過活動膀胱は「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近くなる」「突然トイレに行きたくなり、我慢できず尿がもれてしまう」などの症状が現れる病気です。これまでに行われた調査では、この病気で悩んでいる方が非常に多いことが分かっています。
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急に尿意をもよおし、もれそうで我慢できなくなります。
1日にトイレに行く回数として、日中は5~7回、就寝中は0回が正常と考えられています。日中に8回以上トイレに行き、夜間に就寝中も1回以上トイレに行くために起きるようであれば、頻尿(夜間頻尿)の状態といえます。
尿意切迫感に加えて、トイレまで我慢することができず尿がもれてしまう場合もあります。
過活動膀胱の症状は、40歳以上の男女の8人に1人に見られることが、調査で明らかになっています。実際の患者数は、800万人以上と考えられています。このうち、切迫性尿失禁がある方は、全体の半分程度でした。
過活動膀胱には、脳と膀胱(尿道)をつないでいる神経のトラブルによって生じる「神経因性」のものと、その他の原因によって生じる「非神経因性」のものがあります。
脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害の後遺症によって脳と膀胱(尿道)の筋肉を結ぶ神経の回路にトラブルが起こると、「膀胱に尿がたまっている」「まだ尿を出してはいけない」「尿を出してもいい」「膀胱を締める(緩める)」「尿道を緩める(締める)」などの信号のやりとりが正常に機能しなくなります。
結果的に、膀胱にわずかな尿しかたまっていない状態でも尿を出そうとしたり、緩める・締めるの連携がうまく機能しなくなったりして、過活動膀胱の症状が現れるのです。
女性は出産や加齢によって、膀胱・子宮・尿道などを支える骨盤底筋が傷んだり弱くなったりすることがあります。そのために排尿のメカニズムがうまく機能しなくなると、過活動膀胱が起こるのです。
上記以外の原因によって膀胱の神経が過敏にはたらいてしまった結果、過活動膀胱が起こるケースや、原因が特定できないケースもあります。実際にもっとも多いのは、いくつかの原因が複雑にからみあい原因を特定できないものや、加齢によるものです。
排尿に関連した症状によって日常生活に支障が出ている場合には、医療機関を受診してください。一般的に、初診時に行われるのは問診です。どのような症状で困っているかを具体的に伝えるようにしてください。
診断のためには、過活動膀胱の特異的な症状やその程度を調べるための過活動膀胱症状質問票(OABSS)という簡単な質問票が使用されることがあります。
さらに、膀胱の状態を調べるための検査をすることもあります。排尿に関連した症状が見られるとしても、必ずしも過活動膀胱とは限りません。他の病気の可能性も含めて確認するために検査を行います。初診で実施する検査は、腹部エコー検査(残尿量の測定)、血液検査、尿検査など、比較的簡単な検査です。できるだけ早めに医療機関を受診するようにしましょう。
他にも、過活動膀胱の検査として、尿流測定、パッドテスト、ストレステストなどがあります。
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治療には、薬による治療と薬を使用しない行動療法などがあります。
詳しくは「過活動膀胱の治療法」「過活動膀胱のその他の治療法」へ