札幌市の医療
脳卒中・心血管疾患が
増加すると推測される
国内の人口が徐々に減少しつつあるなか、札幌市全体の人口は約197万人(2024年5月1日時点)と増加し続けています。高齢化率も全国平均と大差がないため、2045年までに脳卒中による外来・入院患者の数が増加し、心筋梗塞も微増すると推測されています。現在、札幌市内の救急医療体制は成熟しており、市内の病院が当番制で救急搬送を受け入れる仕組みが構築されています。また脳の病気に対する人々の関心は高く、国内初の脳ドックが札幌の病院で実施されたという歴史からもうかがい知ることができます。医学の発展・医療技術の進歩とともに予防できる病気も少しずつ増えており、今後さらに脳や心臓・血管の病気を未然に防ぐ取り組みの活発化が期待されます。
札幌市の医療を支える
札幌孝仁会記念病院
地域の方々にとって
“なくてはならない病院”であり続ける
当院は、脳卒中、心臓病、がんの三大疾病に加え、運動器(整形外科領域)の病気に対する医療を広くカバーしつつ、予防医療や健診事業、24時間365日の救急体制を整えています。特に医療技術の発展とともに進化している心身への負担が少ない治療、たとえば脳の病気に対しては鍵穴手術やカテーテル治療、心臓の病気に対してはTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)やMICS(低侵襲心臓手術)などに積極的に取り組んでいます。心血管疾患と脳卒中は“循環器病”と呼ばれ関連性が深く、さらに迅速な診断と治療を要する場面が多くあります。心臓血管外科と循環器内科、脳神経外科の協働体制を整えていますので、安心して治療を受けていただければと思います。
札幌孝仁会記念病院の
脳卒中・狭心症・心臓弁膜症・不整脈の治療 不整脈・狭心症・心臓弁膜症
脳卒中の治療
脳卒中の治療
脳卒中の治療
救急搬送の受け入れと脳卒中の予防的治療に尽力
脳卒中の患者さんは救急搬送されてくるケースが多いですが、手足のしびれやめまいなどの症状を訴えて外来を受診される方もいらっしゃいます。そのほか突然の頭痛、舌のもつれ、言葉が出づらい、顔の半分が動かないなどの症状が起こり得ますので、ご本人でもご家族でも、異変に気付いたら一刻も早く救急車を呼んでください。当院は24時間365日救急搬送を受け入れる体制をとっており、脳梗塞の中でも特に重症化しやすい心原性脳塞栓症に関しては超急性期の治療として有効とされている“血管内機械的血栓回収療法”を行える医師が常駐しています(2024年6月時点)。また、くも膜下出血や脳出血に対しては迅速に外科的治療に移行できる体制を整えております。
頭痛やめまいなどの症状や健康診断などをきっかけに未破裂脳動脈瘤(破れていない脳動脈瘤)が発見された場合は、低侵襲な鍵穴施術とカテーテルを用いた治療を受けることが可能です。脳動脈瘤が破裂すると“くも膜下出血”が起こり、命に関わる場合も少なくありません。もし未破裂脳動脈瘤が発見されたら治療を検討してください。特に両親や兄弟に脳動脈瘤やくも膜下出血の既往歴がある方は、一度検査を受けていただくことをおすすめします。
退院後の生活や経済面の不安もサポート
脳卒中を発症すると、後遺症によってうまく話せなかったり、症状や体の状態を思うように表現できなかったりする場合も少なくありません。そのため私は患者さんの様子を丹念に観察してその方の目線に立ち、伝えようとしていることをしっかりと受け止められるよう心がけています。ご家族には脳卒中の後遺症などの正しい知識を持っていただくことが非常に重要ですので、丁寧に説明をしています。退院後の生活や療養については、入退院支援センターでメディカルソーシャルワーカーが相談をお受けしていす。“脳卒中相談窓口”でも経済的な不安や介護・福祉サービスのことなど、さまざまな相談を無料で受け付けていますので、ぜひご利用ください(対象は、当院に入院中、または入院歴のある患者さんとそのご家族となります)。
脳卒中は迅速に正しい治療を行えば、予後を改善できる可能性が十分あります。前述したような症状があれば、できるだけ早く病院にかかりましょう。また、札幌では脳の病気に関して意識の高い方が多く、一定の年齢の方ならば企業の定期健康診断でオプションの脳ドックを付けられる場合もあります。40歳になったら一度、脳ドックを受けていただくと安心かと思います。もちろん当院でも脳ドックを受けられますので、ぜひご相談ください*。
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札幌孝仁会記念病院で受けられる脳ドックには以下のとおりです。
・脳ドックA 料金50,600円(税込)、所要時間3時間程度、健診日と実施時間は平日9:00~
・脳ドックB 料金41,800円(税込)、所要時間2時間程度、健診日と実施時間は平日9:00~、13:00~
MRI、MRAは強い磁場で行われるため、人工内耳の方、ペースメーカの方、妊娠中の方(可能性がある方)、閉所恐怖症の方は受診できません。また、インプラント治療された方は予約時にご相談ください。
狭心症の治療
胸の苦しさを感じた場合は早めに受診を
狭心症とは、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈という血管が何らかの原因で狭くなり、心臓の筋肉に十分な血液が行き渡らなくなる病気です。それにより胸苦しさ(胸部に起こる痛みや圧迫感)の症状が現れます。狭心症は2種類に大別されます。いずれも冠動脈(心臓自体に血液を送っている血管)の血流不足を起こす病気ですが、1つは動脈硬化が原因で起こる”労作性狭心症”、もう1つは冠動脈がけいれんして起こる”冠攣縮性狭心症”で、症状が起こるタイミングが異なります。労作性狭心症は体を動かしているときに、冠攣縮性狭心症は安静時、特に夜中から早朝にかけて症状が現れることが多いのが特徴です。いずれにせよ胸部に違和感がある場合は、早めに循環器内科を受診いただくことをおすすめします。
なお、心臓病の早期発見のためには、普段からかかりつけ医をもつことも重要です。症状を自覚して、自ら適切な診療科を受診することは、なかなか難しいことだと思います。そのため、普段から気軽に体調の相談ができるかかりつけの先生を見つけていただき、何かあった場合にはすぐに適切な医療機関に紹介してもらえるようにしておくのがよいでしょう。
内科・外科の知見を備え、患者さんの治療選択を支える
狭心症の治療には、薬物療法、カテーテル治療(脚の付け根や手首の血管から医療用の細いチューブを挿入し、冠動脈の狭くなった部分を治療する方法)、外科手術の3つの選択肢があります。当院の強みは、循環器内科と心臓血管外科が常に協働し、これらすべての選択肢の中から将来を見据えてよりよい治療をご提案できることです。短期的な成績はもちろん、長期的な成績も加味して治療法を検討するには、双方の診療科の高い専門性が求められます。当院では内科医・外科医のどちらも常に研鑽を積んでおり、日本で可能とされるほぼすべての心血管疾患の手術に対応できる体制を構築しています。患者さんの年齢や病気の状態はもちろんですが、その方がどこにお住まいで、ご家族のサポートをどのくらい受けられるか、治療後にどのような生活を送りたいのかなど、一人ひとりのバックグラウンドを考慮したうえで、偏りなく、よりよい治療を丁寧に考えます。当然ながら、治療選択に迷われる患者さんもいらっしゃいます。私自身は医師としての知見を踏まえ、さらに「自分の両親だったら」「自分だったら」どうするのかを深く考えるよう心がけています。診察の場になると内容を忘れてしまったり遠慮して質問できなかったりすることもあるかもしれません。そのような方は、ぜひ質問を2~3個メモに書いて持参いただくとよいでしょう。気になることや不安なことがあれば、遠慮なくご相談ください。
心臓弁膜症の治療
歳のせいと思わず、専門の医師に相談してほしい
心臓弁膜症は心臓の弁がうまく開かない“狭窄症”と、うまく閉じない“閉鎖不全症”があります。心臓には4つの弁があるので、全8種類の心臓弁膜症があることになります。共通するのは、ある程度進行するまで自覚症状がない方が多いという点です。さらには重症化しても自覚症状がない場合もあります。症状としては息切れや動悸などが挙げられますが、以前は問題なくできていたことができなくなった場合は注意が必要です。たとえば以前は休みなく10分の散歩ができたのに途中で2〜3回休まなくてはいけなくなった、同じ量の家事をこなすのに大幅に時間が延びたなどです。健康診断で異常を指摘されたり、かかりつけ医で精密検査をすすめられたりしたら、症状がないからと安心せず、必ず専門の病院を受診していただきたいと思います。高齢の方は「歳のせい」と感じられるかもしれませんが、病気が隠れている可能性もありますし、その場合は治療をすることで改善が期待できます。
治療選択から早期の社会復帰まで、全力でサポート
心臓弁膜症の治療は薬物治療のほか、手術やカテーテル治療(胸を切開せずに行う内科的な治療)を検討しながら根治を目指します。当院では心臓弁膜症に対する一通りのカテーテル治療を保険適用の範囲で提供することが可能です。カテーテル治療は小さな傷で済むため体への負担が少なく、体力が低下している高齢の方や併存疾患のある方に適応がある点がメリットです。当院は幅広い選択肢を持ちつつ心臓血管外科医と循環器内科医がカンファレンスで議論を重ねて、個々の患者さんにとってどの治療法がよりよいかを見極めています。また、治療後の心臓リハビリテーションにも力を入れており、早期の社会復帰を多職種でサポートしています。
“心臓の治療”と聞くと不安を感じる方も多いでしょう。その不安は至極真っ当なことです。私たちは、まず治療のメリット・デメリットをきちんとお伝えし、患者さんが抱く不安や心配事を解消したうえで治療に臨んでいます。これまで心臓弁膜症によってご自身のやりたいことや快適な生活を諦めざるを得なかった方も、今は治療することで改善する可能性がありますので、どうか希望を捨てないでいただきたいです。患者さんが治療に前向きになり、生活を楽しく送れるよう全力でサポートしますので、どうか安心してご相談ください。
不整脈の治療
不整脈外来で専門の医師が一貫して診療
不整脈は心臓を動かす電気の流れが異常を起こし、心臓の動きが速くなったり、遅くなったり、不規則になったりする病気です。症状は多彩ですが、特に突然始まり突然止まるような動悸には注意が必要です。動悸に加えて胸痛やめまいを伴うものは早急に検査を行って治療を始める必要があります。また、息切れやむくみが悪化している方も心臓に負担がかかっている心配がありますので早めの検査をおすすめします。
上記の症状があり不整脈が心配な方は、かかりつけの主治医の先生にまずご相談ください。当院をご紹介していただければ責任をもって対応させていただきます。またかかりつけ医がいらっしゃらない場合や健康診断で不整脈を指摘され当院の受診を希望されるときには、一度当院へお電話でご連絡ください。当院は不整脈外来(週4日・予約制)を開設しており、日本不整脈心電学会認定の不整脈専門医が2名在籍し、診療にあたっています(2024年6月現在)。専門の医師が診断から治療、その後の経過観察まで一貫して担当しますので、安心して治療を受けていただけます。また24時間365日の救急体制を取っており、急な不整脈の出現時にも対応していますので、ご安心いただければと思います。
必要性を判断し、患者さんに適した治療を提供
当院にお越しいただいたら、まずは専門的な視点で治療の必要性を判断することからはじめます。治療が必要と判断したら症状や心臓の状態に合わせて方針を決定し、薬を使った治療、カテーテルアブレーションと呼ばれる治療、またはその両方を行います。カテーテルアブレーションは、不整脈の原因となる異常な電気の流れを改善するため、心臓の筋肉を焼灼する方法です。医療用の細いチューブを脚の付け根などから挿入して行います。不整脈を根治できる可能性があり、薬よりも症状の改善効果が高いことがメリットです。当院は年間200例以上のカテーテル治療を行なっておりますが(2022年1〜12月実績)、合併症の可能性に十分配慮し、心臓血管外科・脳神経外科とも連携を図りながら安全な治療に努めています。
また当院はペースメーカー治療、植込み型除細動器による治療、心臓再同期療法などさまざまな治療に対応可能です。心臓・血管の治療を長年手がける医師たちが、それぞれの患者さんに合った治療をトータルマネジメントします。チーム一丸となって対応しますので、お困りのことがあればどのようなことでもご相談ください。
- 公開日:2024年8月22日