この病気は肺高血圧症、無菌性髄膜炎三叉神経障害(さんさしんけいしょうがい)などの合併症を起こしやすいのも特徴であり、早い段階から適切な治療を継続していくことが大切です。

原因

現在のところ、混合性結合組織病の明確な発症メカニズムは解明されていません。しかし、この病気では自己抗体である“抗U1-RNP抗体”が産生されることが分かっているため、免疫の異常によって引き起こされる自己免疫疾患の1つであると考えられています。

症状

混合性結合組織病は同時に現れた病気の症状が混在するため、症状の現れ方には個人差があります。

全ての患者に共通する症状としては、緊張したときや寒い環境にいるときに指先の血管がけいれんして細くなり、指先が白くなったりしびれや冷感などが生じたりする“レイノー現象”と呼ばれる症状、手の甲や指が腫れる症状が知られています。前者はこの病気のほぼ全てでみられ、後者は約7割の患者にみられるとされています。

一方、この病気ではこれらの共通する症状以外に全身性エリテマトーデスの症状として発熱・リンパ節の腫れ・皮疹・関節痛・腎不全強皮症の症状として皮膚が厚くなる・物が飲み込みにくくなる・間質性肺炎による息苦しさ、多発性筋炎皮膚筋炎の症状として体に近い手足の筋力低下といった症状がみられます。

また、この病気は肺高血圧症・無菌性髄膜炎・三叉神経障害といった合併症を起こしやすいことも特徴の1つです。特に肺高血圧症は患者の約1割にみられるとされ、動悸、息苦しさ、胸の痛みなどの症状が現れることがあります。

検査・診断

混合性結合組織病が疑われるときは次のような検査が行われます。

血液検査

この病気は“抗U1-RNP抗体”という自己抗体が産生されるようになることが特徴であるため、この抗体の有無を調べるために血液検査が必要になります。

また、この病気では筋肉の破壊や炎症、腎不全などさまざまな症状が生じるため全身の状態を把握するためにも血液検査が必要です。

画像検査

この病気は間質性肺炎肺高血圧症などさまざまな合併症を起こすことがあるため、それらの発症が疑われる場合は、X線やCTなどによる画像検査を行う必要があります。

また、比較的頻度が高い合併症である肺高血圧症は心不全を引き起こすこともあるため、症状がない場合でも定期的に心臓超音波検査を行うことが推奨されています。

尿検査

全身性エリテマトーデスの症状がある場合は、腎機能に異常が生じている可能性があります。そのため、尿タンパクや尿潜血の有無を確認することを目的に尿検査を行うのが一般的です。

呼吸機能検査

強皮症の症状として間質性肺炎の発症が疑われる場合は肺の機能を調べる検査が必要になります。

治療

混合性結合組織病は明確な発症メカニズムが解明されておらず、確立した治療法はありません。そのため、基本的には免疫のはたらきを抑えるためにグルココルチコイド(ステロイド)や免疫抑制剤による薬物療法を行いながら、各症状への対症療法を行っていくこととなります。

具体的には、上述したレイノー現象に対しては血管拡張作用がある薬剤やビタミン剤などの投与、関節炎に対しては痛み止めの投与などを行い、肺高血圧症に対しては重症度に応じて肺血管拡張薬の投与や酸素投与などが行われます。

また、この病気は喫煙やストレスなどの生活習慣が症状を悪化させることもあるため、生活改善を行っていくことも必要です。

予防

混合性結合組織病ははっきりとした原因が分かっていないため、確実な予防法はないのが現状です。しかし、この病気は進行すると肺高血圧症など命に関わる合併症を引き起こすこともあるため早期の段階から適切な治療と経過観察を続けていく必要があります。気になる症状がある場合はできるだけ早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

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