院長インタビュー

地域に必要とされる病院を目指して-静岡赤十字病院の取り組み

地域に必要とされる病院を目指して-静岡赤十字病院の取り組み
磯部 潔 先生

静岡赤十字病院 院長

磯部 潔 先生

この記事の最終更新は2018年06月22日です。

静岡赤十字病院は、1933年に静岡県静岡市に開設された病院です。開設当初は日本赤十字社静岡支部病院という名称でしたが、1943年に現在の名称に変更されました。2016年には新病院となり、465床という規模で地域の医療を支えています。

そんな静岡赤十字病院では、現在どのような取り組みを行っているのでしょうか。院長である磯部 潔先生にお話を伺いました。

赤十字病院外観
静岡赤十字病院ご提供

静岡赤十字病院は、全国に92か所ある赤十字病院のひとつです。当院が位置する静岡市は、人口に対して医師の数が少ない地域です。さらに人口減少と高齢化も進んでおり、医療ニーズが大きく変化しつつあります。そういった状況に対応するため、28の診療科と465床の病床を構え、幅広い医療を提供できる体制を整えています。

当院では、1992年に救急救命センターを開設し、三次救急を要する重症患者さんの受け入れを積極的に行っています。新病院に建て替えたのを機に、救急外来の面積と病床数を拡張し、より多くの患者さんを受け入れられる環境を整えました。

2018年6月現在は、日本救急医学会の認定専門医を含む8名の救急医が診療に当たっており、手厚い診療体制を整えています。

災害医療
静岡赤十字病院ご提供

赤十字病院の重要な使命のひとつとして、災害救護活動が挙げられます。当院も災害拠点病院として、救護班の編成や訓練の実施など、日頃から有事に対応できるように準備をしています。

救護班は常に4班編成しており、病院の外来や受付は災害時にトリアージスペースとして活用できる仕組みになっています。

トリアージ
静岡赤十字病院ご提供

 

当院は、地域医療支援病院に指定されている病院です。急性期の治療が終わった患者さんを地域の回復期病院へご紹介したり、退院後のフォローを開業医の先生にお願いしたりして、地域の医療機関との連携強化を図っています。

また、地域の医療機関で働く職員を対象に研修を行ったり、ご家族からの相談にも柔軟に対応したり、などといった側面でも地域貢献を目指しています。

次世代を担う医療従事者を育てることも、当院の重要な使命です。当院では、毎年約20名の研修医を受け入れており、総合内科と救急科に重点を置いたプログラムの研修を行っています。

看護師育成に関しては、全国の赤十字病院共通の方針を取り入れており、それに則した教育を行っています。新人でも安心して現場で学ぶことができるよう、先輩看護師と2人組で看護実践にあたるPNS(パートナーシップ・ナース・システム)を導入しています。

新人研修
静岡赤十字病院ご提供

幅広い診療科を備えている当院ですが、なかでも整形外科、血液内科、産婦人科、神経内科・脳神経外科は特に力を入れています。整形外科(脊椎センター)に関しては、脊椎疾患を中心に、年間1,608例の手術を行っています(2017年4月~2018年3月実績)。

脊椎疾患に関しては、2011年4月に「脊椎センター」を開設し、専門的な診療を行っています。脊椎疾患の手術は難しいものが多いうえ、近年ではご高齢の患者さんの手術をすることが増えました。複数の診療科で連携しながら、安全な手術を行える体制を整えています。

 

脊椎センター
静岡赤十字病院ご提供

理想としているのは、地域の方々から必要とされる病院です。地域に必要とされ、信頼されるためには、患者さんのニーズを最優先に、断らない、誠実な医療を提供できる病院でなければならないと思っています。

たとえば、患者さんはサービスに期待して病院にいらっしゃいます。ごく一部でも対応の悪い職員がいたら、患者さんはがっかりしてしまいます。どれだけ正しい医療を実施したとしても、働く職員が人間として誠実でなければ、信頼を得ることはできません。

人によって違う患者さんのニーズを敏感に受け取って、患者さんが何を望んでいるのかを常に考えながら総合的に判断することが必要です。そういった判断が適切にできる、そして患者さんやご家族から理解してもらえる、適切な密度の医療を提供できる病院でありたいと思います。

若手の医師たちにいつも話しているのは、周囲の人からどう思われるかを気にしないこと、そして失敗を恐れるなということです。

他者の評価は、変えることができません。変えられないことに対しては自分の受け止め方を変えていくことが大切です。変えられることは努力して変えていく。そのように生きることができれば幸せになれます。そして、幸せでなければ他者に奉仕することはできません。

ここで働く職員のみなさんには、自立してほしいと思っています。自立するというのは、自分で考え、行動することです。医療人である前に、人として主体的で信頼される人間になってほしいと思います。そのためには、たくさんの本を読んで先人たちに学んでください。

病院は、人が人にサービスする場所です。職員がボランティア精神を持って、院内で起きることはすべて自分の責任だと自覚をして仕事をしなければ、よい仕事はできません。コミュニケーション力を磨き、やりがいのある充実したライフスタイルを選択できるようになってください。

日本はとても恵まれており、患者さんは病院を選択することができます。正しい医療を実践するだけでは、患者さんに選ばれません。地域のみなさまが受診されたときに、「私のことを考えてくれている」、「信頼できる」と思ってくださるような、患者さんに必要とされる病院であれるよう努力してまいります。

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