「突然、強い尿意を感じて慌ててトイレに向かったが、我慢できず漏らしてしまった」「友達と会話中に尿が漏れて、とても恥ずかしい思いをした」などの経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな尿漏れを、「歳のせいだから仕方ない」とあきらめていませんか?尿漏れにはさまざまな原因が考えられますが、“過活動膀胱”という病気の可能性もあります。
まずは、ご自身の症状について、正しく理解して、適切に対処しましょう。
尿漏れがあったとしても、恥ずかしさが先立ってしまったり、年齢のせいだと思い込んでしまったりして、1人で悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。症状や原因に応じた治療をすることが大切です。尿漏れでお悩みの方は泌尿器科を受診し、医師に相談しましょう。
尿漏れのタイプは、大きく4つに分けられます。それぞれについてご説明します。
過活動膀胱によって生じる尿漏れを切迫性尿失禁と呼びます。急に強い尿意を感じて、我慢できず尿が漏れてしまうという症状が見られます。
詳しくは「過活動膀胱(OAB)の症状や原因・治療法」へ
骨盤底筋や靱帯などの衰えによって生じる尿漏れを腹圧性尿失禁といいます。咳、くしゃみ、スポーツなどをして、お腹に力が入ったときに症状が現れます。
詳しくは「腹圧性尿失禁の症状・原因と治療法」へ
溢流性尿失禁とは、前立腺肥大症などの病気で排尿しづらい症状がある場合や、糖尿病や直腸がんの手術後などで膀胱が正常に収縮しないことが原因で生じる尿漏れです。尿が少しずつ漏れ出てしまう症状が見られます。
膀胱や尿道には問題がないにもかかわらず、運動機能や認知機能の低下が原因で生じる尿漏れを指します。たとえば、骨折していてトイレまで間に合わず失禁してしまった、認知症のためにトイレで排尿できないなどが挙げられます。
また、切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の両方の症状が見られる混合性尿失禁の方もいます。原因や症状に応じた治療法がありますので、尿漏れでお困りの方は1度、泌尿器科を受診して医師に相談するのがよいでしょう。
過活動膀胱とは、突然の尿意を我慢できないという症状をはじめ、排尿に関するさまざまな症状が現れる病気です。40歳以上の男女のおよそ8人に1人に見られます。過活動膀胱には、脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経のトラブルによって生じる“神経因性”のものと、それ以外の原因で生じる “非神経因性”のものがあります。
過活動膀胱で現れる症状は以下になります。
詳しくは「過活動膀胱(OAB)の症状・原因と治療法」へ
過活動膀胱の治療は、薬による治療と膀胱訓練や骨盤底筋訓練などの行動療法が一般的です。そのほか、膀胱や尿道の神経を刺激して治療を図る神経変調療法などがあり、患者さんの症状に応じて適切な治療法を検討します。
詳しくは「過活動膀胱の主な治療法」へ
トイレに行きたくても我慢して、ためられる尿の量を増やす膀胱訓練と尿道を鍛えるための体操の骨盤底筋訓練(骨盤底筋体操)があります。
膀胱にためられる尿の量を増やすために行う訓練です。尿意を感じても我慢する必要がありますが、我慢する時間は無理のない範囲で短時間から始めて、少しずつ時間を延ばしていきましょう。
詳しくは「膀胱訓練による排尿コントロールの方法」へ
骨盤底筋と呼ばれる排尿をコントロールする筋肉を鍛えるために行います。やり方を覚えて、生活の中でこまめに行うとよいでしょう。
詳しくは「尿道引き締めトレーニング・骨盤底筋訓練」へ
“水分をとりすぎない”、“下半身を冷やさない”など、日常生活の中で少し工夫すると排尿に関する悩みを改善できることがありますので実行してみてください。
詳しくは「尿のお悩みを改善するポイント」へ
・尿漏れは、自分の意思とは関係なく勝手に尿が漏れること。
・尿漏れは、4つのタイプに分けられる。
・尿漏れは、過活動膀胱などの病気が原因として考えられる。
・過活動膀胱は、排尿に関するさまざまな症状が現れる病気である。
・過活動膀胱の診断のためには、問診や尿検査、腹部エコー検査などを行う。
・過活動膀胱の治療は薬による治療と、膀胱訓練や骨盤底筋訓練などの行動療法が一般的である。