足立区の医療を支える
綾瀬循環器病院

若年層にも潜む循環器病のリスク――「まだ大丈夫」と放置せず、早期の受診を

写真:PIXTA

若年層にも潜む循環器病のリスク
――「まだ大丈夫」と放置せず、早期の受診を

近年、30代から50代といった若い世代の方や、活動的で元気なご高齢の方であっても、心筋梗塞しんきんこうそくや大動脈解離といった重大な循環器疾患を発症するケースが増加しています。その背景には、高血圧や脂質異常症、肥満などの生活習慣病が隠れていることが少なくありません。循環器の病気は自覚症状が現れにくく、健康診断などで異常を指摘されても「まだ大丈夫だろう」と放置してしまう方が多いのが現状です。
病気を未然に防ぐ、あるいは早期に発見するためには、ご自身の健康に関心を持っていただくことが第一歩となります。もし健康診断で血圧が高いなど引っかかる項目があった場合や、動いたときの息切れや胸の痛みなどを感じた際には、早めに医療機関へご相談ください。その際は、ご自身から「心雑音はないか」「心電図に異常はないか」「BNP*の値は問題ないか」の3点を医師に質問していただくのもおすすめです。この3点を押さえておくだけでも隠れた病気を見つける大きな助けとなりますので、受診された際はぜひ確認をしてみてください。

* BNP:心臓の負担をみる血液検査項目

治療後の未来も“チーム”で守る――心臓リハビリテーションに注力

10年先、20年先の健やかな人生のために
――多様な選択肢を備え健康を支える

医療技術の進歩に伴い、近年ではカテーテル治療や小さな傷で済む小切開手術など、体への負担が少ない治療法の選択肢が広がりました。当院でも、こうした新しい治療法を積極的に取り入れ、患者さんの年齢や体力、ライフスタイルに合わせた柔軟な対応に努めています。
しかし、傷が小さいことや入院期間が短いことだけが、必ずしもよい結果につながるわけではありません。患者さんの状態によっては、従来どおりしっかりと胸を開いて手術を行うほうが、長期的な視点で見ると安全性・確実性が高いケースも多々あります。当院が大切にしているのは、1つの治療法に偏るのではなく、幅広い選択肢の中から、患者さんの10年先、20年先の人生にとって不利益にならない、着実で適切な治療を提供することです。

救急対応から心臓リハビリ、終末期ケアまで――“最後まで責任を持つ”医療

救急対応から心臓リハビリ、終末期ケアまで――“最後まで責任を持つ”医療

血管の病気と心臓は非常に密接に関わっており、たとえば動脈硬化によって足の血管が詰まっている患者さんの多くは、心臓の血管も細くなっている傾向にあります。だからこそ当院では、心臓や足など一部だけを診るのではなく、全身の血管を総合的に管理・治療することを大切にしています。こうした総合的な診療を行うとともに、救急医療体制を整え、治療後のケアにも力を入れています。心臓病は「手術をして終わり」ではありません。当院では心臓リハビリテーションを通じて再発予防や運動機能の維持をサポートし、退院後も長く患者さんの健康を見守ります。
また、当院では治療を受けられた患者さんに対し、“最後まで責任を持って診療にあたる”ことを信条としています。ご高齢になって心不全が進行した際なども、地域のかかりつけの先生や訪問看護ステーションと緊密に連携しながら、患者さんが希望される場所で穏やかな最期を迎えられるよう、終末期の緩和ケアにも多職種で取り組んでいます。「循環器を専門とする病院」と聞くと少し敷居が高く感じられるかもしれませんが、当院ではWeb予約も導入し、皆さんがアクセスしやすい環境を整えています。心臓や血管のことで少しでも不安なことがあれば、いつでもご相談にいらしてください。

心臓弁膜症・狭心症/心筋梗塞・不整脈・大動脈瘤の診療についてはこちら

綾瀬循環器病院における
肥満症・心不全・
末梢血管疾患の診療/低侵襲治療

肥満症の診療

重大な疾患につながる“肥満症”――早い段階での治療介入が重要

肥満という言葉は身近ですが、医学的には「肥満」と「肥満症」は明確に区別されています。日本の定義では、BMI(体格指数)25以上が「肥満」にあたります。その中でも、特に心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こすリスクが高い状態を「肥満症」と定義しています。具体的には、BMIが25以上で高血圧・脂質異常症・糖尿病など定められた11個の健康障害を1つ以上有する場合などがこれに該当します。

重大な疾患につながる“肥満症”――早い段階での治療介入が重要

肥満はまさに“万病のもと”であり、さまざまな病気の上流に位置するものです。肥満を起点として高血圧や糖尿病などの生活習慣病が発症し、それが連鎖的に進行して最終的には心筋梗塞や脳梗塞、心不全といった命に関わる重大な病気へとつながり得ます。この悪循環の連鎖は「メタボリックドミノ」とも呼ばれており、ドミノ倒しの連鎖が始まってしまう手前の段階、つまり上流にある肥満の段階で食い止めることが非常に重要です。

“肥満症外来”を開設し、医学的根拠に基づく肥満症治療を提供

先述のとおり、肥満症は心血管疾患の発症につながるケースが多いため、これを未然に防ぐべく当院では2025年に“肥満症外来”を開設しました。現在の医学において、肥満は単なる体型の問題ではなく、1つの疾患として医療的に介入すべき対象と考えられています。当院の肥満症外来においても、対象となる方であれば保険診療内で治療を受けていただくことが可能です。具体的には、以下の表に当てはまる方が保険適用の対象となります。

“肥満症外来”を開設し、医学的根拠に基づく肥満症治療を提供“肥満症外来”を開設し、医学的根拠に基づく肥満症治療を提供“肥満症外来”を開設し、医学的根拠に基づく肥満症治療を提供“肥満症外来”を開設し、医学的根拠に基づく肥満症治療を提供

「“2つ以上”の条件に当てはまらない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、詳しく検査をしないと分からないこともあります。実際、検査をして新たに異常がみつかるケースもあるため、BMIが27を超えていて、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のうちいずれか1つがある方は、まずは一度受診のうえご相談いただければと思います。
実際の治療では、まず半年間、運動療法と栄養療法にしっかりと取り組んでいただきます。栄養療法では、管理栄養士が日々の食事内容を丁寧にお聞きし、2か月に1回のペースで改善に向けた指導を行います。
半年間取り組んでも十分な改善が得られない場合は、肥満症治療薬を用いた薬物療法を検討します。当院では、週に1回ご自身で注射を行う “GLP-1受容体作動薬”という薬を用いて、定められた投与期間内で治療を進めていきます。臨床試験では10%程度の体重減少の達成が報告されており、効果的な減量が期待できます。
なお、「保険適用の基準を満たさないものの、肥満(BMIが25以上)には当てはまり、将来の健康リスクに備えたい」という方を広くサポートできるよう自費診療*による薬物治療の選択肢もご用意しています。

* 糖尿病治療薬(チルゼパチド)(週1回の自己注射)を活用した治療です。国内では肥満治療目的で承認されていないため、本治療は自由診療(適応外使用)となります。入手経路 : 当院では国内承認薬を医薬品卸業者から仕入れています。費用:料金は診察内容・薬剤の用量により異なります。1本の処方4,500円~月4本の処方 54,000円(費用には診察料を含む。税込)。リスク・副作用:重大な副作用として、低血糖、急性膵炎、胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸、アナフィラキシー、血管性浮腫、イレウスが報告されています。また、そのほかの副作用として、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退などが生じる可能性があります。適応外使用により健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度等による救済の対象外となります。諸外国における承認状況 : チルゼパチドは、米国や欧州などでは肥満症の治療薬として承認されています。日本国内において、同一成分で肥満症の効能・効果を有する承認医薬品はありません。

循環器診療の専門性を生かし、将来の健康をサポートする

循環器診療の専門性を生かし、将来の健康をサポートする

当院は循環器の診療を専門とする病院であり、肥満が進行した先に心筋梗塞など重大な心血管イベント*のリスクが潜んでいることを、私たちは日々の診療を通じて実感してきました。肥満があるとどのような影響があるのか、また減量をすることでどのようなよい影響をもたらすのかといった具体的なアドバイスをできるのが当院の強みです。
なお、当院の肥満症外来では肥満治療に特化して診療を行っています。ほかに患っている病気については、これまでどおりかかりつけの先生に治療を継続していただきながら、当院と並行して診療を進める連携体制をとっています。現在すでに通院されている場合には、まず主治医の先生にご相談のうえ、紹介状をお持ちいただくとよりスムーズな診療が可能です。1人でも多くの方が心血管疾患の不安から解放され、長く健やかに過ごせるよう、しっかりとサポートいたしますので、ご自身の健康が気になっているという方は、ぜひご相談ください。

* 心血管イベント:心筋梗塞や脳梗塞など心臓や血管の異常によって引き起こされる病態の総称

解説医師プロフィール

心不全の診療

地域の“玄関”として、早期発見と切れ目のないフォローを実践

高齢化が進む現在、心不全を発症される患者さんが増えています。当院には90代や100歳を超えてもご自身の足で歩いて通院される元気な患者さんもいらっしゃいますが、年齢とともに病気が進行してくるケースも少なくありません。医療の進歩により高齢の方でも治療の選択肢が広がっているからこそ、病気を早期に発見し、適切な治療へとつなげることが重要です。
綾瀬循環器病院をはじめとする栄悠会グループでは、3つの施設が連携して患者さんをサポートしています。その中で、“あやせ循環器クリニック”は、地域の患者さんが最初に足を運ぶ窓口、いわばグループの“玄関”としての役割を担っています。動いた際の息切れやむくみなど、「なんだか少しおかしいな」と感じたときに、気軽に受診していただける身近な存在でありたいというのが私たちの思いです。地域の開業医の先生方とも強固に連携し、日々の健康管理はかかりつけ医の先生にお願いしつつ、定期的な心臓の精密検査は当院でフォローアップするという役割分担を行っています。

地域の“玄関”として、早期発見と切れ目のないフォローを実践

あやせ循環器クリニック

迅速な検査体制も当クリニックの特徴です。心エコー検査や採血は状況に応じて受診いただいたその日のうちに実施することも可能です。さらに、心筋シンチグラフィという専門的な検査設備も整えており、こうした体制によって、些細なサインを見逃さず、病気が進行する前に早期発見・早期対応ができるよう努めています。継続的なフォローを通じ、ご家族の病歴の変化なども考慮しながら、一人ひとりに寄り添った診療を提供できるのが大きな強みです。

退院は新たなスタート――内科・外科・リハビリ部門が一丸となって復帰を支える

あやせ循環器クリニックの大きな特徴は、循環器内科、心臓血管外科、そしてリハビリテーション部門がグループ内にそろっており、科の垣根を越えたチーム医療を提供できる点にあります。特に心不全の治療においては、いかに再入院を防ぎ、社会生活に復帰していくかというプロセスが非常に重要です。退院後は、例えるなら飛行機が“離陸”したばかりのタイミングです。そこからいかに“安定した飛行状態”に入っていくかが最も重要であり、このデリケートな時期をしっかり支えることが私たちの役割です。

退院は新たなスタート――内科・外科・リハビリ部門が一丸となって復帰を支える

同グループの“あやせ循環器リハビリ病院”とも密に連携しており、退院後はスムーズに外来リハビリを継続できる体制が整っています。リハビリを担当する理学療法士(PT)や医師たちが、患者さんの体重増加や少しの体調不良といったわずかなサインを察知し、必要であればすぐに診察・治療につなげることが可能です。心不全による再入院は、塩分過多やお薬の飲み忘れ、過労など、生活習慣に関わる要因も大きいため、多職種が連携して医学的・社会的な両面から患者さんの生活全体を支えています。

元気に長生きをかなえるために――“科学的根拠”に基づいた心臓リハビリ

心不全の悪化や再発を防ぐためには、患者さんご自身の状態に合わせた適切なリハビリが欠かせません。当院では、“CPX(心肺運動負荷試験)”を導入し、科学的根拠に基づいた安全性の高いリハビリを提供しています。

元気に長生きをかなえるために――“科学的根拠”に基づいた心臓リハビリ

CPXとは、マスクで呼吸状態を測定しながら自転車を漕ぐなどの運動を行う検査です。この検査により、「どのくらいの強度の運動までなら心臓に負担をかけず安全か」を具体的な数値として導き出すことができます。回復にあたっては運動が大切ですが、動きすぎても心臓に負担がかかってしまいます。CPXによってその“安全で効果的な運動の範囲”を見極めることで、一人ひとりの状態に合わせた、いわばパーソナルトレーニングのようなリハビリの提案が可能になります。
私(熊坂 礼音)はこれまで、20年以上にわたって心臓リハビリとCPXの実施に注力してきました。この検査の大きな意義は、身体面だけでなく精神面もサポートできる点にあると実感しています。心臓病を患うと「動くのが怖い」と不安になり、気分が落ち込んでしまう方が少なくありません。しかし、適切な運動の目安が具体的な数値で分かると、自信を持って前向きにリハビリに取り組めるようになり、そうすると自ずと体力が向上し、予後の改善にもつながります。

元気に長生きをかなえるために――“科学的根拠”に基づいた心臓リハビリ

心不全は、生涯にわたって長く付き合っていく必要のある病気です。だからこそ、医療者と患者さんという垣根を取り払い、同じ目標に向かって伴走する対等な“チームの一員”として一緒に治療に取り組む姿勢を大切にしています。心臓リハビリの目的は、「元気に長生きする」という長期的な予後の改善です。妥協することなく必要な医療を提供し、「当院に来たから長く元気でいられた」と感じていただけるよう、一丸となり全力でサポートいたします。

解説医師プロフィール
多田 博子 先生
あやせ循環器クリニック
多田 博子先生
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熊坂 礼音 先生
あやせ循環器リハビリ病院
熊坂 礼音先生
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末梢血管疾患(下肢閉塞性動脈疾患)の診療

見過ごさず一度受診を

足の血管に動脈硬化が起こり、血流が悪くなる病気を下肢閉塞性動脈疾患かしへいそくせいどうみゃくしっかんといいます。足は“第2の心臓”とも呼ばれており、血流が滞って歩行が難しくなると、身の回りのことがご自身でできなくなり、結果として健康寿命を縮めることにつながりかねません。また、進行した場合は、足の切断を余儀なくされる可能性もある病気のため、早期発見と適切な治療が極めて重要です。

見過ごさず一度受診を

とはいえ、軽度の動脈硬化は自覚症状が現れにくく、多くの方は歩行時にふくらはぎなどに痛みが現れて初めて異変に気付かれます。この痛みを単なる筋肉痛や加齢による足腰の不調だと思い込んでしまい、循環器科への受診が遅れてしまうケースも少なくありません。
高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病や、喫煙習慣がある方、あるいはご高齢の方は動脈硬化のリスクが高まるため、特に注意が必要です。「歩くと足が痛い」という場合は、足の血管に原因がある可能性も視野に入れ、一度循環器内科へご相談いただきたいと思います。

“LEAD外来”を開設――即日検査と診療看護師によるケアで足を守る

当院では2025年10月より、足の動脈硬化疾患に特化して専門的な診療を行う“下肢閉塞性動脈疾患外来(LEAD[リード]外来)”を開設しました。当院の一般外来でももちろん診療は可能ですが、LEAD(リード)外来の特徴は、ご来院いただいたその日のうちに検査を行えるよう体制を整えている点です。
診断においては、まず手足の血圧を比較する“ABI検査”や、超音波(エコー)検査といった身体的な負担が少ない検査から行います。一般外来ではどうしても即日実施が難しいこともありますが、LEAD(リード)外来では専用の検査枠を設けているため、その日のうちにスムーズなご案内が可能です。

“LEAD外来”を開設――即日検査と診療看護師によるケアで足を守る

また、診療看護師(NP)が在籍している点も特徴の1つです。足の血流が低下すると爪切りの際や、ちょっとした打撲などでできた小さな傷でも治りにくくなり、足の壊死えし、さらには切断につながる恐れがあります。当院では、傷の処置やケアに精通した診療看護師が、私たち医師と緊密に連携しながらケアにあたっています。医師だけでなく、専門的な視点を持つスタッフが共にケアに関わり、適切な処置を行うことで重症化を防ぐサポート体制が整っていることも当院の強みです。

専門的な治療体制と、科の枠を超えた緊密な連携で予後改善を追求

治療の基本は、リハビリテーションと薬物治療です。適切な歩行リハビリによって足の血管の発達が促されると、血流が改善して症状が緩和されることもあります。「足が痛くなるから十分な運動ができない」という場合でも、グループ内のあやせ循環器リハビリ病院で理学療法士と一緒にリハビリテーションを行っていただくことができます。リハビリテーションと薬物治療を行っても症状が残る場合には、動脈硬化で狭くなっている血管に対する治療(カテーテル治療や外科手術)を検討します。
カテーテル治療は、血管内に細い管(カテーテル)を挿入し、風船やステント(金属の筒)で血管を広げて血流を改善させる治療です。従来は足の付け根からカテーテルを入れていましたが、近年では医療機器の進化に伴い、場合によっては足の付け根ではなく“手首”からカテーテルを挿入して治療することが可能になりました。足の付け根からの治療では、術後に出血を抑えるためベッド上での長時間の安静が必要でしたが、手首からの治療であればその必要がなくなり患者さんの身体的な負担を軽減できます。足の付け根からでないと治療できないようなケースもありますが、手首からの治療が可能そうなケースでは、患者さんの負担を考え、積極的に手首から治療を行っています。

専門的な治療体制と、科の枠を超えた緊密な連携で予後改善を追求

さらに、当院は心臓血管外科の医師が複数在籍しており、内科と外科の垣根が低いことも強みです。日常的に症例の検討を行っており、外科手術(バイパス手術など)のほうが適していると判断した場合は、速やかに外科へ連携します。ひとつの治療法に偏らず、目の前の患者さんにとって適切な治療を提供できる体制を整えています。
気付くことが難しい病気かもしれませんが、地域の皆さんのお役に立てる準備は整えておりますので、気になる症状がある場合はぜひ一度当院へご相談ください。

解説医師プロフィール

胸を切らない(低侵襲)治療とは

広がる心臓弁膜症の治療選択肢――TAVI・MitraClip

大動脈瘤の大半は無症状――小さい段階でも必ず定期なCT検査を

心臓の治療と聞くと、大がかりで怖い手術をイメージされる方も多いかもしれません。しかし近年では、手足などの血管から“カテーテル”と呼ばれる細い管を通して心臓の治療を行う技術が進歩しており、当院でも積極的に取り入れています。カテーテル自体も年々改良されており、現在では数mm程度の傷口で済むことが多くなりました。そのため、小柄な方や90代などご高齢の方、体力に不安がある方であっても、手術を検討することが可能になっています。

大動脈瘤の大半は無症状――小さい段階でも必ず定期なCT検査を

イラスト(左)PIXTA

画像検査にはX線(レントゲン)など複数の方法がありますが、大動脈瘤の検査においては、CT検査がもっとも有用とされています。治療の要否については瘤の大きさによって異なるものの、小さい段階であっても瘤を指摘された方は半年~1年に1回必ずCT検査を受け、瘤の大きさが変化していないかチェックをしましょう。
当院は循環器医療を専門とする病院としての知見を活かし、的確な診断・治療が提供できるよう努めています。北綾瀬駅から徒歩3分と通院しやすい立地にありますので、お近くにお住まいの方で大動脈瘤があると言われている方、あるいは体調で心配なことがある方はぜひお気軽にご来院ください。

>綾瀬循環器病院における心臓弁膜症の診療についてはこちらでも紹介しています。

心房細動に伴う脳梗塞リスクを低減――カテーテルを用いた左心耳閉鎖術

当院では、心房細動(不整脈の一種)に対するカテーテル治療にも力を入れています。心房細動は、心臓内に血栓(血の塊)ができやすくなり、それが脳の血管に詰まることで脳梗塞を引き起こすリスクがある病気です。通常は血栓を防ぐために血液をサラサラにする薬を飲み続けますが、副作用として胃腸などから出血しやすくなるという課題がありました。そこで、薬の副作用にお困りの方に対する新たな選択肢となるのが“左心耳閉鎖術”です。血栓ができやすい心臓のくぼみ(左心耳)をあらかじめ塞いでしまうことで、出血のリスクを伴う薬を減らしたり、休薬したりしながら脳梗塞の予防を図ります。カテーテルを使って治療を行いますので、術後は3日〜5日程度で退院が可能です。

>綾瀬循環器病院における不整脈の診療についてはこちらでも紹介しています。

年齢を理由に諦めず相談してほしい――多職種で支えるカテーテル治療

カテーテル治療を行うにあたっては、事前の綿密な評価が欠かせません。当院では、事前にCT検査などで血管の状態を細かく確認し、もし足の血管からのアプローチが難しい場合には、首や鎖骨の血管から行うなど他の選択肢も含めてより安全性の高い方法を検討します。また、手術前には必ず、循環器内科、心臓血管外科、麻酔科*の医師をはじめ、看護師、放射線技師、臨床工学技士といった多職種でカンファレンスを行い、患者さんのリスクや注意点をチーム全員で共有しています。1人の医師の判断に偏らず、多様な視点から検討したうえで、より安全性の高いカテーテル治療が提供できるよう努めています。

*麻酔科標榜医:田川 学先生

年齢を理由に諦めず相談してほしい――多職種で支えるカテーテル治療

当院は、常に世界基準を上回る安全な治療を目標に掲げ、日々の研鑽を続けてまいりました。その成果もあり、私自身、2022年・2024年・2025年にTAVI部門で「global master」へ選出されました**。
年齢や持病、もともとの心臓や血管の形状によっては、治療に伴うリスクが高くなるケースもあります。当院では、どのようなリスクが考えられるのかをご本人とご家族に丁寧にご説明し、治療方針を決定しています。「もう高齢だから」「持病があるから」と諦めず、少しでも快適な日常生活を取り戻したいというご希望があれば、まずはかかりつけの先生にご相談ください。かかりつけの先生を通じて当院へお越しいただければ、皆さんの健康と、日常生活を取り戻すため私たちが全力でお手伝いいたします。

** Transcatheter Cardiovascular Therapeutics (TCT:心血管カテーテル治療学会)……心臓血管研究財団(Cardiovascular Research Foundation :CRF)が毎年開催する国際学術会議。Global Master:治療技術において世界を牽引する術者として認められ、指導者として選出された医師。

解説医師プロフィール

同医療法人のクリニック

あやせ循環器クリニック
あやせ循環器クリニック
所長 多田 博子 先生
あやせ循環器リハビリ病院
あやせ循環器リハビリ病院
院長 丁 毅文 先生
  • 公開日:2026年9月14日
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