大腸・肛門疾患の医療

多岐にわたる肛門疾患――「いつものこと」と軽視せず、まずは病院へ相談を

写真:PIXTA

多岐にわたる肛門疾患
――「いつものこと」と軽視せず、まずは病院へ相談を

肛門こうもんの病気は痔など身近なものも多い一方で、診療には高い専門性が求められます。広く知られている痔核じかく(いぼ痔)のほか、痔瘻(あな痔)、肛門周囲膿瘍こうもんしゅういのうようなど、肛門疾患は多岐にわたります。こうした病気は便通の乱れが原因となることが多く、単に薬を使うだけでなく、排便のコツやお尻の洗い方といった専門的な生活指導を併せて受けることが、再発を防ぐ大きな鍵となります。また特に“出血”には注意が必要です。自己判断で「いつもの痔だろう」と放置していると、その陰に大腸がんや炎症性腸疾患が隠れているケースも少なくありません。また、裂肛(切れ痔)の悪化で肛門が狭くなると、将来的に大腸内視鏡検査が困難になり、がんの発見を遅らせるリスクもあります。気になる症状がある場合には、一度肛門の診療を専門とする病院に相談しましょう。

お尻のお悩み全般に寄り添った診療を提供
肛門科なかやま病院

“大切な人を紹介できる病院”を目指し切れ目ないがん治療を届ける

地域に根差したお尻の専門的な病院として健やかな日常を支える

当院はお尻の悩みを専門的に扱う“肛門科”の病院として、1987年の開院以来、30年以上にわたり札幌市厚別区で診療を続けてまいりました。
私たちの役割は、単に痔の治療を行うことだけではありません。お尻周りのトラブルは多岐にわたり、肛門周囲のかぶれや粉瘤ふんりゅうなどの皮膚疾患が原因であることもあります。どのような症状であっても「お尻の悩みなら、ここに来れば大丈夫」と思っていただけるよう、幅広い病気の診療に対応しています。診察では、現在の状態に応じた治療の選択肢を丁寧にご提示し、患者さんご自身が納得できる方法を共に選ぶことを何よりも大切にしています。
当院の大きな特徴は、長年研鑽を積んできたスタッフがそろっていることです。専門知識はもちろん、これまで患者さんと向き合ってきた経験から、お尻の病気特有のつらさや不安に寄り添い、入院生活や術後のケアも細やかにお手伝いいたします。
JR厚別駅から徒歩2分とアクセスがよく、30台分の駐車場も完備しています。土曜午前の診療も行っておりますので、平日はお忙しい方もどうぞご安心ください。痔の程度によっては日帰り手術や短期間の入院での手術も行っています。
お尻の腫れや痛みは病気を問わずつらいものです。「どこに相談すればよいか分からない」というときは、ぜひ一度私たちにご相談いただければと思います。長年の経験と温かなケアで、健やかな毎日を取り戻せるよう全力でサポートいたします。

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理事長・院長プロフィール

肛門科なかやま病院における
痔核・裂肛・痔瘻の診療、
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

痔核(いぼ痔)の診療

放っておくと悪化することも――お尻の違和感は早めに受診を

放っておくと悪化することも――お尻の違和感は早めに受診を

イラスト:PIXTA、加工:メディカルノート

いぼ痔には、お尻の内側にできる“内痔核”と、外側の出口付近にできる“外痔核”の2種類があります。排便時のいきみや長時間の座り仕事など、お尻に負担がかかる生活を繰り返す中で肛門周辺の血管がうっ血して膨らみ、こぶのようになった状態をいいます。デリケートな部位のため受診を躊躇ちゅうちょされる方も多いですが、放置して悪化すると、日常生活に支障をきたす恐れがあります。痔核ががん化することはありませんが、出血を繰り返すうちに重度の貧血になり、輸血が必要な状態になるケースもあるため、早い段階で適切な治療を受けていただくことが大切です。2~3日様子を見ても腫れや違和感が治まらないときや、出血が続くときは迷わずご相談ください。

放っておくと悪化することも――お尻の違和感は早めに受診を

イラスト:PIXTA

内痔核の場合、まずはその重症度をI度からIV度の4段階で判断していきます。I 度は内側にいぼ痔があるものの外には出てこない状態、II度は排便時に肛門外に飛び出る(脱出)ものの自然に元に戻る状態を指します。そしてIII度になると脱出後に指で押し込まないと戻らなくなり、IV度では常に脱出したままとなります。III度以上になると基本的には手術を検討しますが、状況に応じてまずはお薬で様子を見ることも可能です。

痛みに配慮した痔核治療――経験に基づき適切な治療を提供

当院では、患者さんの状態やご希望に合わせて、適切な治療法を選択しています。内痔核に直接薬剤を注入して固めるALTAアルタ療法は、いわゆる“切らない治療”で、出血が多い方や II度以上の脱出症状がある場合に適した方法です。
一方で、痔核を切り取る“結紮切除術けっさつせつじょじゅつ”は、オーソドックスで再発の少ない根治治療となります。当院では術後の出血リスクを徹底管理するため、1週間程度の入院を推奨しています。万が一の事態にも、経験を積んだスタッフがケアを行いますのでご安心ください。
手術を検討する際に、特に不安に思うのは術中や術後の痛みではないでしょうか。当院では長年培ってきた知見をもとに、患者さんの負担を最小限に抑えるための工夫を重ねています。手術中は痛みを感じないよう広範囲にしっかりと麻酔を施すほか、術後も、持続的に痛み止めを投与できる持続硬膜外麻酔などを併用し、できるだけ痛みが少なく療養できるよう工夫をしています。診療においては肛門鏡の写真や図を用いて丁寧にできるだけ分かりやすくご説明できるよう努めています。治療にあたって分からないことや不安なことがあれば、遠慮なくお尋ねいただければと思います。

痛みに配慮した痔核治療――経験に基づき適切な治療を提供

なお、こうした治療と並んで重要なのが、日々の生活習慣の改善です。いぼ痔は職業病の一面もあります。座っている時間が長い長距離ドライバーの方や事務職の方、あるいは重い荷物を扱う機会の多い方は、特にお尻への負担が蓄積しやすい傾向にあります。定期的に休憩時間を設けるなど、日ごろからお尻への負担を軽減した生活を意識していただくとよいでしょう。適切な治療と生活習慣の改善を通じて、再発することのない健やかな体づくりを一緒に目指していきましょう。
また、清潔を保とうとするあまり、ウォシュレットを過度に使用したり、入浴時に患部を石鹸で強く洗ったりすることは、かえって症状を悪化させる原因となります。ウォシュレットの使用は10秒以内にとどめ、入浴時もシャワーで優しく流す程度にするのが望ましい習慣です。

解説医師プロフィール

裂肛(切れ痔)の診療

慢性化すると肛門が狭くなることも――“いつものこと”と思わず一度受診を

慢性化すると肛門が狭くなることも――“いつものこと”と思わず一度受診を

写真:PIXTA

硬い便を無理に出そうとしていきんだり、下痢を繰り返したりすることで、肛門の出口付近の皮膚が切れてしまうのが“裂肛(切れ痔)”です。よくあることと見過ごされがちですが、慢性化(慢性裂肛)には注意が必要です。切れ痔を繰り返すと傷が治りにくい状態になり、その部分が炎症によって硬くなり肛門がどんどん狭くなっていきます。肛門が狭くなるとさらに便が通りにくくなり、再び切れるという悪循環に陥ります。
また、極端に狭くなると、将来的に大腸内視鏡検査ができなくなるケースもあり、中には指も入らないほど狭くなってしまう方もいらっしゃいます。大腸内視鏡検査ができないということは、がんなどの重大な病気を見落とすリスクにつながります。「ただの切れ痔」と軽視せず、繰り返すような場合は早めに病院を受診いただきたいと思います。

薬物療法と適切な生活習慣の指導により、侵襲を抑えた切れ痔の治療を提供

切れ痔の治療の基本は手術ではなく、まずは薬物療法と生活指導による便通の改善です。多くの場合は、お薬と生活習慣の見直しで治癒を目指せます。たとえば便秘の場合、まず取り組んでいただきたいのが水分の摂取です。個人差はありますが、1日に1.5から2L程度の水分を意識的に取ることで便が軟らかくなり、お尻への負担が軽減されます。当院では、便秘や下痢の改善に向けた内服薬の調整とともに、お尻に優しい排便習慣を丁寧にお伝えしています。

薬物療法と適切な生活習慣の指導により、侵襲を抑えた切れ痔の治療を提供

写真:PIXTA

すでに慢性化して肛門が狭くなってしまった場合には、外科的な処置が必要になることもあります。麻酔をかけた状態で、硬くなった肛門をゆっくりとストレッチするように広げる“用手的肛門拡張術”や、硬く盛り上がってしまった傷口を取り除き、お尻の広さを確保する“裂肛切除術”、“皮膚弁移動術(SSG法)”などが選択肢となります。これらの処置により、排便時の痛みを緩和し、大腸カメラがスムーズに入る正常な状態へと整えることを目指します。「便秘(あるいは下痢)くらいで」と躊躇する必要はありませんので、お困りの方はお気軽にご相談いただければと思います。

解説医師プロフィール

痔瘻(あな痔)の診療

放置はがんの恐れも――自分で見えない場所だからこそ早めに相談してほしい

痔の中でも特に注意が必要なのが痔瘻(あな痔)です。痔瘻とは、肛門内の小さなくぼみ(肛門腺)に細菌が入り込んで感染を起こし、うみの通り道であるトンネルができてしまう病気です。最初は、肛門周囲膿瘍こうもんしゅいのうようという、激しい痛みで座ることも困難なほど膿がたまって腫れ上がる状態から始まります。主な原因は下痢であり、下痢によって細菌が肛門の奥に入り込みやすくなるために起こります。

放置はがんの恐れも――自分で見えない場所だからこそ早めに相談してほしい

イラスト:PIXTA

特に糖尿病を患っている方や免疫抑制薬を使っている方は、細菌感染が一気に広がり、フルニエ症候群と呼ばれる命に関わる重篤な状態に陥るリスクもあります。また、痔瘻は自然に治ることはありません。そのまま十年以上という長期間放置し続けると、そのトンネルから痔瘻がんが発生する可能性もあります。
肛門は自分では見えないため、膿がお尻の穴から出ているのか、それとも外側から出ているのか判断がつきにくい場所です。お尻の痛みや腫れ、膿が出るなどの違和感があるときは、「単なる痔だろう」と自己判断せず、早めに病院を受診いただきたいと思います。

機能温存の手術と手厚いケアで、痔瘻の根治と安心を支える

先述のとおり痔瘻は自然に治ることがないため、手術が必要になります。私たちは病状に合わせて肛門の機能を最大限に守る治療の提供に努めています。治療法には、膿の通り道を周囲の組織と一緒にきれいにくり抜く“くり抜き法(括約筋温存術)”や、瘻管ろうかん(トンネル)に医療用の輪ゴムを通し、時間をかけて徐々に筋肉を修復させながら治していく“シートン法”などがあります。当院の強みは、こうした手術の技法だけでなく、術中・術後のきめ細かなケアにあります。当院の看護師やスタッフは長年にわたってお尻の病気と向き合い続けてきた者ばかりです。手術後の痛みや傷口のケア、排便の不安などにも親身に寄り添った対応に努めていますので、些細なことでも遠慮なくご相談いただければと思います。

痛みに配慮した痔核治療――経験に基づき適切な治療を提供

また、痔瘻の背景にクローン病などの炎症性腸疾患が隠れていないかをチェックすることも非常に重要です。特に若い方で便通の悩みがなかなか改善しないような場合には、大腸内視鏡検査を行い、腸全体の健康状態を確認することもあります。これまでに培った経験を生かし、よりよい医療の提供に努めていますので、どうかお一人で悩まず、お気軽にご来院ください。

解説医師プロフィール

大腸内視鏡検査について
(大腸カメラ)

出血などの違和感は放置せず、一度検査を

お尻から出血があると、「きっと痔だろう」と判断してしまいがちですが、実はその出血は大腸がんやポリープなど何らかの病気のサインである可能性があります。特に40歳以上の方、あるいはご家族に大腸がんを患った方がいらっしゃる場合は、大腸がんのリスクが高くなるといわれていますので、一度大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けていただくことをおすすめします。また、健康診断で便潜血検査が陽性だった方も決して「たまたま」と思わず、早めに精密検査を受けるようにしましょう。大腸がんは早期診断、早期治療が重要な病気です。

出血などの違和感は放置せず、一度検査を

写真:PIXTA

大腸内視鏡検査の大きな目的は、ご自身の腸の健康状態を確認することにあります。一度検査をして異常がなければ、基本的には次の検査は5年後でも大丈夫だといわれています。まずは今の腸の状態を知ることが、健やかな毎日を過ごすための第一歩となりますので、敬遠しすぎずぜひ検査を受けていただきたいと思います。
検査に対して、「痛みが心配」「下剤を飲むのが大変そう」といった不安を感じる方も多いかと思いますが、当院ではそうした負担を少しでも軽減できるよう体制を整えています。たとえば、下剤を飲んだ後の移動に不安がある方や遠方からお越しの方は、院内で下剤を服用していただけます。そのほか心配なことがあれば、どうぞお気軽にお尋ねください。

肛門から大腸までを包括的に診察し、お尻の悩みにトータルに応える診療体制

大腸内視鏡検査そのものは、早い方であれば15分程度で終了します。終了後は、院内で少しお休みいただき、体調に問題がないことが確認できたらご帰宅いただけます。検査中にポリープが見つかった場合には、ポリープの大きさや形に応じてその場で切除することも可能です。こうした検査やポリープの治療は一般的な消化器内科でも受けることができますが、実は肛門診療の専門知識を併せ持つ医師は、それほど多くないのが現状です。当院が大切にしているのは、大腸の中だけでなく、お尻の状態までをセットで診るトータルな診断です。
お尻からの出血があった際、その原因が大腸にあるのか、それとも肛門にあるのかを総合的に判断することは、肛門の診療を専門とする当院の役割だと考えています。腸とお尻、その両面からアプローチすることで、お一人おひとりに合わせた、より安心感のある治療方針をご提案できるよう努めています。

解説医師プロフィール
  • 公開日:2026年3月4日
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