過活動膀胱は「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近くなる」「突然トイレに行きたくなり、我慢できず尿がもれてしまう」などの症状が現れる病気です。前立腺肥大症の患者さんの50~75%には過活動膀胱の症状が現れるといわれています。
過活動膀胱の症状には、尿意切迫感があります。また、頻尿を伴ったり、ときに切迫性尿失禁をきたしたりすることもあります。
急に尿意をもよおし、もれそうで我慢できなくなります。
1日にトイレに行く回数として、日中は5~7回、就寝中は0回が正常と考えられています。日中に8回以上トイレに行き、夜間に就寝中も1回以上トイレに行くために起きるようであれば、頻尿(夜間頻尿)の状態といえます。
尿意切迫感に加えて、トイレまで我慢することができず尿がもれてしまう場合もあります。
過活動膀胱の症状は、40歳以上の男女の8人に1人に見られることが、調査で明らかになっています。実際の患者数は、800万人以上と考えられています。このうち、切迫性尿失禁がある方は、全体の半分程度でした。
男性では、前立腺肥大症があり過活動膀胱の症状が現れている人と、前立腺肥大症はなく過活動膀胱の症状だけが現れている人がいます。
過活動膀胱には、脳と膀胱(尿道)をつないでいる神経のトラブルによって生じる神経因性のものと、その他の原因によって生じる非神経因性のものがあります。
脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害の後遺症によって脳と膀胱(尿道)の筋肉を結ぶ神経の回路にトラブルが起こると、「徐々に膀胱に尿がたまってきている」という正常な尿意が失われて比較的急に強い尿意を感じたり(尿意切迫感)、自分の意志とは関係なく膀胱が勝手に収縮して(縮んで)切迫性尿失禁が起きたりします。
結果的に、膀胱にわずかな尿しかたまっていない状態でも尿を出そうとしたり、緩める・締めるの連携がうまく機能しなくなったりして、過活動膀胱の症状が現れるのです。
前立腺肥大症などによって尿が出にくい状態(下部尿路閉塞)が続くと、排尿のたびに、尿をなんとか出そうとして膀胱に負担がかかるようになります。 これが続くと、膀胱の筋肉に異常が起こることによって少しの刺激にも過敏に反応するようになり、過活動膀胱が起こります。
上記以外の原因によって膀胱の神経が過敏にはたらいてしまった結果、過活動膀胱が起こるケースや、原因が特定できないケースもあります。実際にもっとも多いのは、いくつかの原因が複雑にからみあい原因を特定できないものや、加齢によるものです。
前立腺肥大症と同じように、問診や検査によって診断を行います。
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治療には薬物治療や行動療法などがあります。前立腺肥大症がある方は、先に前立腺肥大症の治療を行います。その効果が十分でなければ、過活動膀胱を考慮した治療を加えたり、治療法を切り替えたりします。
詳しくは「前立腺肥大症と過活動膀胱の治療薬」へ