インタビュー

声帯結節の症状と治療ー具体的な手術方法とは?(音声外科)

声帯結節の症状と治療ー具体的な手術方法とは?(音声外科)
渡邊 雄介 先生

国際医療福祉大学 教授、山王病院/国際医療福祉大学 東京ボイスセンター長

渡邊 雄介 先生

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この記事の最終更新は2015年09月17日です。

音声外来は、「声がかすれる」「声が出にくい」といった悩みを解決するためにある診療科です。なかでも音声外科は、手技を駆使して声帯に関するあらゆる手術を施します。声帯にできる疾患のひとつ・声帯結節は声帯にできるこぶのようなもので、声枯れを主な特徴とする病気ですが、声帯結節の手術はどのように行われるのでしょうか? 山王病院東京ボイスセンター長の渡邊雄介先生にお話をお聞きしました。

声帯結節慢性喉頭炎の一種です。声帯の前1/3部分の部位にできる炎症性のこぶで、謡人結節(ようじんけっせつ)などともいわれます。通常両側に対称性に発生しますが、まれに片側だけに発症することもあります。発声時に声帯の粘膜が摩擦されることによっておこると考えられており、声帯にできる一種の「ペンダコ」のようなものです。

慢性的に声帯を刺激することによって粘膜が厚く硬くなり、粘膜が浮腫状に腫れたり線維化が起こったりします。これが声帯結節になります。ですから、声帯結節は日常的に声帯を酷使している職業の歌手、教師、保母、アナウンサーなどがよくかかる病気です。子どもの場合はやや男子に多く、活発な子ほど発症しやすいです。

症状は声枯れ(嗄声:させい)が主にあらわれ、のどの違和感を生じることもあります。また、日内変動や週内変動があったり、声を出すことが少なかった日などは症状が軽快したりするのも特徴です。
なお、先天的・遺伝的な要素はなく、大人と子どもの症状の違いもありません。

声帯結節
声帯結節

声帯ポリープと同じく、結節が見つかったからといってすぐに手術が適応となることはありません。なぜなら、結節はのどの酷使をやめただけで治ってしまう患者さんも多いからです。

そこで、まずはなるべくのどを使わないような指導が行われます。そして、消炎薬の投与やステロイドホルモンの吸入など、薬物治療を行います。また、正しい発声法を習得させるための外来音声治療が行われます。しかし、これらの治療を行っても効果がなかった場合や、仕事上どうしても早く治してしまいたいと患者さんが希望した場合は、結節を切除する手術を行います。

手術を行うときは入院が必要です。全身麻酔をかけたうえで、喉頭顕微鏡下手術(ラリンゴマイクロサージェリー)が行われます。詳細な手術内容は声帯ポリープの手術と治療法(音声外科)で紹介した、声帯ポリープの手術方法と同じです。

ファイバースコープを用いた局所麻酔での方法もありますが、これは声帯ポリープの局所麻酔手術よりも難しいため、ほとんどの病院では実施されていません。

声帯結節手術も声帯ポリープ手術と同様に、手術の後は傷口が開かないよう1週間程度沈黙期間を設けます。また、2週間程度は大声を出したり、カラオケに行ったりしてはいけません。

これらをきちんと守れば、あまり大きな後遺症が残ることはありません。ただし過度の喫煙は完治後の再発を誘導するため、喫煙していた人は禁煙を心がけるようにしてください。

声帯結節手術にかかる期間は2泊3日程度です。声帯ポリープの手術と同様、日帰りでできる手術もあるので、医師と相談して最適な術式を選ぶとよいでしょう。

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