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メディカルノート総力特集-甲状腺疾患のすべて-

メディカルノート総力特集-甲状腺疾患のすべて-

橋本病やバセドウ病を整理して考えよう

甲状腺疾患は身近だが不安視しすぎる必要はない

若い方から高齢の方まで、幅広い世代に起こる「甲状腺疾患」(甲状腺の病気)は、日本でも比較的ポピュラーな病気です。たとえば、甲状腺ホルモンの分泌が乱れるバセドウ病は、芸能人の方が発症したことで一般に広く認知されるようになりました。このほか、甲状腺疾患には、疲れやすさなどを主症状とする橋本病や、比較的おとなしいがんである甲状腺乳頭がんなどが挙げられます。甲状腺の病気の多くは「怖い」ものではなく、正しく理解し、適切なタイミングで治療を受けることができれば、以前と変わらぬ健康的な生活を送ることができます。多様かつ身近な甲状腺疾患の全貌を紐解いていきましょう。

甲状腺とは―甲状腺ホルモンは全身の代謝を活性化させる

甲状腺とは―甲状腺ホルモンは全身の代謝を活性化させる

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)や橋本病(甲状腺機能低下症)……これらの名前を聞いたことがある方は多いかもしれません。これらは、女性に頻度の高い病気です。 この病気を理解するために、まずは基礎的なことを知っておきましょう。そもそも甲状腺とはどのような臓器なのでしょうか。甲状腺ホルモンとはどのような働きをしているのでしょうか。横浜労災病院内分泌代謝科部長の齋藤淳先生にお話を

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齋藤 淳

横浜労災病院内分泌代謝内科部長 千葉大学医学部臨床教授

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    そもそも甲状腺とは何?どこにある?

    甲状腺は首の前方にある小さな臓器です。男性でいうのどぼとけの骨「甲状軟骨」の少し下に位置し、重さは20~30グラムほどといわれています。蝶が羽を広げたような形をしており、右葉と左葉にわかれています。通常病気がない状態では、甲状腺は柔らかく、自分で触ったとしてもどこにあるかわかりません。

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    甲状腺の働きとは-甲状腺ホルモンの役割

    甲状腺の働きは「甲状腺ホルモン」と「カルシトニン」を分泌することです。甲状腺ホルモンにはT3、T4の2種類があり、以下2つの役割を果たしています。 (1)全身の代謝を活性化し、調節する 代謝とは、摂取した脂肪や炭水化物などからエネルギーを作り出すことです。 (2)交感神経の活性化 脈を速めるなどの作用があり、常に「小走りで体が動いているような状況(活動状態)」に体を調整します。 つまり、甲状腺ホルモンは「体のアクセルを踏む」「体を元気にする」といった働きを担っているのです。

    橋本病など甲状腺機能低下症とは

    橋本病など甲状腺機能低下症とは

    齋藤淳先生の記事では、「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」についてご説明してきました(参照:「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は女性に多い病気―概要・原因・検査」)。 ここからは甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の逆の症状を現す病気「甲状腺機能低下症」についてご説明します。甲状腺機能低下症も女性に多い病気ですが、まったく症状を引き起こさないケースもあります。甲状腺機能低下症とはどのような病気なのでしょうか

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    杉澤 千穂

    横浜労災病院 内分泌代謝・糖尿病内科

    齋藤 淳

    横浜労災病院内分泌代謝内科部長 千葉大学医学部臨床教授

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      甲状腺機能低下症のなかに「橋本病」が含まれる

      甲状腺機能低下症とは、慢性的な甲状腺の炎症などにより甲状腺ホルモンが出なくなり、活動性が大きく低下するとともにむくみや全身のだるさなどが出現する病気です。男女比は1:10程度といわれています。最も患者数が多く、認知度も高い甲状腺機能低下症が「橋本病」です。

      橋本病の症状

      ・むくみ(粘液水腫) 足や目の上のまぶたにむくみが生じます。圧迫してもへこまないのが特徴です。 ・活動性の低下 活気がなくなります。意欲や気力もなくなり、うつ病と間違えられることもあります。 ・記憶力の低下 忘れっぽくなり、認知機能が低下します。特に、新しくものごとを覚える力が低下します。 ・皮膚の乾燥 皮膚がカサカサになります。ひどくなると肌から粉をふきます。 ・食欲低下と体重増加 代謝が悪くなっているため、食欲がなくなるにも関わらず体重が増加します。 ・脈がゆっくりになる(徐脈) 甲状腺ホルモンが不足すると脈はゆっくりとなり、弱くなってしまいます。 ・月経の異常 女性では月経の周期や経血の量にも影響が出ることがあります。

      「疲れやすい」「息苦しい」橋本病の症状・原因・治療やセルフチェック法まとめ。橋本病になったら妊娠や食事、ダイエットはどうすればいい?◇

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      橋本病は女性に多く、特に30代や40代になると増える甲状腺の病気のひとつです。適切な治療を受けることで健康な人と変わらない生活を送ることができますが、イライラや不安感、元気が出ないといった症状が現れるため、精神疾患や更年期障害と勘違いしてしまったり、「なんとなく不調」と見過ごされてしまうこともあります。 今回は「橋本病のまとめ」と題し、橋本病かもしれない、橋本病になったら妊娠や食事などに制限は

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      小林 裕貴

      横浜市立大学大学院医学研究科 病態代謝内科学 博士課程 / 横浜市立大学附属病院 循環器内科

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        血液検査の結果の見方、橋本病の診断

        橋本病の場合は、FT3とFT4が基準値より低く、TSHが高くなります。くわえて、自己抗体であるTgAb(抗サイログロブリン抗体)とTPOAb(抗ペルオキシダーゼ抗体)は陽性を示します。

        橋本病の治療と薬の副作用

        チラージンという薬を用います。服用回数は1日1回です。 多くの患者さんは服用から1~2か月で血液所見が正常になり、自覚症状からも解放されます。しかし、内服を中止すると再び状態が悪化してしまうこともあるため、長期の服用を要することもあります。

        甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状と合併症

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        甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は女性に頻度の高い、甲状腺ホルモンが出すぎてしまう病気です。バセドウ病ではどのような症状が出るのでしょうか? 気をつけなければいけない合併症はどのようなものでしょうか? 横浜労災病院内分泌代謝科部長の齋藤淳先生にお話を伺いました。 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の代表的な症状 バセドウ病の代表的な症状13点を以下にまとめました。これは、バセドウ病だけではなく

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        齋藤 淳

        横浜労災病院内分泌代謝内科部長 千葉大学医学部臨床教授

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          バセドウ病とは

          甲状腺機能亢進症のうち80%以上をバセドウ病が占めます 甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが出すぎてしまい、それにより甲状腺の腫れ・頻脈・眼球突出などさまざまな症状が出現する病気です。女性に多く、おおよそ10~20人に1人程度の割合で発症する、比較的頻度の高い病気です。

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          甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の検査・診断 

          バセドウ病は以下4つの検査を組み合わせながら診断していきます。 ・診察触診により甲状腺が腫れて大きい状態であれば、甲状腺機能亢進症が疑われます。 ・血液検査・ラジオアイソトープ検査・超音波検査

          甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の治療―抗甲状腺薬の内服

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          甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は女性に頻度の高い、甲状腺ホルモンが出すぎてしまう病気です。バセドウ病はどのように治療をしていくのでしょうか? 横浜労災病院内分泌代謝科部長の齋藤淳先生にお話を伺いました。 内科的治療―抗甲状腺薬の内服 バセドウ病の治療の基本は、抗甲状腺薬です。これにより、甲状腺ホルモンの合成を抑えていきます。 代表的なものはチアマゾールとプロピルチオウラシルです。ほ

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          齋藤 淳

          横浜労災病院内分泌代謝内科部長 千葉大学医学部臨床教授

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            バセドウ病の代表的な13の症状

            ・ 甲状腺が腫れる ・ 眼球突出 ・ 疲れやすくなる ・ 怒りやすくなる ・ どんなに食べても痩せてしまう ・ 頻脈 ・ 動悸・ よく眠れなくなる ・ 汗をかきやすくなる ・ 下痢 ・ 生理不順・ 手のふるえ ・筋力低下

            治療では抗甲状腺薬を用いることが多い

            バセドウ病の治療の基本は、抗甲状腺薬という施設もあります。チアマゾールと呼ばれる抗甲状腺薬で甲状腺ホルモンの合成を抑えます。※妊娠希望の女性などに対し、プロピルチオウラシルを処方することもあります。早い場合には1週間くらいで検査値の改善がみられますが、自己判断での中断は厳禁です。