前立腺肥大症の患者数は年齢が高くなるにつれて増加していき、50歳以降になるとさらに増加します。国内の統計によると、50歳代で2%、60歳代で6%、70歳代で12%の方が前立腺肥大症であるとされています*。
膀胱のすぐ下にある前立腺が肥大することで尿道を圧迫し、排尿障害を起こす病気です。症状は人によってさまざまですが、普段は無意識にできている排尿がスムーズにできなくなることで、日常生活に支障をきたすことがあります。
前立腺肥大症の症状として、以下のようなものが挙げられます。
(1)残尿感……排尿後も尿が残っている感じがする
(2)頻尿……尿の回数が多い
(3)尿線途絶……尿が途中で途切れる
(4)尿意切迫感……急に尿意をもよおし、我慢するのが難しい
(5)尿勢低下……尿の勢いが弱い
(6)腹圧排尿……お腹に力を入れないと尿が出ない
(7)夜間頻尿……夜間、排尿のために何度も起きる
前立腺が肥大する理由について明確な原因は分かっていませんが、加齢と性ホルモンが前立腺の肥大に何らかの影響を及ぼしていると考えられています。
先述のとおり、前立腺肥大症の患者数は50歳以降から増加し、年齢が高くなるにつれてその数はさらに増加していきます。
また、事故などによって若くして精巣を摘出した方は年をとっても前立腺肥大症を発症しないことが分かっています。このことから、性ホルモンも前立腺肥大症の発症に関与しているのではないかと考えられています。
日常生活に支障をきたすような排尿障害がある場合には、まず病院を受診しましょう。通常、初診時には問診が行われます。日頃どのような症状で不便さを感じているのか、できるだけ具体的に医師に伝えるようにしましょう。その際、国際前立腺症状スコア(IPPS)という症状の程度を調べる質問票を使用し、症状とその程度を点数化することもあります。
自覚症状に関する問診後は、前立腺や膀胱、尿道の状態を調べるための検査を行うことがあります。排尿障害は前立腺肥大症に限った症状ではないことから、ほかの病気の可能性も含めて確認するために、超音波検査、血液検査、尿検査などが行われることが多いです。これらは簡易的にできる検査なので、過度に不安に思わず早めに病院を受診することが望ましいです。
また、さらに詳しく調べる検査には、直腸診、尿流測定、残尿測定、経直腸エコー検査、X線検査などがあります。
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治療には薬物治療や手術、その他の治療法があります。
詳しくは「前立腺肥大症・過活動膀胱の治療とその効果」「その他の治療法」へ