泌尿器とは、尿をつくり、蓄え、排泄する器官の総称です。腎臓・尿管・膀胱・尿道が含まれます。膀胱のすぐ下には男性特有の臓器である前立腺があります。前立腺はクルミの大きさほどの器官で、内部を尿道が通っています。
泌尿器は、尿を蓄えておく蓄尿機能と尿を体外に排出する排尿機能を担っています。それぞれの器官の役割は以下のとおりです。
・腎臓……尿をつくる
・尿管……腎臓でつくられた尿を膀胱へ送る
・膀胱……尿をため、尿を体外に排出する
・尿道……膀胱にたまった尿が体外に排出されるときの通り道となる
蓄尿機能と排尿機能が正常にはたらいているときには、特に意識することなく膀胱に尿を蓄え、ある程度たまるとその尿を残らず外へ出すことができています。これは、自律神経のはたらきと、膀胱ならびに尿道括約筋(尿道の筋肉)の伸縮に問題がない状態といえます。
自律神経には、活動しているときにはたらく交感神経と、リラックスしているときにはたらく副交感神経があります。膀胱に尿がたまっているときは主に交感神経がはたらき、膀胱の筋肉は緩んで尿を蓄える一方で、尿道括約筋を収縮させることによって尿がもれるのを防ぎます。
尿がある程度たまると、膀胱から脊髄の神経を通して排尿の信号が脳に送られることによって尿意を感じますが、脳が“まだ排尿してはいけない”と信号を膀胱へ送ることで排尿を我慢することができます。その間にトイレへ行き、下着を脱いで排尿の準備をすることとなります。
準備が整い、いざ尿を出そうと思うと、脳が“排尿してよい”という信号を送ります。排尿時は、主に副交感神経がはたらき尿道括約筋が緩む一方で膀胱の筋肉は縮んで尿を押し出すことによって、尿が排出されます。排尿に問題のない成人であれば、1回の排尿量は200〜400mLほどで、20〜30秒で出し切ってしまうことが多いとされています。
男性には、膀胱のすぐ下に“前立腺”という男性特有の臓器があります。前立腺は男性の生殖機能に関わっており、そこから前立腺液が分泌されています。前立腺液には精液を守る役割があり、精液のおよそ15~30%を占めています。
さらに前立腺は、生殖機能だけではなく排尿のコントロールにも関係しています。詳しい機能については明らかでないことも多いですが、膀胱のすぐ下にあり、真ん中を尿道が通っていることから排尿に影響を与えることが考えられます。前立腺が肥大する“前立腺肥大症”になると、肥大した前立腺によって尿道が圧迫されることで、排尿に関するさまざまな症状が現れます。前立腺肥大症は、50歳を過ぎると患者数が増加します。