足立区の整形外科医療

足立区の整形外科医療

要介護認定者が23区中2位、
健康寿命延伸のための対策が必要に
要介護認定者が23区中2位、健康寿命延伸のための対策が必要に

足立区は2023年の高齢化率が24.5%と、23区内で2位*と、高齢化が進んでいます。また、2018年には75歳以上の後期高齢者数が前期高齢者数を上回り、以降増加の一途を辿っています。さらに同区では、要介護(要支援)認定者数が2023年時点で約38,000人とこちらも23区中2位となっており、介護が必要な高齢者が他区と比べて多いことが分かっています。65歳以上の要介護者の介護要因の1つに、整形外科関連疾患(骨折・転倒、関節疾患)があり、原因の4分の1を占めています。日本では、平均寿命と健康寿命**の間に約10年の差があることから国は健康寿命の延伸を目指しています。同区でも同様に整形外科疾患への対策を早期から行うことで介護が必要とならないよう、健康寿命を少しでも伸ばしていくことが求められています。

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「第1号被保険者数÷東京都の人口(推計)による各月の23区の人口」により算出

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健康寿命:健康上の問題がなく、日常生活が制限されない状態の期間のこと

足立区の医療を支える
苑田第三病院

足立区の医療を支える苑田第三病院

脊椎脊髄の疾患に特化し、
早期の社会復帰を目指した医療を提供

当法人苑田会は、足立区竹の塚を中心に、急性期医療から回復期医療までを提供している医療グループです。当院は2005年に開設し、整形外科においては東京脊椎脊髄病センターで、首から腰までの 脊椎脊髄せきついせきずい せきついせきずい疾患に特化した治療を行っています。
同センターは腰痛や骨粗しょう症、頚椎椎間板けいついついかんばんヘルニアなどの病気に対して、患者さんに早期の社会復帰をしていただくために、体に負担の少ない低侵襲ていしんしゅうの手術を実施しています。2020年4月には回復期リハビリテーション病棟を開設し、当院で手術された方だけではなく、他院で治療された患者さんも継続してリハビリテーション(以下、リハビリ)を受けていただくことができるようになりました。“顔の見える診療”を心がけ、職員一同で、患者さんの健康に寄与できるよう努めています。

院長プロフィール

苑田第三病院における
椎体骨折・腰部脊柱管狭窄症・骨粗しょう症・成人脊柱変形(腰曲がり)の治療
椎体骨折
腰部脊柱管狭窄症
骨粗しょう症
成人脊柱変形(腰曲がり)の治療

椎体骨折の治療

“ただの腰痛”と思っていたものが骨折している可能性も

椎体骨折の治療

椎体骨折とは、脊椎(背骨)の骨折のことをいい、脊椎圧迫骨折とも呼ばれます。骨粗しょう症がある方の場合、普段の生活動作でも骨折することがあります。たとえば、おじぎをする、かばんを持ち上げる……そのようなふとしたきっかけで骨折してしまうこともあります。椎体骨折が起こると強い痛みでベッドから起き上がれず、寝たきりの原因になってしまう可能性もあります。転倒したり強い力がかかったりした覚えもないのに、腰の痛みが強くなってきた、下腹部や脇腹、臀部でんぶに響くような痛みが広がってきた場合は、“ただの腰痛だから”と思わず、早めに受診をしていただければと思います。

経皮的椎体形成術で痛みを軽減

当院で行う椎体骨折の治療は、患者さんの状態にもよりますが、経皮的椎体形成術(BKP:Balloon Kyphoplasty)という手術を選択しています。BKPでは、背中の2か所に5mm程度の切開を加え、骨折している部分に小さなバルーンのついた手術器具を挿入します。骨の中でバルーンを徐々に膨らませ、骨折した骨を可能な限り元の形に戻し、空いたスペースに骨セメントを充填します。全身麻酔*で行いますが、手術自体は20~30分で終了します。傷口も小さいので出血はほとんどなく、患者さんの状態にもよりますが、多くの場合は翌日から歩行可能となります。骨折の状態によっては、バルーンを抜いた後に空いた空間にステントを入れてより骨を安定した状態に戻してから、骨セメントを充填する方法も検討します。手術後は痛みが軽減し、日常生活を元気に過ごされている患者さんも多くいらっしゃいます。痛みでお困りの際はぜひ一度ご相談ください。

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麻酔科標榜医:和田 浩輔先生

解説医師プロフィール

腰部脊柱管狭窄症の治療

患者さんの“治したい”を全力でサポート
患者さんの“治したい”を
全力でサポート

腰部脊柱管狭窄症の治療

腰痛とともに、下半身のしびれや痛み、脱力感などが起こるのが、腰部脊柱管狭窄症ようぶせきちゅうかんきょうさくしょうようせきちゅうかんきょうさくしょうです。歩き始めるとしびれや痛みが出て歩けなくなり、少し休むとその症状が和らぐものの、また歩くと症状が起こる……といったことを繰り返す間欠性跛行かんけつせいはこうかんけつせいこうも主な症状として挙げられます。
“脊柱管”とは、背骨の中にある神経が通るトンネルのことをいいます。加齢などが原因で、骨と骨のクッションの役目をしている椎間板や骨が変形し、脊柱管を圧迫することで、神経も圧迫され、痛みやしびれが起こります。治療は薬物療法や神経ブロック注射といった、症状を和らげる保存的治療が第一選択とされています。
当院では治療を開始する際に、リハビリテーションとして、日常生活の中でできる工夫をお伝えしています。たとえば、椅子に座るときには、座面を高めに設定したほうが、猫背にならず、腰に負担がかかりにくいといわれています。私自身も、外来診察がある日は座っている時間がどうしても長くなってしまうので、腰を痛めないよう自分に合った高さの椅子を用意しています。そのほかにも、理学療法士などの専門スタッフが、起き上がりや立ち上がりの動作などについて、状態を悪化させないためのアドバイスをさせていただいています。

腰部脊柱管狭窄症の治療腰部脊柱管狭窄症の治療

体の負担がより少ない“超低侵襲手術”を行う
体の負担がより少ない
“超低侵襲手術”を行う

保存的治療でも症状が改善しない場合には、手術を検討します。当院で行っているのが“ 硬膜外神経癒着剥離術こうまくがいしんけいゆちゃくはくりじゅつこうまくがいしんけいちゃくはくじゅつと呼ばれる手術です。仙骨から尾てい骨の間の場所を5mmから1cm程度切開し、そこから痛みが生じている神経の近くまでカテーテルを挿入し、薬液を使って神経の周りの癒着をはがすことで炎症を抑えて痛みを改善する治療です。この方法を当院では、体に負担の少ない低侵襲手術よりもさらに負担の少ない“超低侵襲手術”と呼んでいます。局所麻酔で行えるため、合併症があって全身麻酔が難しい患者さんや、高齢の方にご提案しています。
患者さんの体に負担が少ない治療で、一日も早く日常生活に戻れることを目指して治療を行っています。そのため私たちは日々技術を磨き、より体に負担の少ない手術ができないかの研究も行っています。超低侵襲の手術においては、その技術を他院から学びに来る医師もいます。患者さんの“治したい”という気持ちには、全力で応えます。長年の痛みに悩んでいる方はぜひご相談ください。

解説医師プロフィール

骨粗しょう症の治療

高精度の骨密度測定器と専門の医師による診断
高精度の骨密度測定器と
専門の医師による診断

骨粗しょう症の治療

当院では、椎体骨折の原因となる骨粗しょう症の診断にも力を入れています。骨粗しょう症は、骨の生まれ変わりのバランスが崩れて骨がもろくなることをいいます。自覚症状はほとんどなく、加齢とともに進行していきます。背中や腰の痛み、身長が明らかに低くなってきた、腰が曲がってきたなど、老化によるものと思いがちな症状は、骨粗しょう症による椎体骨折の可能性があります。特に女性の場合、骨折は認知症に次いで、介護が必要となる主な原因の2位(骨折と転倒合わせ、2021年時点)となっています。日常生活に制限がなく、健康で過ごせる期間を少しでも長く延ばすためにも、骨粗しょう症を早期に発見し、治療を開始することが重要となります。
当院では、骨粗しょう症の診断のため、X線による骨密度測定器(DXA法)を導入しています。患者さんは寝た状態のまま、腰椎ようついと太もも周辺にX線を当てて、骨密度を測定します。DXA法は、「骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン」にも定められているもので、高精度で測定できるのが特徴です。

骨粗しょう症の治療

若い世代へ向けての骨粗しょう症予防も
若い世代へ向けての
骨粗しょう症予防も

私たちは骨粗しょう症の治療においては、“病診連携”を大事にしており、地域の医療機関との役割分担を図っています。DXA法での検査に加え、日本整形外科学会認定専門医のもとで適切な治療方針を決定できる医療機関は区内でも限られています。治療は薬物療法が中心となるため、診断は当院で行い、治療は患者さんが通いやすいご自宅近くなどの医療機関で続けていただくことをおすすめしています。手術や再度検査が必要となった場合には、また当院を受診いただく流れとしています。
骨粗しょう症については、若年層の方へ向けての啓発活動も行っていきたいと考えています。加齢などが原因の病気ではありますが、若いころの“貯骨”が物をいいます。というのも、骨は代謝を繰り返しながら成長期に作った最大骨量を40歳代頃まで維持していきます。そのため、十分な骨量を作り、骨量を減少させないようにしておくことも骨粗しょう症を予防するために重要なことだからです。
女性の場合は、たとえば20歳、産後・授乳後、閉経後とライフサイクルごとに骨密度を測定しておくと、ご自身の骨について考えるきっかけとなるのではないでしょうか。年齢を重ねてご自身の骨の状態が心配になってきたという方もぜひ一度お気軽にご相談ください。これからを元気に過ごしていくためのお手伝いをさせていただければと思います。

解説医師プロフィール

成人脊柱変形の治療

“腰曲がりリハビリ”で患者さんを個別サポート
“腰曲がりリハビリ”で
患者さんを個別サポート

成人脊柱変形の治療

「年齢とともに腰が曲がってきたけれど、年のせいだからどうしようもない……」と諦めていないでしょうか。腰曲がりは、見た目だけの問題ではありません。長時間の歩行や立位が困難になる、体のバランスが悪くなるために疲れやすくなる、転倒や骨折のリスクが上がるなどの問題が生じます。また、腰が曲がって常に胃腸を圧迫することで、食べ物が通りにくくなり、胃の不快感を起こすこともあります。
腰曲がりは、正式名を成人脊柱変形といいます。正面から見て背骨が横に曲がっていれば側弯症、横から見ておじぎをしたように腰が曲がっていれば後弯症と呼びます。昔は加齢の象徴とされていた成人脊柱変形も、病態の解明が進み治療が可能となっています。
当院では、症状が軽度の方を対象に、理学療法士による“腰曲がりリハビリ”を実施しており、個別指導で改善をサポートしています。運動やストレッチの方法、日常生活のアドバイスを行っています。具体的には、背中やお尻といった背面の筋肉を強化し、腹筋や股関節こかんせつを伸ばすストレッチなどを行います。自宅でもできる内容をお伝えしていますので、まずは3か月の継続をお願いしています。継続された方はX線の画像上でも改善がみられており、悩まされていた症状からも解放された方もいらっしゃいます。
成人脊柱変形の症状が重い方には、曲がった背骨を伸ばす手術も行うこともあります。背骨の曲がりや、それに伴う不調でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

解説医師プロフィール
  • 公開日:2024年7月9日
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