横浜市の医療

大腸がんの罹患者数が多い地域で、早期発見にどうつなげるか

大腸がんの罹患者数が多い地域で、
早期発見にどうつなげるか

横浜市がある神奈川県の総人口は一貫して増加傾向にあります。90年代以降、県内で課題となっているのが、がん罹患者数の増加です。1994年と2014年を比較すると、総人口の伸びは1.11倍であるのに対して、がん罹患者数の伸び率は2.81倍となっています。
神奈川県内で罹患者数の多いがんの1つとして、大腸がんが挙げられます。男性ではもっとも多く、女性では2番目に多いがんとなっています(2018年時点)。神奈川県には大腸がんの診療を専門とする医師が多くいるものの、治療で根治(がんが完全に治る)を目指すにはがんを早期に発見することが重要です。一方、神奈川県の大腸がん検診の受診率は40%台と低い状況であり、各自治体や医療機関は引き続き検診の受診率向上やがんの啓発活動に取り組み続けることが求められます。

横浜市の医療を支える
松島病院

より高精度な技術を駆使し、できる限り負担の少ない治療を目指す

家族や愛する人に自信をもって行える
治療をする

当院は、2024年に100周年を迎えます。昨年5月には、内視鏡検査と炎症性腸疾患(IBD)外来を専門とした松島クリニックと、大腸・肛門疾患を専門とする松島病院とを統合した新病院がオープンとなりました。これまで私たちは、“自分の家族や、愛する人に行うように医療を行う”という信条を持って、治療や病院の運営を行ってきました。自分たちの専門性を大切に、自信を持って治療を行えるよう努めています。この横浜の地でこれからも肛門や大腸の病気で悩む方に安心して来ていただけるよう、専門性という軸をぶれさせずに診療を行っていきたいと考えています。

理事長プロフィール

松島病院の
大腸ポリープ・痔の治療

大腸ポリープの検査と治療

年間1万件を超える大腸内視鏡検査を実施

大腸がんは、40歳以上になると加齢とともにかかりやすくなるとされる病気です。日本人は結腸と直腸にがんができやすく、その約8割はポリープから発生するといわれています。大腸がんになり得るポリープを早期に発見・切除することは大腸がんの予防にも有用ですので、便潜血検査で陽性となった場合は早めに精密検査(大腸内視鏡検査)を受けるようにしましょう。大腸ポリープや早期の大腸がんは自覚症状が基本的に現れないため、体調の変化の有無に関係なくしっかり検査を受けていただきたいと思います。当院では大腸がんのリスクが高くなるとされる40歳以上の方や、血縁者(3親等以内)に胃や大腸などの消化器がんを経験した方がいる場合*には、大腸内視鏡検査を積極的におすすめしています。
大腸内視鏡検査は多くの医療機関で行われていますが、当院の強みは検査実績の多さにあります。毎年14,000件~16,000件ほどの検査を実施しており、2022年度(2022年4月~2023年3月)は計14,468件の検査を行いました。大腸内視鏡検査は技術の習得が難しく、痛みが少なく安全性を担保した検査を行うには医師の経験が重要になります。その点、年間1万件以上の検査をこなす当院では、十分な経験と知識を備えた医師による検査の提供が可能です。実際、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医**を取得している医師も複数在籍しています。

*一部の大腸がんの発生には遺伝が関係しているといわれています
**消化器内視鏡診療に関する豊富な学識と経験を有すると認められた者のみが取得できる資格

大腸ポリープの検査と治療

また、当院では検査のハードルを少しでも下げられればと考えており、前処置(大腸をきれいにする準備)の方法を複数用意しています。過去に「下剤の量が多くて苦しかった」「下剤の味が苦手だった」などつらい経験をした方は、2回目以降の検査になかなか踏み切れないこともあるでしょう。当院では、一般的に用いられる液体タイプの下剤のほか、錠剤タイプの下剤などをご用意しています。ご自宅で検査食(便が残りにくい検査専用の食事)をお召し上がりいただき、夕食後もしくは来院後に少量の下剤を服用する方法など複数の選択肢がありますので、ぜひご相談ください。

大腸ポリープの検査と治療

大腸内視鏡検査の結果、良性と判断できないポリープや大腸がんが見つかった場合は切除を検討します。内視鏡で切除が可能なものであれば当院で治療を行い、それ以外の治療が必要な場合は連携している専門医療機関をご紹介いたします。“自分の愛する人の治療を任せたいと思える医師”を責任持ってご紹介いたしますので、お腹の調子が気になるという方はまず一度当院にご相談ください。

解説医師プロフィール

痔核・裂肛・痔瘻の治療

肛門診療の専門性を生かし、根治性の高い治療の提供を目指す

肛門の疾患には、痔核じかく(いぼ痔)・裂肛れっこう(切れ痔)・痔瘻じろう(あな痔)の3つがあり、これらは“肛門の三大疾患”といわれています。男女共に多いのが痔核、男性に多いのが痔瘻、女性に多いのが裂肛です。お尻のトラブルは緊急性が低いと思われがちですが「痔だと思っていたものが、実は大腸がんだった」ということもあります。たとえがんではなかったとしても痛みや腫れはQOL(生活の質)に大きく影響しますので、お尻の症状がある方は一度肛門の診療を専門とする医療機関を受診いただきたいと思います。実は、肛門の病気は命に直結することが少ないがゆえに、大腸などの消化器病に比べて専門性を備えた医師は少ないのが現状です。当然のことながら“異常”を判断するには“正常”を知らなければならず、正常を知るには肛門の診療を数多く経験する必要があります。その点、当院は開院以来、一貫して大腸・肛門の病気を専門として診療を行ってきました。数が少ないとされる肛門の診療を専門とする医師も複数在籍しており、痔の根治手術だけでも年間3,000件以上の実績*を誇ります。

*2022年度(2022年4月~2023年3月)実績/3,245件(痔核根治手術(脱肛根治含む):2,068件、痔瘻根治手術:1,096件、裂肛・肛門潰瘍根治手術:81件)

痔核・裂肛・痔瘻の治療

手術室

痔瘻の場合は基本的に手術が必要ですが、痔核や裂肛の場合は患者さんの状態にあわせて薬による治療と手術による治療のどちらが適切かを判断します。診察の結果、手術が必要だと判断した場合は、根治性(病気が完全に治る)はもちろんのこと、“肛門の機能を温存する・痛みを減らす”という点も重視しながら具体的な治療方法を決めていきます。他院からのご紹介で来院される患者さんも多くいらっしゃいますので「お尻から出血がある」「痔がなかなか治らない」という方はぜひ我々のもとにいらしてください。

痔核・裂肛・痔瘻の治療

これまで肛門科を受診したことがない方にとっては「お尻を見せるのは恥ずかしい」と感じるかもしれません。ただ、躊躇ためらいがある方こそ、当院へご相談に来ていただきたいと思います。当院の医師たちは長年にわたって肛門の診療を行ってきた経験があり、お尻のお悩みを解決することが使命だと考える者ばかりです。お尻の診療を専門とする病院だからこそ、気軽に受診いただける環境が整っていると思いますので、つらい症状は我慢せず、一緒に解決していきましょう。

解説医師プロフィール

女性専門外来

気軽に受診いただける環境でありたい――女性専門外来を実施

当院では、2023年11月より女性医師による女性専門外来を毎週火曜日と金曜日にスタートしました。お尻というデリケートな場所の診察ではありますが、少しでも気軽に来院いただけたらという思いで開始した診療体制です。女性医師の診察が確約できるのは初診時のみで、その後の検査や処置・再診は男性の医師が行う場合もありますが、ご希望の方はぜひ受付窓口でお知らせください。女性専門外来を開始してからは「肛門の皮のたるみが気になる」「少し痛みがある」など、以前にも増して患者さんが気軽に受診してくださるようになった印象があります。実際、当院に来院される患者さんの約半数は女性で、10歳代の方から70歳代の方まで幅広い年代の方が日々ご相談にいらっしゃいます。

女性専門外来

女性はご家族優先でご自身のことは後回しにされてしまう方が多い印象です。痔だと思っていたものの中に大腸がんが隠れている可能性もありますし、そうでなくても痛みを我慢しながら生活を送るのはつらいはずです。「いつものこと」とご自身で納得せず、しっかり診察・検査を受けるようにしましょう。
女性は便秘になりやすく、硬くなった便を押し出す際に肛門が切れてしまうこともよくあります。また、お尻のトラブルの背景には、排便習慣や生活習慣、妊娠・出産といったライフステージの変化が関わっていることも多いです。当院では、質の高い治療を提供するのはもちろんのこと、再発を防ぎ、患者さんが健康的な生活を送れるお手伝いをすることも使命だと考えています。些細な症状であっても「これくらいで相談するのは気が引ける……」などと思う必要はありませんので、原因の解決も含め一緒に相談しながら治療を進めていきましょう。なお、生理中・妊娠中・授乳中であっても、診察に支障はありません。気にせずいらしてください。「松島病院に相談してよかった」と思っていただけるような病院であり続けるために、これからもスタッフ一同努力を重ねてまいります。

解説医師プロフィール
松島 小百合 先生
松島 小百合先生
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  • 公開日:2024年5月14日
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