
お子さんを抱える親御さんにとって、お子さんが熱を出したときにインフルエンザに感染したかどうかは大きな関心事です。インフルエンザは肺炎や脳炎などの症状を引き起こすこともある疾患であり、普通の風邪よりは慎重に対応することが求められるのも事実です。
ここでは、インフルエンザの「熱」を中心として注意すべき状況をまとめました。
典型的なインフルエンザは、突然発症の発熱からはじまります。「突然発症」という点が特徴です。
インフルエンザ発症から数時間のあいだに38度以上、時に40度を超える発熱となります。
熱は基本的には38度以上で推移し、3〜5日の経過で解熱します。
発熱の経過中には随伴症状として「ぞくぞくする」といった悪寒・戦慄(せんりつ)や咳を伴うことも多いです。また、頭痛や筋肉痛、食欲不振なども認めます。倦怠感は熱が下がったあとも1〜2週間ほど持続することがあり、何となくすっきり全快しないという特徴があります。
典型的なインフルエンザの経過は下記の図のとおりです。
インフルエンザはどの年齢層でも罹患する可能性がありますが、熱の期間や高さ、重症度などを一概に扱うことは難しいです。また、喘息や肺気腫、腎不全などの基礎疾患を持つ場合、重症化するリスクが高くなることがわかっています。
熱が注目されることの多いインフルエンザですが、医師は発熱以外の情報をとても重視しています。というのも、確かに熱は何かが身体の中で起きていることを示唆する症状ではありますが、必ずしも病気の重症度を表現しているわけではないからです。
たとえば、インフルエンザを含めた感染症に続発することがある重症疾患に「敗血症」と呼ばれる状態があります。敗血症は時に亡くなることもあるほど重篤な疾患ではありますが、発熱だけを指標にして診断するわけではありません。また、高熱の場合だけに注意するわけではなく、熱がない場合でも敗血症がおこることはあります。
発熱とは非常にあいまいな症状であるともいえます。たとえば、咳や痰があれば肺に何か起きている可能性を示唆しますし、意識状態がいつもと違う様子であれば意識を司る脳に異常が起きていることが想定されます。これと比べて「発熱」という症状は、それがあるだけではどこで何が起きているのかを推定することはできません。インフルエンザ以外の病気でも発熱があることからも想像いただけるかと思いますが、発熱は特異性に欠ける症状なのです。
以上のように、インフルエンザで確かに熱はでますが、発熱そのものが病気の重症度を示唆するわけではなく、また問題となる臓器障害を示唆するわけではないことに注意が必要です。発熱以外の症状に注目することが、インフルエンザをみるうえで重要な視点であるといえます。
お子さんが発熱したとき、熱に注目することはもちろん大切ですが、それ以外の症状はどうか、という部分に着目するようにしてください。高熱があっても普段と変わらずおもちゃで遊んでいるようであれば緊急性は低いと考えられます。しかし、逆に熱はそれほどではなくても、咳がひどくて呼吸が苦しそうであれば肺炎を合併していることも考えられるため、早期に病院への受診を考慮してください。
インフルエンザの経過中には、解熱剤や抗ウイルス薬の使用状況などにより熱が上がり下がりしたり、発熱期間が短くなったりすることもあります。また、「二峰性発熱」といって、一度解熱して治ったと思ってから再度38度の発熱がみられることもあります(下図参照)。
インフルエンザの治癒過程をみていることもあり心配のいらない経過であることもありますが、肺炎や中耳炎などの合併が起こっている可能性もあります。熱以外の症状に注意しながら、心配な様子がある際には病院受診をするかどうかを判断するようにしてください。
インフルエンザでは、咳や筋肉痛などはみられず熱だけが出ることもありますし、熱が微熱程度であるケースもあります。たとえば、微熱程度だけど兄弟がインフルエンザに罹っており、本人も少ししんどそうなので検査をしたらインフルエンザだったと判明することもあります。こうした方も経過中には38度以上にならずに、37度強の微熱が数日続くこともあります。
インフルエンザでは熱の状況にかかわらず、倦怠感や元気のなさが出やすいです。何となくいつもより食欲がない、いつもよりやたらグズグズして不機嫌そうにしている、なども症状としてあげられます。
お子さんを看病する親御さんに注意していただきたいのは、インフルエンザでは熱の有無も確かに大事ですが、それ以外の症状に注目していただきたいという点です。「インフルエンザの熱の捉え方」でもお伝えしましたが、熱が高くなくても敗血症や肺炎を起こしている可能性はあります。熱の有無にとらわれすぎるのではなく、本人の機嫌や咳、意識状態など別の症状に注目しつつ、受診のタイミング、治療介入の必要性を判断するようにしてあげてください。
インフルエンザは1日ほどで解熱することもあります。しかし、解熱後もしばらくは他の人への感染リスクを伴っているため、登校や登園に際して「発症した後5日経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」出席停止することが学校保健安全法にて規定されています。そのため、熱はなくとも発症後5日は完治とはいわずに、自宅安静をとることが求められています。
熱の目安の期間が過ぎても発熱が持続することはあります。基本的には5日程度までには解熱傾向にありますが、もしそれ以上に発熱が持続する場合には肺炎などの合併症を起こしている可能性があります。合併症の有無がないかを判断するためにも病院を受診するようにしましょう。
また、経過中発熱5日以内であっても、発熱以外の症状が重症化している場合には、熱の期間にかかわらず早期の医療機関受診が必要です。
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