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目次
01.
乾癬の特徴
02.
診断と治療
乾癬
かんせん
は免疫疾患のひとつで、免疫のシステムが過度に活性化されることにより皮膚や全身に多様な症状が起こってしまう慢性炎症性の皮膚疾患です。ウイルスや細菌によって発症する病気ではないため、決して人から人にうつる(感染する)ことはありません。また、乾癬は長く付き合っていくことが必要な病気ですが、適切に治療を受けることで症状をコントロールしていくことができる病気です。その具体的な特徴を見ていきましょう。
日本にはどれくらい・
どのような患者さんがいる?
日本の患者数:
約43~56万人
*1
発症平均年齢:
30歳代
(ただし10歳代~70歳代まで幅広い年代で発症が認められる)
*2
男女比:
2:1の割合で男性に多い
*2
どんな病気?
皮膚が赤みをおび、盛り上がってくる
皮膚にフケのような物質ができ、剥がれ落ちる
かゆみを伴う場合もある
乾癬の種類によっては発熱、全身倦怠感、むくみなどの全身症状や、爪の変形、関節炎、心臓・腎臓などへの影響などが現れる
原因は分かっている?
明確な原因は不明ですが、下記2つの要因が重なることで発症すると考えられています。
遺伝的要因(免疫異常を起こしやすい体質)
環境要因(生活習慣病、ストレス、けがなど)
01
乾癬の特徴
乾癬の主な症状は皮疹で、外からの刺激やストレスなどによって悪化する方もいます。乾癬の種類によっては全身に症状が現れることもあります。湿疹やじんましん、
脂漏性皮膚炎
しろうせいひふえん
、接触皮膚炎などの似た症状が出る病気と間違えやすいため、適切な治療を受けられず重症化するケースもあります。乾癬は皮膚科で診断できるため、気になる症状があれば早めに受診することが大切です。
乾癬の症状と類似疾患について
乾癬に似たような症状が生じる病気はいくつか存在しますが、乾癬の皮疹の現れ方にははっきりとした特徴があります。また、種類によっては全身に症状が現れ、腎機能や心機能に支障をきたすこともあります。乾癬の好発部位(症状がでやすい場所)や特徴、経過について詳しく見ていきましょう。
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症状セルフチェックシート
自分の症状が乾癬かもと思ったら、まずは受診前に症状をチェックしてみましょう。
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02
診断と治療
乾癬は
尋常性乾癬
じんじょうせいかんせん
、
乾癬性関節炎
かんせんせいかんせつえん
、
乾癬性紅皮症
かんせんせいこうひしょう
、
膿疱性乾癬
のうほうせいかんせん
、
滴状乾癬
てきじょうかんせん
の5種類に分類され、種類によって皮疹の現れ方や広がり方などに違いがみられます。このうちもっとも患者数が多いのは尋常性乾癬で全体の約90%を占めるといわれています。このほか、滴状乾癬が約4%、乾癬性関節炎が約3%、乾癬性紅皮症が約1%、膿疱性乾癬は汎発型と限局型
*
がそれぞれ約1%であると報告されています
*2
。しかし最近の調査では乾癬性関節炎の割合はより多いという報告もあります
*3
。
また、膿疱性乾癬は病状が重くなりやすく、汎発型は指定難病の1つとして区別されています。尋常性乾癬の症状が先行して後に膿疱性乾癬が発症することもあるため、放置せず受診をすることが大切です。
*汎発型:全身に症状が多発する病型/限局型:手足など部分的に症状が現れる病型。
乾癬の種類について
乾癬は、もっとも患者数が多い “尋常性乾癬”、関節症状を伴う”乾癬性関節炎”、全身の皮膚が赤くなる“乾癬性紅皮症”、発症頻度は低いものの病状が重くなりやすい“膿疱性乾癬”、そして水滴ほどの小さな紅斑がみられる“滴状乾癬”の5種類に分類されます。それぞれの種類にはどのような特徴があるのかを詳しく見ていきましょう。
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乾癬の病態概念と注意すべき合併症
乾癬は遺伝的な“なりやすさ”に加え、メタボリックシンドローム、ストレス、食事などのさまざまな因子が重なって免疫機能に異常をきたすことで発症すると考えられています。また、発症すると免疫機能の異常により全身の臓器に炎症を起こすため、皮膚のみならず全身に多様な合併症が現れてくることがあります。具体的にどのような合併症が起こりやすいのかを詳しく見ていきましょう。
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乾癬のお悩みQ&A
「どんなときに受診すればよい?」「食事制限は必要?」「着るものは何を選んだらよい?」など、乾癬の患者さんの多くが抱えるお悩みと回答をQ&A形式でまとめました。受診を検討している方や症状のコントロールで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
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治療選択には乾癬の種類や重症度、患者さんの状態などが考慮される
乾癬は軽快と悪化を繰り返しながら慢性的な経過を辿ることが多いため、そのときの患者さんの状態や重症度、生活スタイルなどを考慮したうえで治療が選択されます。また、適切な治療選択をするためには、患者さんご自身が「治療で乾癬がよくなったらどのような生活を送りたいか」という目標を持つことも大切です。
乾癬の相談ができる医療機関を探す
乾癬にも複数の種類があります。
自己判断せず、乾癬の診療ができる医療機関へ相談しましょう。
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監修
自治医科大学 副学長、自治医科大学 皮膚科学講座 教授
大槻 マミ太郎 先生
出典:
*1 Kubota K, et al. BMJ Open 2015;5:e006450.
*2 Takahashi H, et al.:J Dermatol. 2011;38(12):1125-1129.
*3 Yamamoto T, Ohtsuki M, Sano S, et al. J Dermatol.2016; 43: 1193-1196.
参考資料:
公益社団法人 日本皮膚科学会(
https://www.dermatol.or.jp
)
公益財団法人 難病医学研究財団 『難病情報センター』(
https://www.nanbyou.or.jp
)
清水宏『あたらしい皮膚科学 第3版』中山書店, 2018
接触皮膚炎診療ガイドライン 2020(
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/130_523contact_dermatitis2020.pdf
)
山本俊幸編.『乾癬・掌蹠膿疱症ー病態の理解と治療最前線』中山書店.2020
Takumi Itoh, et al. : J Dermatol. 2019 Apr;139(4):878-889
2022年12月作成