過活動膀胱に対する治療では、一般的にまず薬物療法が行われます。薬物療法は症状を軽減させるための対症療法です。治療をスタートする前に、医師からの説明をよく聞き、病気と治療について十分に理解しておきましょう。
過活動膀胱の治療で多く用いられる抗コリン薬は、膀胱の収縮に関わるアセチルコリンという物質のはたらきを抑えることで、膀胱の過剰な収縮を抑制し、頻尿や切迫性尿失禁などの症状を改善する治療薬です。
実際に日本では、さまざまな薬剤が使用されています。ただし、抗コリン薬では、口内の乾燥や便秘、認知障害などの副作用が現れる場合があります。
β₃アドレナリン受容体作動薬は、膀胱の弛緩に関わるβ₃アドレナリン受容体に作用する治療薬です。膀胱平滑筋の緊張を和らげることによって膀胱に尿を蓄える機能を高め、頻尿や切迫性尿失禁などの過活動膀胱の症状を改善します。
特徴は症状改善効果に加えて抗コリン薬に特徴的な副作用(口内乾燥や便秘など)がほとんど認められない点です。心血管障害を持つ方へ用いるときは、心拍数が増加する可能性があるため注意が必要です。
漢方薬の中には、女性の過活動膀胱に対して有効性が報告されているものがあります。ただし、過活動膀胱に対する保険適用はないため自由診療となります。
エストロゲンは、尿意切迫感や切迫性尿失禁の治療として用いられてきました。経口投与する場合と膣内へ局所投与する場合があり、このうち、局所投与するものの有効性が確認されています。ただし、過活動膀胱に対する保険適用はないため自由診療となります。
機能の弱まった膀胱や骨盤底筋を鍛えることを目的とした骨盤底筋訓練や膀胱訓練によって、尿トラブルの症状を軽減します。
また、尿トラブルに影響するといわれている塩分制限の指導を行うこともあります。
電気や磁気で刺激を与えることによって、骨盤底筋の収縮力の強化や、膀胱や尿道の神経のはたらきの調整を図る治療法です。過活動膀胱に加えて、腹圧性尿失禁にも有効であるといわれています。