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手術を行う医師たるもの、技術習得の努力を惜しむことなかれ

DOCTOR’S
STORIES

手術を行う医師たるもの、技術習得の努力を惜しむことなかれ

外科的治療技術の探究と工夫に力を注ぎ続ける平川 和志先生のストーリー

恵佑会札幌病院 泌尿器科 副理事長
平川 和志 先生

自分の技術を生かす仕事がしたい

高校を卒業後に一度工学部へ進学

実は子どもの頃、パイロットになりたいと思っていました。昔から目が悪かったため、パイロットの夢は諦めざるを得ませんでしたが、もし生まれ変わったらパイロットになりたいと思うほど今でも憧れる職業です。

高校卒業後は「パイロットにはなれなくても、何かの技術を身につけてそれを生かした職に就きたい」という思いで、とある大学の工学部に入学しました。

オールラウンドな自分にできることは? 挫折し、医学部進学へと舵を切る

私が入学した大学の工学部には、それぞれの才能を生かして物作りする力を持つ学生が多く在籍していました。数学が飛び抜けて得意だったり、物理学の才能があったり……。しかし残念ながら、私は彼らのように何か一つ突出したものを持っているタイプではなく、どちらかというとさまざまな分野をオールラウンドに成し遂げるタイプの人間でした。

工学部で求められる性質と自分の持つ性質の違いに直面し、愕然としました。そして、自分では限界があるかもしれないと挫折をしてしまったのです。

オールラウンド型の自分にもできる仕事は何だろうかと悩んだとき、医師という職が頭に浮かびました。医師は何か一つの分野に突出した能力よりも、あらゆることをトータルで遂行できる能力が求められるのではないかと思ったのです。そして「今からでも遅くない、医師を目指そう」と決意し、工学部を中退。受験勉強をやり直して、北海道大学医学部に入学しました。

一つの科で診断から治療までを完遂できる泌尿器科の魅力

医学部に進んでからは、ひたすら訓練を積み重ねて技術を習得し、磨き上げていく外科領域に興味を持ちました。もともと技術を生かす仕事がしたいと思っていたことも大きいかもしれません。

卒業後、外科領域のなかでもどの分野に進むかを考えた末に、外科と内科に分かれていない泌尿器科に進むことを決めました。一口に外科といっても、消化器や心臓など、診断は内科中心で行い、手術をはじめとした治療は外科を独立させている分野もあります。一方、泌尿器科は基本的に自分の科で診断から治療までを完結できる診療科で、ここに魅力を感じました。

泌尿器科は脳神経外科や心臓外科のように華やかなイメージはないかもしれませんが、実際に携わってみると非常に奥が深くて面白い領域であると感じますし、この道を選んで正解だったと思っています。

後輩医師指導において重要視するのは“必要以上に教えないこと”

それから年月が経ち、たくさんの訓練と経験を積んだ今の自分自身の技術は、若い頃に比べるとだいぶ成長できているのかなと思います。恵佑会札幌病院で副理事長を務める2020年現在はロボット手術の技術向上や工夫に力を入れており、近年では学会にて、前立腺がんに対するロボット手術において自分で考案した工夫に関する報告をしたこともあります。そうした取り組みは、“技術”を積み重ねていくのが好きだった工学部の学生時代につながるものがあるかもしれません。

日々自己研鑽に努める一方で、指導医として後輩医師の育成・指導を行う機会も増えました。

後輩を教える際に意識していることは、“何もかも手取り足取り教えないこと”です。もちろん、手術は患者さんを治療するためのものですから、後輩医師に手術を任せる場合は私も手術室に入って危険なことがないように見守りますし、本当に重要なことはしっかりと教えます。ただし、必要以上に細かく指導することはありません。誰かに手取り足取り教わって手術を覚えるよりも、実際に手術を見て自分の手で実践し、自分なりの工夫を凝らして技術を覚えたほうが、その医師の成長に貢献できると考えているからです。

優しいだけの外科医では患者さんを治せない

“よい医師”と聞いて、皆さんはどのような医師を思い浮かべるでしょうか。

自分の話を聞いてくれる、入院しているときには頻繁に病室に様子を見に来てくれる、外来で優しく接してくれる……といった“優しい医師”が“よい医師”の条件のように思われている面があるかもしれません。しかし私は、特に外科医における“よい医師”とは“優しい医師”ではなく“技術を持った医師”であると思っています。

もちろん、患者さんに対して優しいことは悪いことではありません。しかし、優しさだけでは患者さんを治すことはできません。いくら優しく話を聞いてくれても手術手技が未熟な医師に対して、患者さんやそのご家族は手術を任せたいと思うでしょうか。技術レベルは、手術の結果を左右することがあります。ですから私は、“優しさ”を意識しながらも、まずはきちんとした技術を持つ医師でいたいです。

今までの医師人生のなかで、先輩医師や後輩医師、恩師など、本当にさまざまな方と一緒に仕事をさせていただきました。若い頃には手術の上手い先生に直接教えていただいた経験もあれば、別の先生と一緒に入った手術後に患者さんが合併症を起こしてしまわれたという経験もあります。

患者さんが術後合併症を起こしてしまった原因のひとつは、当時の技術が未熟だったことにあると思っています。今持つ技術で手術をすれば命を助けられたかもしれない患者さんが、当時の技術では助けられなかった——。これほど悔しいことはありません。外科医としてそうした経験を積み重ねてきたからこそ、外科医に求められるのは技術に基づいた治療をすることであり、技術がなければ患者さんを救うことはできないと考えます。

私はこれからも、確かな技術に基づいた治療を行える医師でありたいと思っていますし、そのための訓練や工夫を惜しまずに行っていくつもりです。

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