つくば医療圏の医療を支える
筑波胃腸病院

大腸内視鏡検査は予防医療の要――健康でいるためにも検査を受けてほしい

大腸内視鏡検査は予防医療の要――健康でいるためにも検査を受けてほしい

大腸がんや炎症性腸疾患などの大腸の病気は、近年増加傾向にあります。特に大腸がんは初期には無症状で進行するため、早期発見が重要です。
便潜血検査で陽性となった方へは、精密検査としての大腸内視鏡検査を強く推奨します。この検査ではポリープやがんだけでなく、炎症性腸疾患も発見することが可能です。そうは言っても、「恥ずかしい」「痛そう」というイメージを持たれている方は多いと思います。当院はできるだけ安心して受けていただける環境づくりに力を入れています。たとえば、鎮静薬の使用で痛みや不安を軽減した検査が可能ですし、前処置室やリカバリールームは個室対応でプライバシーにも配慮しています。また、女性スタッフによる対応や、同性の検査担当を選べるなど、きめ細かい対応も行っています。
定期的な健診や精密検査は、病気の早期発見・早期治療につながります。“気になる症状がなくても、健康でいるために検査を受ける”という考え方に、少しでも共感していただけたらうれしいです。しっかりと体を見つめ直す機会として、自分のため、家族のためにも検査を受けていただければと思います。私たちは、その一歩を安心して踏み出せるよう、全力でサポートします。

良性疾患からがん治療まで――幅広く対応する筑波胃腸病院

良性疾患からがん治療まで――幅広く対応する筑波胃腸病院

当院は“地域に密着した消化器専門医療の提供”を使命とし、痔や大腸ポリープといった良性疾患からがんの治療まで幅広く担っています。可能な限り1つでも多くの治療選択肢を患者さんに提案したいと考え、新しい治療も積極的に取り入れています。
当院の特長の1つに、胃がん・大腸がんの早期発見から治療・フォローアップまでを一貫して行える体制を整えていることが挙げられます。また、がん治療においても治療選択肢の幅を広げるべく、温熱療法(ハイパーサーミア)に対応しています。がん細胞は熱を逃しにくく、その特性を利用してがんが発生している部位を42.5℃くらいまで加温することで、がん細胞を死滅させる治療法です。当院は消化管のがんの治療を専門としていますが、近隣の病院から乳がん患者さんなど、消化管がん以外の患者さんを紹介いただき、治療にあたることもあります。
がんの治療は「どの治療を受けるか」「どの病院で受けるか」など、取捨選択の難しさに悩まれる方も多くいらっしゃいます。私たちは「選んでよかった」と思っていただけるよう、真摯に医療に向き合っています。消化器の病気やがんの治療の際には、ぜひ頼っていただけたらうれしいです。

解説医師プロフィール
筑波胃腸病院 理事長 鈴木 隆二 先生 患者さんへのメッセージを見る

筑波胃腸病院における
大腸ポリープ・痔・IBD・
鼠径ヘルニアの治療

大腸ポリープの治療

大腸ポリープの切除は、大腸がん予防への第一歩

大腸ポリープは、大腸の粘膜にできるイボ状の突起物のことです。良性のものもある一方で、中には将来的にがんへと進行するものもあります。これまでの研究では、症状がなくても内視鏡でポリープを切除することで、大腸がんの発生率が大幅に減少したという報告があります。このことから、大腸ポリープをきちんと切除することが、大腸がんの予防につながると考えられます。
便潜血検査は、簡便で有用な大腸がん検査として広く行われていますが、この検査で陽性と出なくても、ポリープやがんが隠れている可能性はあります。ですから、40歳を迎えたら一度は大腸内視鏡検査を受けていただくことをおすすめします。特に、ご家族に大腸がんを経験した方がいる場合は、より早期の検査をご検討いただくのがよいでしょう。
とはいえ「大腸内視鏡検査は大変そう」「下剤を飲むのがつらい」といった不安から、検査をためらってしまう方も少なくないでしょう。当院では、患者さんに安心して検査を受けていただけるよう、さまざまな工夫を凝らしています。
下剤を服用する場所については、複数の選択肢をご用意しています。前日から入院いただき、看護師の指導の下で下剤を服用いただく方法のほか、お仕事などの都合で入院を希望されない方には、受診当日に院内の専用スペースで下剤を飲み、検査を受けていただくこともできます。動画などを見ながら待ち時間を過ごしていただき、何かあればすぐにスタッフに声をかけていただける環境が整っています。

大腸ポリープの切除は、大腸がん予防への第一歩

下剤を服用いただく半個室の専用スペース

もちろんご自宅でリラックスして下剤を服用し、準備ができてから来院していただくことも可能です。また、どうしても下剤が飲めないという方のご相談にも乗っていますので、検査に大きな不安がある方もぜひご相談いただければと思います。
検査においては、鎮静薬を使用した内視鏡検査にも対応しています。過去に受けた検査がつらかった方や、検査に対する不安や恐怖心が強い方には、鎮静薬を使うことで比較的楽に検査を受けていただけると思います。検査後も、リカバリースペースでゆっくりお休みいただき、体調が回復してからお帰りいただけますのでご安心ください。

大腸ポリープの切除は、大腸がん予防への第一歩

リカバリースペース

スピーディーな診断・治療で大腸がんのリスクを低減

ポリープが見つかった場合、当院ではその場で切除を行っており、がん化の予防に努める迅速な治療体制を整えています。もし早期がんが見つかった場合でも、治療が可能な場合にはその場で切除可能な体制を整えており、また外科医も常駐しているため、進行がんに対しても外科手術や抗がん薬治療の対応が可能です。クリニックのように紹介状なしで受診しやすい病院でありながら、他院への紹介の手間がなくスピーディーに治療を進められる点は当院の強みの1つです。なお、検査から治療まで一貫して対応できますので、二度目の大腸内視鏡検査が必要ないことも患者さんにとって大きなメリットとなるでしょう。
消化器の病気に特化した当院では、各専門の医師が密に連携を取りながら診療にあたっています。隣の部屋で診療している外科の医師にすぐに相談もできるため、診断から治療方針の決定までをスムーズに行うことが可能です。気になる症状がある方はもちろん、大腸がんのリスク低減という予防的な観点からも、ぜひ一度当院にお越しください。

解説医師プロフィール

痔の治療

受診の目安は“日常生活に支障を感じたら”

受診の目安は“日常生活に支障を感じたら”

写真:PIXTA

痔は、日常生活に大きな影響を与えることも少なくありません。お尻の痛みや出血などに困ったり「もしかしたら痔かも」と感じたりしたときは、1人で抱え込まずに、ぜひ一度ご相談いただきたいと思います。
お尻は本来、人に見せることのないデリケートな部分です。診察に抵抗を感じたり、恥ずかしさや不安を覚えたりするのは当然のことでしょう。当院では、患者さんのそうした気持ちに寄り添い、安心して受診していただけるよう最大限の配慮を心がけています。
具体的には、女性の患者さんの診察の際には、必ず女性スタッフが立ち会うようにしています。医師と患者さんだけでの1対1の診察は行いませんのでご安心ください。また、診察時はわずかな話し声が不安につながることもありますので、そうした雑音が気にならないよう、プライバシーに配慮した環境づくりを医師・スタッフが徹底しています。もちろん、待合室で他の患者さんに病名が知られるようなこともありませんので、どうぞご心配なくお越しください。

“お尻にやさしい生活”で患者さんと共に症状の改善を目指す

痔の治療と聞くと、「手術しかない」と身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、当院では最初から手術をおすすめすることは基本的にはありません。まずは患者さんの現状を詳しく伺い、病態を把握することから始めます。お伝えしたように痔はデリケートな部位の病気ですから、受診をためらって治療の開始が遅れてしまうケースも少なくありません。そのため、1日も早くその遅れを取り戻し、症状が改善するよう、 “お尻にやさしい生活”について患者さんと一緒に考えていきます。
たとえば「毎日排便しなければならない」という思い込みを「無理に排便しなくてもよい」という考え方に変えるだけで、生活がしやすくなることもあります。便秘で排便がないときは、無理に食事を取る必要もありません。胃腸も年齢を重ねるごとにはたらきが変わってきますから、ご自身の体と向き合い、適切な排便習慣や食生活を送っていただくことが非常に重要になります。患者さんご自身が生活習慣を見直すことで、症状の改善は十分期待できます。

患者さん自身が「よくなった」と思える治療を追求

症状が重く、手術が必要と判断される場合でも、当院は患者さんの病態を見極め、それぞれの方に合った治療法をご提案します。短期間で対応できる程度の症状であれば、日帰り手術を含め、できる限り患者さんの負担が少ない方法を選択し、じっくり時間をかけて治療に取り組む必要がある場合は、病状を丁寧にご説明し適切な治療へとつなげていきます。

患者さん自身が「よくなった」と思える治療を追求

がんなどの病気の場合、診断から治療、そして治癒の判断は全て医師が行います。しかし、痔の治療において「よくなった」と感じるのは患者さんご自身です。たとえ恥ずかしい思いを抱えながら診察・治療を受けてくださっても、患者さん自身が症状の改善を感じられなければ、治療の意味がありません。当院では、治療の前後でどのような変化があったかを患者さんと共有し、患者さんが症状の改善を実感できるよう努めています。「前向きに治療に取り組まなければ」と気負う必要はまったくありません。後ろ向きな気持ちでも一向にかまいません。患者さんが健やかに日常生活を送るために、しっかりと治療に向き合います。お尻のことで困ったときは、いつでも当院を頼ってください。

解説医師プロフィール

IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)の治療

数週間にわたる、あるいは夜中に起きるほどのお腹の不調は早めの受診を

IBD(炎症性腸疾患)は、原因不明の難治性の慢性疾患であり、主に潰瘍性大腸炎かいようせいだいちょうえんとクローン病の2つに分けられます。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に傷やただれといった炎症が起こる病気で、主な症状は血便、下痢、腹痛などです。特に、2週間以上続く下痢や、夜間に排便のために目覚めてしまうような切迫感が特徴として挙げられます。
一方クローン病は、口から肛門こうもんまでの消化管のあらゆる場所に炎症や潰瘍が起こる病気で、腹痛や下痢、発熱、体重減少などが主な症状です。またクローン病の患者さんの中には、痔瘻じろうがきっかけでクローン病と診断されるケースも少なくなく、当院でも痔の診察を受けたところクローン病だったという患者さんもいらっしゃいます。「もしかしたら痔かも」と受診をためらってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、当院では痔の可能性もクローン病の可能性も両方視野に入れて丁寧に診察・検査を行います。どちらの診断がついても、専門的な治療を当院で継続して受けていただけますので、どうか安心してご来院ください。

診療は土日も対応――患者さんの生活に合わせたオーダーメイドの治療を提供

IBDの治療は5ASA製剤が主で、中等症以上ではステロイド治療が必要となることが多いです。近年では分子標的薬(生物学的製剤やJAK阻害薬)など、さまざまな種類の新しい薬が登場しています。これらの治療法を適切に選択するためには、専門的な知識と経験を持つ医師による診察が非常に重要です。当院には、難病指定医や日本消化器病学会認定の消化器病専門医・指導医がおり*、常に新たな情報を取り入れながら、患者さん一人ひとりに合った治療方針を提案しています。

診療は土日も対応――患者さんの生活に合わせたオーダーメイドの治療を提供

治療の最初の目標は、患者さんの症状を改善し、QOL(生活の質)を高めることです。その状態を維持し、再燃を防ぐべく大腸粘膜の病変も治った状態“粘膜治癒”を目標として治療に取り組んでいます。そのために、患者さんの重症度を細かく把握しながら、薬の種類や量を調整していきます。 なお、たとえ重症度が同じであっても、患者さんのライフスタイルや薬に対する考え方は人それぞれです。「点滴は避けたい」「飲み薬がつらい」といったご希望にも可能な限り寄り添い、患者さんが納得して治療を続けられるよう、きめ細やかな配慮を心がけています。
IBDは完治が難しい病気であり、再燃を防ぎ、症状が落ち着いた“寛解かんかい”の状態を維持するためには、お薬を継続していただくことが大切です。症状がよくなると、「もう治った」と感じてお薬を自己判断で中止してしまう方もいらっしゃいますが、一定期間で再燃してしまうケースが多いのが現状です。当院では、患者さんとの対話を通じて、お薬と上手に付き合いながら、寛解状態を長く保っていくためのアドバイスも行っています。
当院の大きな強みの1つは、土曜日・日曜日も診療を行っていることです。 お仕事や学校の都合で平日の受診が難しい方も、週末を利用して通院していただけるため、継続的な治療を行いやすい環境です。急な予定変更があっても、週末に受診できることで、早期に適切な対応をとることが可能な体制を整えています。

2025年7月時点

内科・外科の密な連携で、あらゆるIBDに対応

内科・外科の密な連携で、あらゆるIBDに対応

写真:PIXTA

IBDの治療においては、内科と外科の密な連携が不可欠です。特にクローン病で痔瘻を合併している場合、内科的な治療だけでは対応が難しいケースが多く、外科的な処置が必要になることもあります。
当院では、内科医と外科医が隣接した診療室におり、日常的に連携を取り合っています。これにより「この患者さんには外科的な処置が必要かもしれない」と感じた際は、内科医・外科医の2名で診察を行うことが可能です。 外科的な処置が必要な場合は、当院の外科医が迅速に対応を、内科的治療で問題ないと判断した場合は、薬による治療を進めていきます。このように、診断から治療方針の決定、そして実際の治療までをスピーディーに進められる体制は当院ならではの強みです。さらに、クローン病で小腸の病変が疑われる場合には、筑波大学附属病院と連携し、カプセル内視鏡や小腸内視鏡、MRI検査などを依頼できる体制も整えています。
IBDは、患者さんにとって不安の大きい病気であることは間違いありません。しかし、適切な診断と治療、そして医師との継続的なコミュニケーションを通じて症状のコントロールが期待でき、安定した生活を送ることが可能です。何かご不安なことがあれば、どんなに些細なことでも構いませんので、どうぞお気軽に当院にご相談ください。医師・スタッフ一同、患者さんの状態を多角的に診て、よりよい医療を提供できるよう努めてまいります。

解説医師プロフィール

鼠径ヘルニアの治療

鼠径部の違和感や痛みがあれば、世代を問わずご相談を

鼠径ヘルニアと聞くと、高齢の方や赤ちゃんに多い病気というイメージがあるかもしれません。実際に筋力の低下や筋膜が弱くなることによって鼠径ヘルニアを発症する高齢の患者さんはたびたびいらっしゃいます。しかし、20~40歳代といった比較的若い世代の方々でも、鼠径ヘルニアを発症するケースもあります。
鼠径ヘルニアの主な症状は鼠径部(足の付け根の部分)が膨らむことですが、膨らみがなくても鼠径部に違和感を覚えて受診される方もいらっしゃいます。「普段と何か違うな」と感じたら、まずは一度ご相談ください。放置しておくとヘルニアが大きくなって、手術の難易度が高くなる場合があります。また、飛び出した腸が戻らなくなり(嵌頓かんとん)、緊急手術が必要になる可能性もあります。ヘルニアは自然に治ることはありませんので、基本的には診断がついた時点で手術を検討することをおすすめします。

安全に配慮しながら、患者さんの状態に合わせた治療を提案

当院では、腹腔鏡下手術ふくくうきょうかしゅじゅつ*の中でもTEP法(完全腹膜外修復法)を積極的に採用しています。TEP法は、筋膜と腹膜の間(腹膜外腔)で行う手術で、お腹の内部(腹腔内)に触れることなくヘルニアをメッシュでふさぐことができる優れた治療法です。腹膜の切開を必要とせず、臓器に直接触れないことから、癒着などを含めたお腹の中で起こる術後の合併症のリスクを抑えられるという利点があります。
このTEP法は、非常に狭い空間で手術を行うため、医師には高い技術と経験が求められます。当院には日本内視鏡外科学会の技術認定取得者(消化器・一般外科領域)が2名在籍しており、TEP法の手術経験を重ね、手技を磨いてまいりました。安全性を担保しながらも患者さんの体への負担や術後の合併症を最小限に抑えることを重視し、この方法を選択しています。
なお、当院ではほかの手術方法にも対応可能です。鼠径ヘルニアの状態によっては、鼠径部を切開してメッシュでふさぐ方法(鼠径部切開法)を提案する場合もあります。また、妊娠の可能性がある、あるいは妊娠を予定されている女性の患者さんには、メッシュが将来の妊娠・出産に与える影響が十分に解明されていないこともあり、メッシュを使用しない方法(従来法)での手術を提案しています。複数のアプローチに対応可能な体制を整えることで、患者さんがより安心して治療を受けられるように努めています。

腹腔鏡下手術:お腹に小さな穴を開けて、内視鏡で確認しながら操作する手術。5~10mmの傷で済むことから、創部が目立ちにくく術後の痛みも少ないことが特長。

安全に配慮しながら、患者さんの状態に合わせた治療を提案

写真:PIXTA

患者さん一人ひとりの状況に合わせた治療法をご提案できるのは、当院の強みの1つです。この強みを生かし、再発症例や、前立腺がんの手術を受けられた患者さんの鼠径ヘルニアなど、一般的に難しいとされる症例にも対応しています。
さらに、これまでは入院での手術を原則としておりましたが、2025年6月からは日帰り手術にも対応できるようになりました。これまで入院が必要とされていた方も、日帰りでの手術が選択肢となることで、より精神的な負担を少なくして治療を受けていただけるようになったと思います。どんな病態のヘルニアにも対応できるよう、医師一同、日々研鑽を重ねていますので、鼠径ヘルニアでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談にいらしてください。

解説医師プロフィール
  • 公開日:2025年8月18日
病院ホームページを見る病院ホームページweb予約する