練馬区の整形外科医療

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高齢化率が高まる練馬区――
要介護状態の要因となる
整形外科疾患の対策が急務
75万人以上の方が暮らす練馬区は、23区で2番目に人口が多い地域となっています。全国的な傾向と同様に高齢化が進んでおり、2040年には約3人に1人が65歳以上になることが予想されています。
高齢化に伴って増加する病気の1つに脊椎・脊髄疾患が挙げられます。加齢性変化が原因となって発症するものも多く、超高齢社会の現代において患者数の増加は必然的なことといえるでしょう。その一方で、医師の経験や高い専門性が求められる領域であることなどから、適切な治療介入がかなえられていないケースがあるのも実情です。脊椎・脊髄疾患は要介護状態の一因にもなり得るため、各医療機関はさらなる連携強化に努め、健康寿命の延伸を支援していく必要があるといえます。
脊椎外科に特化した
練馬志匠会病院

高い治療レベルを追求し、統一を図ることでよりよい脊椎診療を実践する
練馬志匠会病院は、志匠会グループの一員として2023年10月に開院しました。当院は脊椎外科に特化しており、同じ“志”を持つ医師が集まっているのが特徴です。当然ながら、症例数なくして治療の質の追求は成し得ません。その点、脊椎疾患を専門とする当院では多くの症例に対応しており*、各医師が積極的に経験を積める環境が整っています。医師一人ひとりの技術が必然的に向上し、高いレベルの治療が提供できるようになっています。
一方で、脊椎疾患の診療では、研鑽を積んだ医師の間でも治療方針の見解が分かれることがあります。当グループでは、可能な限り統一を図るため、週に1回の頻度で法人全体カンファレンスを実施し、治療方針を皆で検討しています。これにより、当グループにおいてはどの医師の診療を受けても治療方針に大きな差が生まれることはまずありません。
練馬志匠会病院における手術実績(2024年1月~12月):587件

“真の低侵襲手術”とは――安全性・確実性を重視した手術の提供に努める
近年、内視鏡を用いた低侵襲手術が普及しています。傷が小さく、当日~翌日など術後すぐに歩けることが注目されがちですが、当院では神経に対する侵襲(負担)を最小限に抑えることこそが低侵襲手術だと考えています。たとえば「3日で帰れる手術」と「1週間の入院が必要になるものの、安全性高く原因を取り除くことができる手術」――患者さんが必要とされている医療はどちらか、言うまでもありません。もちろん、当院においても内視鏡手術を実施していますが、あくまで神経への侵襲と根治性を考えたときに“ほかの術式よりも内視鏡手術が有利である”と判断した際に実施します。複数の術式を適切に使い分け、可能な限り安全に結果が出せる手術にこだわっておりますので、「保存療法を行っても症状が軽快しない」「手術を受けたけれど痛みが取れない」などお困りのことがある方はぜひ一度当院へご相談ください。“匠を志す”職員一同、責任をもって診療いたします。
練馬志匠会病院における
脊髄損傷・脊柱管狭窄症・
成人脊柱変形(腰曲がり)・
後縦靱帯骨化症の治療
脊髄損傷の治療
脊柱管が狭い方などの場合は、軽度な外傷が脊髄損傷につながるケースも

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脊髄損傷とは交通事故や転落、転倒などによって、脊椎(背骨)が骨折・脱臼し、脊髄が圧迫されることによって起こります。脊髄とは、脳からつながる神経の束のことで、手足を動かしたり、手足からの感覚などを脳に伝えたりする役割を担っています。損傷を受けた場所によってさまざまな症状が現れ、両足に麻痺が生じて車いすでの生活が必要になることもあれば、頚椎(首の骨)に障害が生じた場合は呼吸停止に陥ることもあります。
大きな外力を受けたときのみに生じるイメージがあるかもしれませんが、すでに脊髄の圧迫が生じている方(脊柱管狭窄症を患っている方など)の場合は、健康な人が打撲やむち打ちで済むような軽度の外傷でも脊髄損傷につながることがあるため日頃から注意が必要です。
回復は時間との勝負――迅速に圧迫を解除し、可能な限り後遺症を残さない診療に尽力する
脊髄損傷の治療としては、リハビリテーションなどによって神経の機能回復を促す方法もありますが、当院では高度な圧迫が生じている患者さんに対してはできるだけ速やかに手術を行います。障害された神経の機能が戻る可能性は低いものの、原因を取り除くことでそれ以上神経が障害を受けることは防げます。脊髄が圧迫されたまま再び転んだ場合には、より重篤な症状が現れる可能性がありますから、悪化の連鎖を断ち切るためにも手術をすることは意義があると考えます。

手術後、適応がある患者さんは脊髄損傷に対する神経再生医療を提供している医療機関へご紹介をしています。ご紹介先は主に東京労災病院や帝京大学病院です。神経再生医療とは、患者さんご自身の骨髄液(骨の中心部にあり血液の源となる細胞を含む)と血液を採取・培養し、体内に戻すことで神経機能の回復を図る治療です。この治療では、受傷後1か月以内に骨髄液を採取することが目安とされていますが、細胞を培養するには一定の期間を要します。当院では受傷後2週間以内にはご紹介ができるよう、可能な限り時間のロスを最小限に留められる体制構築に努めています。

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将来的には品川志匠会病院で設置している脊椎ホットライン(医療機関向け)を当院でも開設予定です。地域の各医療機関との連携を強化することで、迅速で適切な治療介入をかなえ、ひいてはよりよい予後に貢献できればと考えています。
ホットラインについてはご紹介元の医療機関を対象としたものですが、外来相談ではご本人あるいはご家族からのご相談も受け付けておりますので、お困り事がある方はお気軽にご来院ください。回復を目指すにあたっては兎にも角にもスピードが肝心です。医療機関の先生方におかれましても、該当する患者さんがいらっしゃった場合には遠慮なく当院へご紹介いただければと思います。
脊柱管狭窄症の治療
保存療法で改善がみられない場合は、手術を受けることも選択肢の1つ
脊柱管狭窄症は、加齢に伴う椎間板の変化や骨の変形などによって、脊柱管(背骨にある神経の通り道)が狭くなり神経を圧迫する病気です。圧迫が生じた部位によって腰部脊柱管狭窄症・頸部脊柱管狭窄症・胸部脊柱管狭窄症と呼ばれます。無症状のこともありますが、進行性の病気であるため、痛みやしびれ、麻痺など何らかの症状が現れた場合かつ保存療法を行っても症状が改善しない場合には手術を検討します。当院は脊椎の手術を専門とする病院ですので、主にこの段階(中等度~重度)にある患者さんを主な対象としています。

イラスト:PIXTA 加工:メディカルノート
手術方法には大きく分けて、除圧術と固定術があります。除圧術は病変部の骨や靱帯などの一部を取り除いて神経の圧迫を軽減する手術です。もう一方の固定術は、除圧後にインプラント(金属製の棒やネジなど)を用いて脊椎(背骨)を固定する方法で、主に脊椎の不安定性がある方(腰椎変性すべり症を併発している方など)に適応となります。
安全に結果を出す治療を目指して――研鑽を積んできたからこその診療を提供
脊柱管狭窄症の手術には、使用する器具や病変部へのアプローチ方法によって多様な術式があります。適応についてはある程度定まっているものの、同じ病状の患者さんであっても治療方針は執刀医の経験や技術力によって異なることがあります。当然ながら、症例を重ねた医師ほど過去の経験をもとに論理的に判断し、適切な術式を選択できる可能性が高まります。

当院は脊椎手術を専門とする病院であり、これまで数多くの症例に対応してきました。その積み重ねによって専門性を深め、「いかに安全で、なおかつ、いかに確実に結果を出すか」を常に考えながら術式を選択できる体制が整っています。一人ひとりの患者さんによりよい治療を提供するため、今後も研鑽を重ねながら診療に取り組んでまいります。痛みやしびれなどに悩まされていて手術を検討されている方、不安なことがある方はお気軽にご相談にいらしてください。
成人脊柱変形(腰曲がり)の治療
手術で治る可能性のある病気――「歳のせい」と諦めずに受診してほしい
成人脊柱変形とは、脊椎(背骨)に変形をきたす病気で、いわゆる“腰曲がり”とも呼ばれる状態は後弯症といいます。加齢や骨の変性によって背骨がゆがむことが原因で生じる病気です。この変形が進むと、腰や背中に痛みが生じるだけでなく、長時間歩いたり立っていたりすることが難しくなるため、日常生活(ADL)や生活の質(QOL)の低下につながります。さらに、腰が曲がることで内臓が圧迫され、食欲不振や消化不良といった胃腸の不調を引き起こすこともあります。

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治療には、リハビリテーションや痛みを和らげるための注射など、さまざまな選択肢があります。しかし、これらはあくまで症状の緩和を目的としたものであり、根本的に改善するには手術を検討することになります。
痛みや生活の不便さがあるにもかかわらず「年のせいだから仕方ない」と諦めてしまっている方も多いのではないでしょうか。もちろん手術を受けないというのも1つの選択肢ですが、まずは手術によって治せる可能性のある病気だということを知っていただきたいと思います。
高い専門性を担保し、よりよい生活に寄り添う
後弯症などの矯正手術は、脊椎手術の中でも特に大がかりな手術になるため、慎重な計画の下で進める必要があります。当院では、安全性を考慮し手術は2回に分けて実施します。手術ではまず胸椎の骨を切り(骨切り術)、背骨のバランスを整えたうえで、固定をすることで矯正を図ります。術後は、リハビリテーションを行いながら日常生活への復帰を目指していきます。

1か月ほど入院が必要になりますが、背骨を自然な弯曲に近づけることで、通常どおりの生活も望めます。とはいえ、大きな手術ですから、決断は簡単なものではないでしょう。迷っている方はメリット・デメリットも含め丁寧にご説明しますので、まずは一度ご相談にいらしていただければと思います。当院だからこそ提供できる医療を駆使し、責任をもって診療にあたらせていただきますので、安心して私たちにお任せください。
後縦靱帯骨化症(OPLL)の治療
脊髄損傷につながる可能性も――首の痛みや手のしびれは軽視せず、一度受診を

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後縦靱帯骨化症(OPLL)は、脊椎の後縦靱帯(背骨の後ろにあり背骨を安定させる靱帯)が骨化し、脊髄を圧迫する病気です。進行した場合は神経障害を引き起こす可能性があり、難病に指定されています。原因は明確には分かっていませんが、遺伝的要因や加齢、糖尿病などが関与していると考えられています。また、同じように脊髄を圧迫する病気には頚椎症性脊髄症というものがあります。頚椎症性脊髄症は加齢により骨や黄色靱帯が変性し、脊髄を圧迫することで症状が現れます。後縦靱帯骨化症と頚椎症性脊髄症は症状が似ているため、CTなどの画像検査を実施して鑑別を行います。

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進行が遅い場合は症状が軽いこともあり、患者さんによっては病気の自覚がないまま日常生活を過ごしている方もいらっしゃいます。一方で、脊髄が圧迫されているということは、いつ脊髄損傷が生じてもおかしくないわけですから、非常に危険な状態です。健康な人であれば何でもない軽度な外傷でも四肢の麻痺などにつながる可能性があるため、首の痛みや手足のしびれなど思い当たる症状がある方は早めに受診し、一度検査を受けていただきたいと思います。
高難度の手術に対応可能な技術力を備え、よりよい予後に貢献する
後縦靱帯骨化症の治療には、保存療法と手術があります。脊髄の圧迫が高度で、しびれや筋力低下が進行している場合は手術が必要になります。手術にはいくつかの方法がありますが、脊椎・脊髄疾患の中でも特に高度な技術を要する手術とされています。

当院では、この難易度の高い手術にも対応できる体制を整えています。これは、脊椎外科の分野で培ってきた技術と経験の積み重ねがあるからこそ可能なことだと考えます。一人ひとりの患者さんに適した治療を提供できるよう、今後も技術の向上に努め、よりよい予後に貢献できればと考えています。
- 公開日:2025年3月25日