PMS（月経前症候群）が起こる原因にはさまざまな説が挙げられています。まだ、はっきりとしたことは分かっていませんが、エストロゲンと黄体ホルモン（プロゲステロン）という2種類の女性ホルモンの変動が関係していると考えられています。

PMSに関係する女性ホルモン～エストロゲンと黄体ホルモン（プロゲステロン）のはたらき～

エストロゲンと黄体ホルモン（プロゲステロン）は、妊娠に備える以外にも女性の健康に欠かすことのできない役割を担っています。それぞれどういったはたらきをしているか見ていきましょう。

● エストロゲン～妊娠に備えるとともに女性の心身の健康を維持～

エストロゲンは女性らしさを作るホルモンと呼ばれ、子宮内膜（受精卵を受け止めて成長を助ける子宮の内側を覆う膜）にはたらいて妊娠に備えたり、生殖器官や乳房を発育させたりするはたらきがあります。それらに加えて自律神経のバランスを整える、骨や筋肉などをつくるといった女性の心と身体の健康を保つ役割も担っています。

● 黄体ホルモン（プロゲステロン）～妊娠をサポートする一方で、不調につながることも～

黄体ホルモン（プロゲステロン）は子宮内膜を厚くしたり、排卵後に体温を上昇させたり（高温期）することで妊娠しやすい状態をつくり、受精卵が育つ環境を整えるはたらきをします。なお、妊娠をサポートするために水分や栄養を体内に蓄積するといった作用があるので、黄体ホルモン（プロゲステロン）の分泌量が増える時期はむくみや太りやすさなどにつながります。

PMSが起こる原因

● 月経（生理）が起こる仕組みとは？

女性は月に1度ほどの周期で排卵が起こります。これに伴い、エストロゲンと黄体ホルモン（プロゲステロン）は受精卵を受け止めて成長を助ける役割を担う子宮内膜を増やしたり、厚くしたりして妊娠に備えます。しかし、妊娠しなかった場合には不要になった子宮内膜が剥がれ落ちて出血とともに体外に出されます。これが月経の起こる仕組みです。

● 月経周期と女性ホルモンの変動

月経開始日から次回の月経開始の前日までを月経周期といい、25～38日が正常範囲です。エストロゲンと黄体ホルモン（プロゲステロン）は月経前の黄体期の後半にはいずれもホルモンレベルが下がります。このようなホルモン変化が月経前に心身の不調を引き起こす要因の1つと考えられています。
ホルモンバランスの乱れが原因でPMSが起こると思っていた方もいるかもしれませんが、そうではありません。女性ホルモンが正常に機能しているからこそ毎月月経がきて、PMSの症状が現れているのです。

PMSを悪化させる要因

2種類の女性ホルモンのレベルが月経前に低下することがPMSを引き起こす大きな要因の1つとされていますが、それに加えて生活習慣の乱れもPMSの症状を悪化させる原因になると考えられています。以下のようなものが代表的です。

・ストレス
・喫煙
・飲酒
・睡眠不足
・運動不足
・食生活の乱れ

生活習慣や食生活を改善することでPMSを和らげる効果が期待できます。詳しくは「PMSを和らげるには？ ～生活習慣を見直すポイント～」をご覧ください。