新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
一人でも多くの患者さんを幸せにしたい

DOCTOR’S
STORIES

一人でも多くの患者さんを幸せにしたい

不整脈治療を革新的に進歩させた高橋淳先生のストーリー

横須賀共済病院 副院長
高橋 淳 先生

何があっても患者さんの声を受け止める

私のところには、毎日多くの不整脈の患者さんがやってきます。

「胸が苦しい」

「いつ不整脈がでるか怖くて外出を躊躇してしまう」

「仕事や家事に支障が出て困っている」

患者さんは自身の症状を切実に話されます。そして私は彼らの声を一言一句逃さずにすべて受け止めるようにしています。そのうえで、人生の選択に寄り添えるインフォ―ムドコンセントを心がけ、患者さんやご家族へ不整脈という病気について十分な説明で情報を提供し、患者さん自身が今後の方針を決めていただけるよう努めています。

そして、その不整脈と闘うための武器が「カテーテルアブレーション」という手術です。

日本で初めての心房細動に対するカテーテルアブレーションを、この手で

私の勤務する横須賀共済病院では、年間1000件近くの不整脈に対するカテーテルアブレーションを行っています。そのうち、心房細動症例の手術件数は、7000件を超えています(平成15年6月~平成28年12月)。

これは、全国トップの手術件数。この手術が開発される以前は不整脈に悩む患者さんの多くが発作を抑えるために服薬をしたり、ペースメーカーを入れたりする必要がありました。

しかし、カテーテルアブレーションを行えば、発作性頻拍症であればほぼ100%、発作性心房細動であれば90%近い患者さんが薬を使わずとも発作を抑えられるようになります。カテーテルアブレーションによって患者さんのQOL(生活の質)が向上し、充実した人生を送ることができるのです。

私が不整脈を専門にしたのは、診断や治療が難しいからです。不整脈は実際に発作を見ないと正確な診断ができません。診察中に発作が起きることは滅多にないため、確定がとても難しい疾患なのです。

私が医師になりたての頃は、不整脈に対する治療法は、薬により発作を抑える治療しかありませんでした。1990年初頭、発作性頻拍症を根治するためのカテーテルアブレーションが海外で考案されました。私は、カテーテルアブレーションが日本に導入された当初から、この治療法に関わっています。しかしながら、心房細動はカテーテルアブレーションでは治せないとされていました。

その頃、フランスのハイサゲール医師が世界で初めて心房細動に対するカテーテルアブレーションを実施しました。これは発作性心房細動に対する画期的な治療法でした。

「この心房細動に対する新しいカテーテルアブレーション治療をぜひ学び、日本にも取り入れたい!」

そう思った私は1996年、ハイサゲール先生のいるフランス・ボルドー大学附属Haut-Leveque病院に留学しました。そしてハイサゲール医師の指導のもと、無事、心房細動に対するカテーテルアブレーションを学ぶことができたのです。

帰国後の1998年、私は日本初の心房細動に対するカテーテルアブレーション治療を行いました。

「これで日本の不整脈治療に一筋の光が差した」

そう思ったのも束の間、そこから苦難の道が続くことになるのです。

どうすれば、再発をなくせる?その課題と向き合った日々

私が心房細動に対するカテーテルアブレーションを始めた当初、手術を受けた患者さんの半分が不整脈を再発してしまうなど治療成績が芳しくありませんでした。

心房細動を起こす異常な電気信号の発信源をピンポイントで焼灼するため、その同定が困難な場合が多く再発してしまうことが多かったのです。

そこで私は異常信号の発信源をピンポイントで焼灼するのではなく、その発信源を広く囲むように焼灼すれば効果的なのではないかと考えました。そして、異常な電気信号が心房に伝わらないようブロックする手術方法を開発しました。これが拡大肺静脈隔離術です。

2003年に開発したこの拡大肺静脈隔離術により、カテーテルアブレーションによる心房細動の治療成績は格段に向上しました。2016年時点では、拡大肺静脈隔離術を実施することで、発作性心房細動の患者さんの9割近くが服薬なしで発作のない生活を送れるまでになりました。

「不整脈治療に大きな変化をもたらした。これで多くの心房細動に悩む患者さんを救える!」

そう実感した瞬間でした。

惜しみなく技術を伝えることが、患者さんの幸福につながる

劇的な変化をもたらした拡大肺静脈隔離術。しかし、この手術を行える医師が私だけでは、不整脈を抱えている患者さんを救うには限界があります。次の私の使命は、他の医師にも広くこの技術を伝え、より多くの患者さんの不整脈を治せる世界をつくることだと考えました。

今では後進の医師の指導に力を入れる日々。だんだんと拡大肺静脈隔離術を習得した医師も増え、さまざまな場所でこの治療を受けられるようになりつつあります。

限られた医師だけがその治療を実施できるという状況では、確立された医療とはなりえません。他の医師がその治療技術を引き継ぎ、その医師がまた他の医師にその治療技術を引き継ぐことにより、多くの医師が施行可能な一般的な治療にしていくことが、医療の現場では重要なのです。

革新的な治療を開発した医師はそれを惜しみなく後進に伝えていくことが大切だと思います。この姿勢が未来の医療を発展させ、ひいては患者さんの幸福につながると信じています。

この記事を見て受診される場合、

是非メディカルノートを見たとお伝えください!

  • 横須賀共済病院 副院長

    世界で初めて心房細動に対するカテーテルアブレーションを開始したフランス・ボルドー大学に留学し、1998年に帰国後、国内に本治療法を導入した。上下の肺静脈をまとめて焼...

    高橋 淳 先生に受診について相談する

    高橋 淳 先生の所属医療機関

    横須賀共済病院

      • 内科
      • 血液内科
      • 外科
      • 精神科
      • 神経内科
      • 脳神経外科
      • 呼吸器外科
      • 腎臓内科
      • 心臓血管外科
      • 小児科
      • 整形外科
      • 形成外科
      • 皮膚科
      • 泌尿器科
      • 産婦人科
      • 眼科
      • 耳鼻咽喉科
      • リハビリテーション科
      • 放射線科
      • 歯科
      • 歯科口腔外科
      • 麻酔科
      • 呼吸器内科
      • 循環器内科
      • 緩和ケア内科
      • 消化器内科
      • 糖尿病内科
      • 内分泌内科
      • 脳神経内科
      • 病理診断科
    • 神奈川県横須賀市米が浜通1丁目16
    • 京急本線「横須賀中央駅」 東口 徒歩7分
    • 046-822-2710

    高橋 淳 先生の医療記事

医師のストーリー医師には医師のドラマがある

脳神経外科医の宿命を背負って手術を続ける覚悟がある

NTT東日本関東病院 脳神経外科 ...

井上 智弘 先生

患者さん一人ひとりから学んだことは必ず次に役立てたい

NTT東日本関東病院 循環器内科 部長

山﨑 正雄 先生

やるしかない。その覚悟で脳卒中の治療に取り組んできた

NTT東日本関東病院 脳血管内科部長

大久保 誠二 先生

家族の病気が人生を変えた

横須賀共済病院 化学療法科 部長/...

坂下 博之 先生

他の医師を見る

同じ所属病院の医師

「受診について相談する」とは?

まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

  • <お客様がご相談される疾患について>、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
  • <受診の際には原則>、紹介状をご用意ください。