横須賀市民の健康を守る
KKR横須賀共済病院の医療体制
「よかった。この病院で」を理念に掲げ、適切な医療を地域の皆さんに
当院の歴史は古く、1906 年に横須賀海軍工廠共済会病院として開設されました。以来、「よかった。この病院で」を理念として、「いつでも質の高い医療を提供し、地域になくてはならない病院」を目指しながら、横須賀市を含む三浦半島の中核的な病院として皆さんに安心していただける医療環境の構築に励んでいます。当院ではがんや脳卒中をはじめとする患者さんを受け入れ、2017年には手術中の出血量を抑え患者さんの肉体的負担を軽減できる手術支援ロボット、ダヴィンチを導入するなど、常に新たな治療法・医療機器の導入に尽力しています。「救急全応需」を目標として掲げ、急性期医療を提供しています。
内閣府プロジェクトへの
参加の経験を地域に還元
KKR横須賀共済病院の
先進的取り組み
地域全体で患者さんをお守りする
システムを構築
当院は2018年に内閣府「AIホスピタル」プロジェクトに参画し、患者さんがより快適に医療を受けられるよう院内DX化(デジタル技術を用いた院内業務の改善)に取り組んできました。そのノウハウと知識をもとに、地域医療の効率化の一環として、横須賀市を中心に患者さんの医療・介護情報を地域の医療機関などで相互共有するためのネットワークシステム「さくらネット」を立ち上げ、運用を開始しました。患者さんの同意のもと情報を共有し、検査の重複や誤った薬の処方を防ぐほか、初めて行く病院に救急搬送された場合や、災害などでカルテを閲覧できない場合も医療者が素早く患者さんの情報を取得し、正しく対処することができます。
KKR横須賀共済病院の
白血病・多発性骨髄腫・
悪性リンパ腫、肺がんの治療
白血病・多発性骨髄腫・悪性リンパ腫の治療
幅広い検査と治療、地域との連携を実施
白血病と多発性骨髄腫は、主に注射器で骨髄液を吸引する骨髄検査を行い診断します。患者さんの病状に合わせて、必要であればおおむね受診当日に実施するようにしています。悪性リンパ腫は、腫れているリンパ節を丸ごともしくは一部手術で取り出すリンパ節生検をして、病理診断を行います。当院は外科、 耳鼻咽喉科 耳鼻咽喉科、皮膚科などと綿密に連携し、病状に合わせて緊急で施行することも可能です。骨髄検査も行います。また、がんの広がりを調べるPET検査も専門施設で受けていただき、病期診断をします。さらに、これらの疾患では、遺伝子変異に関しても患者さんの予後予測のためにできるだけ既存の検査の中で行い、治療方針を立てます。
当院は三浦半島、横須賀市で積極的に白血病・多発性骨髄腫・悪性リンパ腫の患者さんを受け入れている医療機関で、各疾患のガイドラインに準拠した治療法を施行しています。さらに、二重特異性抗体を用いた、新規治療法も積極的に導入しています。患者さん自身から赤血球や白血球などのもとになる造血幹細胞をあらかじめ採取しておき、抗がん薬治療を行った後に戻す 自家末梢血幹細胞移植 自家末梢血幹細胞移植なども取り入れています。また、入院をせずに通院で抗がん剤治療を行う外来化学療法にも力を入れています。
院内・院外の連携で安心して治療を受けていただける体制を整備
ご高齢の患者さん、治療の効果が現れなかった患者さんに対しては、ご本人とご家族の意向を伺いながら、積極的に在宅療養、他院の緩和ケア病棟などへの転院の調整も行っています。CAR-T細胞療法(患者さん自身の血液から免疫細胞を取り出し、がん細胞を攻撃できるように遺伝子改変して投与する治療法)や、同種造血幹細胞移植(ドナーから提供された造血幹細胞を移植する治療法)の適応のある患者さんも円滑に治療を受けられるよう、大学病院、移植施設とも密に連携をしています。
当院では白血病・多発性骨髄腫・悪性リンパ腫のほか、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、血液凝固異常など幅広い分野の血液疾患診療を行っています。また当院の血液内科は、経験のある医師やスタッフが一丸となって、患者さんにより適した医療を提供しています。得られた経験を基に学会、論文での発表も積極的に行っています。
各診療科の医師をはじめ、看護師、薬剤師、リハビリテーション技師、管理栄養士、臨床工学技士、検査技師、医療ソーシャルワーカーなど、病院全体で多職種でのチーム医療に取り組み、安心して治療を受けていただけるように尽力しています。
肺がんの治療
手術前後の周術期治療※も考慮した綿密な検査と治療プラン
肺がん早期ではほとんどの方が無症状で、主に健康診断やかかりつけ医などで別の理由で実施したCT検査で肺がんの疑いがあるとされた患者さんに受診いただくことが多いです。そのほか、救急外来で当院を受診し精査の結果、肺に影が見つかる患者さんも少なくありません。少し進行した場合は、咳や背中の痛み、息切れなどの症状で発見されることもあります。受診後は気管支の細胞や組織を採取し検査する超音波気管支鏡ガイド下針生検を行い、がんかどうかを診断します。それでも診断が難しい場合は、CT装置で体の断面像を見ながら肺の病変部に針を刺して組織を採取し検査するCTガイド下生検を行ったり、外科が胸腔鏡手術で組織を採取して術中に迅速病理診断を行い、がんと診断がつけばそのまま肺切除を行う方法を選択したりします。
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周術期医療・・・術前から術後までの一連の期間に行う医療。
がんと診断された場合には、病態を評価するための病理検査も実施します。病理検査は肺がんの種類を特定するほかにも、抗がん薬や分子標的薬(がん細胞の増殖に関わるタンパク質などを攻撃する薬)など、治療法を選択するために役立てています。さらに、連携している近隣病院でPET検査を受けていただき、がんの転移がないかを調べます。それらの結果をもとに、呼吸器外科、呼吸器内科、放射線治療科の医師と協議し治療方針を決定します。また週に一度、各科が集まってカンファレンスを行い、治療内容を確認しています。
各科が連携し、バックアップ体制を整備して治療を実施
当院では、早期の肺がんに関しては約 4cmの切開1箇所のみで行う単孔式の胸腔鏡手術を実施しています。胸腔鏡手術の中でも特に術後の体のダメージが少ないです。また、単孔式の胸腔鏡手術ができなくても、早期の肺がんの多くは5〜12mmの小さな切開3、4箇所で行う胸腔鏡手術で治療できます。
腫瘍が大きく、がん細胞が周囲の組織や臓器に広がる隣接臓器浸潤があったり、心臓の血管の近くに腫瘍がある場合は、胸腔鏡手術ではなく開胸手術を選択します。最近は、少し進んだステージの場合には術前に薬物治療を行って、腫瘍を小さくしてから手術をする術前化学療法を積極的に導入しています。2018年からは手術支援ロボットのダヴィンチを導入しており、ダヴィンチでの単孔式の手術も実施しています。
また、少し進行したステージの場合は術後回復期にも抗がん薬や免疫チェックポイント阻害薬(免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬)を用いて治療することで生存率の向上が得られます。そこで副作用が出た場合にも、経験のある呼吸器内科や内分泌内科、循環器内科の医師が対応します。がんが進行してしまっていて手術が難しい場合にも、放射線治療や薬物治療を積極的に行っています。
健康診断で肺に影が見つかるなど肺がんの疑いがあった場合、「怖い」と受診をためらってしまう方もいらっしゃるかもしれません。ですが、もし不幸にして肺がんと診断されたとしても、肺がんの治療は進化し選択の幅が広がっています。高齢の方でも手術が受けられる可能性がありますし、それ以外にもさまざまな治療の方法があります。患者さんやご家族の意思に沿って治療を進めていくのが当院の使命だと思っていますので、安心してご来院ください。
- 公開日:2024年12月16日