間質性肺疾患に対する治療とは?

提供:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

どのような治療が行われるの?

間質性肺疾患の治療では、肺の炎症や障害を抑える、あるいは肺がだんだん硬くなって、呼吸機能が低下していくことを抑制するために、さまざまな薬物療法がおこなわれます。

また、息苦しさの軽減やQOL(生活の質)向上を目指し、呼吸リハビリテーション、在宅酸素療法といわれる酸素を自宅で吸入する治療法を行ったり、一部の基準を満たす場合は肺移植を行ったりするケースもあります。

基本的に、たばこを吸っている場合には禁煙を行う必要があります。さらに、風邪やインフルエンザなどが呼吸機能の急激な低下を招くこともあるため、手洗いやうがいをして感染症予防に努める、薬の服用を自己判断で中止しないなど、日々の生活からきちんと病気と向き合うことが大切です。

原因によって治療は異なる

間質性肺疾患は、その背景にある病気によって、治療方法や経過が異なります。

過敏性肺炎の場合には特定のアレルギー物質が判明していれば、それを回避することが第1となります。また、薬剤によってアレルギー反応が出る、薬剤性の間質性肺炎の場合、その原因である可能性が高い薬剤の使用を中止、あるいは他の薬に変更する必要があります。

しかし、背景となる間質性肺疾患の診断がついていない場合や、その原因が判明していない場合、それを回避することは難しくなります。

膠原病こうげんびょうの場合、病気によって若干異なるものの、効果が期待される薬物療法(ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤)があり、早期に診断し治療を開始することが大切です。

特発性間質性肺炎にはいくつかの間質性肺炎があり、特発性非特異性間質性肺炎や特発性器質化肺炎、特発性肺線維症では、肺の炎症や障害を抑える、あるいは肺がだんだん硬くなって、呼吸機能が低下していくことを抑制するために、さまざまな薬物療法がおこなわれます。

また、禁煙は呼吸器疾患に限らずあらゆる病気で求められますが、特に喫煙関連の特発性間質性肺炎(剥離性間質性肺炎、呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患)では禁煙が第1となります。

早期診断・治療の重要性

間質性肺疾患の進行スピードや病態はそれぞれの病気によって異なり、治療法もまた異なります。さらに、人によってもさまざまです。まずは背景にある病気を正確に診断したうえで、適切な治療、管理を開始することが重要です。しかし、そのような治療や管理を行っているにもかかわらず、肺の線維化が起きた場合、線維化によって低下した呼吸機能を元通り回復させることは難しいといわれています。さらに一部の患者さんにおいては、進行性の線維化が認められます。これを“進行性線維化を伴う間質性肺疾患”と呼び、代表的なものとして特発性肺線維症が挙げられます。

特発性肺線維症をはじめ、“進行性線維化を伴う間質性肺疾患”の治療にあたっては、肺がだんだん硬くなって、呼吸機能が低下していくことを抑制するために、さまざまな薬物療法がおこなわれます。これらの治療目標は、呼吸機能の低下を抑えて病気の進行を遅らせることであり、早いタイミングで原因となる病気の診断・治療に加え、“進行性線維化を伴う間質性肺疾患”の診断を行ない、適切な治療を開始することが重要です。

また、途中、急激に症状が進行する急性増悪を認めることがあるため、その対策も必要です。

このように間質性肺疾患は、早期に適切な診断を行い、患者さん一人ひとりに適した管理方針や治療を早い段階で決定、開始することが重要です。

参考資料:
日本呼吸器学会・日本リウマチ学会合同委員会『膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針 2020』メディカルレビュー社,2020
日本呼吸器学会『特発性肺線維症の治療ガイドライン2017』南江堂,2017
日本呼吸器学会『特発性間質性肺炎診断と治療の手引き(改訂第3版)』南江堂,2018
吾妻安良太(編),三嶋理晃(編)『間質性肺炎・肺線維症と類縁疾患』(呼吸器疾患診断治療アプローチ,4)中山書店,2018.
公益財団法人 難病医学研究財団 『難病情報センター』(https://www.nanbyou.or.jp
2024年9月作成