埼玉県南西部の医療を支える
埼玉病院 循環器内科

24時間365日、
断らない循環器診療の実現を目指す
当科では、“24時間365日、断らない循環器診療”をモットーに掲げ、患者さんと日々向き合っています。循環器の病気は命に関わるものが多く、発症からいかに早く適切な治療を行えるかがその後の経過を大きく左右します。そのため当科では、夜間や休日を含めて常に循環器専門医*が常駐し、一刻一秒を争う救急患者さんをいつでも受け入れられる体制を整えています。
当科には15名の循環器内科医が在籍しており、循環器専門医の資格を持つ医師については、ほとんどがカテーテル治療の専門資格(日本心血管インターベンション治療学会認定医)も取得しています(2026年5月時点)。特に急性心筋梗塞に対する緊急カテーテル治療に注力しており、年間約300件**のカテーテル治療のうち、半数近くが緊急を要する心筋梗塞の患者さんです。心臓カテーテル室を2部屋備えているため、予定していた治療の最中に緊急の患者さんがいらっしゃった場合でも、滞りなく速やかに治療を開始することが可能です。
日本循環器学会認定 循環器専門医
2025年度(4月~翌年3月)365件

急性期の高度救命から慢性期治療まで
包括的な診療体制を整備
重症の心不全やショック状態にある患者さんの命を救うため、IMPELLA(インペラ:心臓のはたらきをサポートする補助循環用ポンプカテーテル)やECMO(エクモ:体外式膜型人工肺)といった高度な医療機器も導入し、積極的な救命治療を行っています。
こうした救命治療をスムーズに提供するためには、地域の医療機関や救急隊との連携が欠かせません。近隣の開業医の先生方や、地域の中核的な病院とこまめにコミュニケーションを図り、患者さんの転院搬送や慢性期治療の連携を行っているほか、地域の救急隊とも合同で検討する機会を設け、搬送時間の短縮に向けた取り組みを行っています。

埼玉病院 循環器内科チーム
胸の違和感はためらわず受診を――思いに寄り添い、24時間体制で地域の命を守る
循環器の病気は命に直結するものも多く、診療の際は十分なコミュニケーションが欠かせません。特にご高齢の患者さんが増えている現在、「どこまでの治療を希望されるか」というお考えは一人ひとりで異なりますし、その選択は命にも深く関わります。だからこそ、当科においては、決して医師の考えだけが一人歩きすることのないよう、患者さんやご家族としっかりと話し合い、ご納得いただいたうえで共に治療方針を決めていくことを何よりも重視しています。
この埼玉南西部地域において、循環器医療の最後の砦となれるよう覚悟を持って日々の診療に向き合ってまいりました。心臓の病気は「明日や明後日まで待とう」と様子を見ているうちに、取り返しのつかない事態を招きかねません。充実した設備とスタッフを配置し、24時間体制で対応していますので、少しでも胸に違和感や心配な症状があれば、おひとりで悩まず、いつでも遠慮なく受診いただければと思います。

埼玉病院における
心不全・不整脈(心房細動)の診療、循環器集中治療
心不全の診療
多角的な視点と強固なチーム医療で、心不全に対し適切な医療を届ける
心不全とは、心筋梗塞や心臓弁膜症、不整脈など何らかの原因で心臓のはたらきが低下し、息切れやむくみが起こる病気のことをいいます。発症しても治療を受ければ症状は改善しますが、繰り返すことで徐々に状態が悪化していくため、正確な診断と適切な治療が極めて重要です。

写真:PIXTA
さまざまな原因で発症するため、中には診断が難しいケースも存在します。当院においては15名の循環器内科医が在籍しており*、医師間で綿密なカンファレンス(症例検討会)を行うことで、多角的な視点からより的確な診断へとつなげています。治療においても、一般的なカテーテル治療をはじめ、不整脈の治療やペースメーカーなどのデバイス(医療機器)を植え込む手術まで、幅広く対応可能です。より高度な医療が必要な場合には、大学病院などと速やかに連携し、一人ひとりの状態に応じた医療を提供できるよう体制を整えています。
また、医師だけでなく、心不全療養指導士(日本循環器学会が認定する資格)の資格を持った看護師、薬剤師、管理栄養士など、多職種がチームとなって患者さんをサポートしています。それぞれの専門性を生かし、心不全の悪化を遅らせ、症状を繰り返さないためのサポートをチーム全体で行えることは当院の大きな強みの1つです。
2026年5月時点
“心不全療養相談外来”と適切な運動指導による再入院予防に尽力
心不全は、入退院を繰り返すたびに状態が悪化していくため、再入院を防ぐことが非常に重要です。当院ではそのための工夫として、看護師が担当する“心不全療養相談外来”を設けています。この外来では、看護師が患者さんお一人につき30分かけて、心不全手帳を拝見しながら体重の変化や日々の食事内容を丁寧にお聞きします。「少し塩分が多いので気を付けましょう」といった具体的なアドバイスを行ったり、患者さんのお困り事をお伺いしたりすることで、症状の悪化を未然に防げるよう努めています。気になる変化がみられた場合には、すぐに私たち医師へ連絡が入り、速やかに治療へとつなげられる体制を構築しています。

さらに、患者さんお一人おひとりに合わせたリハビリテーションの提供にも力を入れています。心肺運動負荷試験(CPX)という検査を行い、ご自身の心臓にとってどの程度の運動が適切なのかを具体的に評価します。過度な運動はかえって心臓の負担になりますが、この検査によってテーラーメイドのアドバイスをお伝えすることで、より安全にリハビリに取り組んでいただけます。
心不全の早期発見に向けて――地域に開かれた循環器診療を実践
心不全という病名は耳にしたことがあっても、具体的にどのような状態を指すのかをご存じない方も少なくありません。まずは息切れや足のむくみといった“心不全のサイン”を知っていただき、これらの症状に気付いたときには、放置せずお近くの医療機関へ一度ご相談ください。また、ご自身では気付けなくても、健診をきっかけに心臓の異常が見つかるケースも多いため、定期的な健康診断を受けることも非常に大切です。

地域の先生方におかれましても、「専門科に紹介して、もし違ったら……」とためらわれることがあるかもしれませんが、何も問題がなければそれに越したことはありませんし、遠慮なくご相談いただければと思います。当院の循環器内科では、全員が循環器専門医*であると同時に、大半が総合内科専門医**の資格も有しているため、内科的な視点も含めた幅広い対応ができるのが強みです。午後の急なご相談などであっても柔軟に対応いたしますので、少しでも心配な症状がみられる患者さんがいらっしゃいましたらお気軽にご相談いただければ幸いです。
日本循環器学会認定 循環器専門医
日本内科学会認定 総合内科専門医

不整脈(心房細動)の診療早期発見・早期治療が重要――地域と連携し、診断精度の向上に努める
心房細動とは、不整脈の一種で、心房(心臓の上の部屋)が細かくけいれんする病気をいいます。この病気は、動悸などの不快な症状が現れるだけでなく、心臓内にできた血栓(血の塊)が脳の血管に詰まって脳梗塞を引き起こしたり、心機能が低下して心不全を招いたりするリスクがあります。また、進行すると心臓の構造自体が変化し、その変化によって心房細動が起こりやすくなる悪循環に陥るため、できるだけ早いタイミングで発見し、適切な治療を行うことが重要です。

イラスト:PIXTA
診断にあたっては異常な脈の検出が必要になりますが、心房細動は発作性に生じることもあり、検査中(心電図の記録中)に発作が起こらない場合は診断がつきません。当科では治療が必要な方を適切に拾い上げるべく、一般的な心電図検査に加えて、24時間の心電図を記録するホルター心電図検査や、発作が起きた際に患者さんご自身で波形を記録できる携帯型心電計の貸し出しを行っています。そうして記録されたデータから不整脈のサインとなるわずかな波形の違いも決して見逃さないよう、臨床検査技師をはじめ、多職種で協力しながら日々の診療にあたっています。
こうした検査体制に加えて、当院は地域の中核的な病院として、開業医の先生方とも緊密な連携体制を敷いていることも強みの1つです。地域の先生方のもとで心電図を実施した際に異常を疑う波形が検出された場合は当院へご紹介いただき、私たちが専門的な視点で解析・診断をするなど地域一体となって、診断精度の向上に努めています。
3Dマッピングシステムを活用し、より安全性の高いアブレーション治療を提供
心房細動の治療には、大きく分けて薬物療法とカテーテル治療(カテーテルアブレーション)があります。カテーテルアブレーションとは、足の付け根などの血管からカテーテルと呼ばれる細い管を心臓まで通し、不整脈の原因となっている部分を焼灼する治療法です。

イラスト:PIXTA
当院では“3Dマッピングシステム”を導入し、より精度の高いカテーテル治療の提供に努めています。不整脈は心臓の電気信号の異常によって起こりますが、このシステムを活用することで、目に見えない電気の流れをコンピュータ上に立体的に見える化することができます。心臓の形や不整脈の原因となる場所は患者さんによって千差万別ですが、可視化された情報をもとに治療すべき部分を正確性高く探し出せるようになり、より安全性の高い治療につながります。

「心臓の治療」というと怖い気持ちが大きくなってしまうかと思いますが、治療は鎮静下で行いますので、眠っている間に終了します。入院期間については原則4泊5日とし、十分に経過を観察してから退院いただいています。
専門性を生かし幅広い不整脈治療に対応――胸の違和感は一度相談してほしい

近年、高齢化に伴い不整脈の患者さんは増加傾向にあります。心臓の病気は、理解が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。ご自身の状態が分からないまま治療を進めるのは、とても不安なことだと思います。だからこそ、当院ではできるだけ専門用語を使わず、分かりやすい説明を心がけています。患者さんご自身に“自分の心臓で何が起きているか”をしっかりご理解いただいたうえで、一緒に適切な治療法を選択していくことを大切にしています。心房細動に対するカテーテルアブレーションはもちろんのこと、ペースメーカーや植込み型除細動器などの不整脈の治療全般に幅広く対応していますので、動悸などの症状で不安に感じている方は、まずは一度ご相談ください。

重症症例に対する循環器集中治療
緊密な連携体制を敷き、一分一秒を争う心疾患の早期治療・救命に尽力
当院が位置する埼玉県南西部地域は、都内と比較すると夜間や休日に救急搬送を受け入れられる医療機関が限られる傾向にあります。そのため当科では、広域からの救急要請にもお応えできるよう、15名の循環器内科医が交代しながら、常勤医による24時間365日の救急受け入れ体制を整えています(2026年5月時点)。

写真:PIXTA
心筋梗塞のように、発症から治療開始までの時間が生死を分ける病気に対しては、一刻も早い対応が求められます。そのため当院では、一般的に目標とされている“病院到着から90分以内の再灌流(詰まった血管を開通させ血流を取り戻すこと)”を目指し、救急車から連絡を受けた時点で、患者さんが到着する前から医師、看護師、臨床工学技士、放射線技師などが緊密な連携体制を敷いています。
24時間稼働のCCUと高度な医療体制を備え、地域の心血管救急医療を支える
当院では、心筋梗塞や重症心不全といった極めて重篤な状態の患者さんを24時間体制で集中的に管理する“CCU(冠疾患集中治療室)”を8床備えています(2026年5月時点)。CCUには救急対応の経験を積んだ医療者が常駐しており、入院直後の急性期からその後の経過に至るまで、いつでも即座に対応できる体制を整えています。
また、心停止の危険を伴う心原性ショックなど重篤な状態の患者さんを救命するため、IMPELLA(インペラ:心臓のはたらきをサポートする補助循環用ポンプカテーテル)やECMO(エクモ:体外式膜型人工肺)といった高度な医療機器も導入しています。特にインペラを用いた高度な補助循環治療を提供できるのは、埼玉県南西部地域において当院のみです(2026年5月時点)。

写真:PIXTA
当科には9名の循環器専門医が在籍しており、さらに集中治療科専門医である私を含め、それぞれが救急科専門医や不整脈専門医など、各領域の専門資格も併せ持っています*。この強固なチームでそれぞれの知識と経験を結集し、1人でも多くの方の命をつなぐべく尽力しています。
日本循環器学会認定 循環器専門医、日本集中治療医学会認定 集中治療科専門医、日本救急医学会認定 救急科専門医、日本不整脈心電学会認定 不整脈専門医(医療者の在籍情報については2026年5月時点の情報です)
救命後の未来も見据えたチーム医療を実践
当院においては、年間150件以上*の緊急のカテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション(PCI))の実績を有することも強みの1つです。日本循環器学会による解析では、PCIの実施件数が多い施設に搬送された場合ほど、その後の経過(予後)がよいという結果が示されています。当院は、この積み重ねてきた実績を基盤として、地域における救命率向上に大きく貢献していると自負しております。
2025年度(4月~翌3月)実績

さらに、急性期を脱した患者さんに対しては、入院中から退院後の再発予防に向けたサポートに力を入れています。医師だけでなく、看護師、理学療法士、薬剤師、管理栄養士などの多職種チームが連携し、心臓リハビリテーションや、服薬指導、食事を含む生活習慣の見直しを手厚く行い、自信を持って社会復帰への第一歩を踏み出せるよう支援しています。
胸の強い痛みなど、危険なサインを感じたときは、決して我慢せずに救急車を呼んでください。病気にならないことが一番ではありますが、もしそうなった場合でも「この病院でよかった」と思っていただけるよう、これからもチーム一丸となって尽力してまいります。

- 公開日:2026年7月1日