じかんきょうさくしょう

耳管狭窄症

最終更新日:
2023年04月28日
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2023/04/28
更新しました
2017/04/25
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概要

耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)とは、耳から鼻への通り道である“耳管”が何らかの理由によって狭くなり、耳が聞こえにくくなったり、こもったようになったりするような耳の詰まり(耳閉感)を感じる病気です。

耳管は、鼓室(こしつ)という鼓膜の奥にある空洞と鼻の奥をつなぎ、耳の中の空気圧をコントロールするはたらきを持っています。通常時は閉じており、物を飲み込んだり、あくびをしたり、口を大きく開けたときに開きます。

耳管狭窄症では、耳管が狭くなることによって耳の中の空気圧がうまくコントロールできなくなり、耳の中の空気圧と外の気圧に大きな差が生じることで症状が現れます。

原因

耳管狭窄症の主な原因は、かぜや副鼻腔炎(ふくびくうえん)中耳炎などによる耳管の炎症です。ただし、ときに鼻の奥に生じた腫瘍(しゅよう)などが原因となって耳管が狭くなることもあるため、注意が必要です。

また近年は、逆流性食道炎と耳管の関連性も指摘されています。

症状

耳管狭窄症の主な症状は、耳が詰まったような感覚(耳閉感)です。

イメージとしては、高い山に登っている際や高いビルをエレベーターで昇ったときに起こる違和感が続きます。耳の聞こえが悪くなったり、こもったように聞こえる状態が続いたりする人もいます。

また、耳管が狭い状態が続くと鼓室に液体がたまる滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)、癒着性中耳炎などに発展することもあります。

検査・診断

耳管狭窄症は、まず耳の聞こえが悪いなどの臨床症状から疑われることが一般的です。その後、耳の中をよく観察したうえで、純音聴力検査やティンパノメトリーといった検査が検討されます。

純音聴力検査

もっとも一般的な聴力検査の1つです。低音から高音までさまざまな音を聞き、音が聞こえたら手元のボタンを押すことで聞こえの程度を調べます。左右それぞれの耳で検査を行い、聞こえた音のうちもっとも小さい音の大きさを確認します。

通常、健康診断で行われる聴力検査は1,000ヘルツと4,000ヘルツの2音のみが用いられますが、より詳しい検査では125ヘルツ~8,000ヘルツまで幅広い音を使い、聞こえの程度を判断します。

ティンパノメトリー

耳の穴から空気圧を意図的に変化させ、鼓膜の動きを確認する痛みのない検査方法です。検査用の耳栓を装着し、そこから鼓膜に向けて音を発して、返ってきた音の強さを測定します。

鼓室に液体がたまっている場合には、気圧を変化させても鼓膜が動かないため、内部で中耳炎などが生じている可能性があります。

治療

耳管狭窄症では、まず原因となる病気を治療することが大切です。

かぜや副鼻腔炎などによる耳管の炎症が原因の耳管狭窄症の場合、まずは耳管の炎症を抑えるための治療が検討されます。加えて耳管の通りをよくするための“耳管通気療法”も検討されます。

原因となる病気に対する治療をしても十分に改善せず、症状がよくならない場合には、鼓膜に小さな穴を開けてチューブを入れる“鼓膜チューブ留置術”が検討されます。

耳管の炎症に対する治療

耳管の炎症に対する治療としては薬物療法が検討されます。

耳管の粘膜に炎症が生じ腫れてしまっている場合には、炎症を抑える治療薬の処方が検討されます。また、鼓膜の奥に液体がたまっている場合は粘膜溶解薬などの治療薬の併用が検討されます。

耳管通気療法

カテーテルと呼ばれる細い管を鼻から入れて耳管まで進め、空気を送り込むことによって耳管が狭くなった状態を改善する治療方法です。前述の薬物療法などと併せて行うことで、耳管が広がりやすくなることがあります。

鼓膜チューブ留置術

鼓膜の一部を小さく切り開き、そこにチューブを入れることによって、耳管の代わりに空気の通り道を作る治療方法です。滲出性中耳炎の治療として検討されることもあります。

予防

耳管狭窄症の主な原因はかぜや副鼻腔炎といわれています。そのため、日頃からかぜや副鼻腔炎を予防することが大切です。副鼻腔炎の多くはかぜから生じるため、一般的なかぜ予防として手洗い・うがいなどを行い、ウイルスを体の中に入れないように心がけましょう。

また、日頃から適度な運動、バランスのよい食事などを習慣化し、たばこやお酒を控えるなど、かぜを引きにくい体作りを心がけましょう。副鼻腔炎の予防としては、鼻をかむときは片方ずつかむことや、鼻をすすらないようにすることなどが挙げられます。

かぜのような症状や鼻の症状が長く続く際は、放置せずに医療機関の受診を検討しましょう。

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