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乾癬特集乾癬の症状と類似疾患について

乾癬の症状

典型的な症状

乾癬かんせんにはいくつかの種類があり、種類によって症状が異なりますが、大部分*1は尋常性乾癬と呼ばれるタイプのものです。尋常性乾癬の典型的な症状は、皮膚が赤くなる紅斑こうはんと皮膚が盛り上がる浸潤しんじゅん肥厚ひこう、またその上に鱗屑りんせつという銀白色の粉のようなものが見られることです。
また、これらの皮膚症状は正常な部分との境界がはっきりしていることが特徴です。鱗屑はフケのように剥がれ落ちる落屑らくせつが見られ、鱗屑を無理に剥がすとポツポツと点状に出血するような症状が見られます。尋常性乾癬の約半数の方で強いかゆみの症状を伴います。なお、乾癬が人にうつる(感染する)ことは決してありません。

症状セルフチェックシート
自分の症状が乾癬かもと思ったら、まずは受診前に症状をチェックしてみましょう。
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そのほかの症状

乾癬の種類によっては、先述した皮膚の症状に伴い、関節の痛みや腫れ、爪の変形が見られることがあります。また、風邪(扁桃炎)を発症した後に全身に小さな紅斑が見られたり、正常な皮膚がほとんど見えないほどに全身に紅斑が見られたりする種類の乾癬もあります。そのほか、発熱や倦怠感、全身の紅斑とともに膿疱のうほう(膿がたまったもの)が出現し、場合によっては他臓器に影響が及ぶ種類の乾癬もあります。

乾癬の種類について
乾癬は、もっとも患者数が多い “尋常性乾癬”、関節症状を伴う”乾癬性関節炎”、全身の皮膚が赤くなる“乾癬性紅皮症”、発症頻度は低いものの病状が重くなりやすい“膿疱性乾癬”、そして水滴ほどの小さな紅斑がみられる“滴状乾癬”の5種類に分類されます。それぞれの種類にはどのような特徴があるのかを詳しく見ていきましょう。
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症状の特徴

好発部位

乾癬の症状は全身のどこにでも起こる可能性がありますが、こすったり傷ついたりなどの刺激を受けやすい頭部、肘、膝、腰、臀部でんぶ、下腿前面などに生じやすい特徴があります。

症状の経過

乾癬は慢性の経過を辿る病気で、長い付き合いが必要となる病気です。しかし、発症したらその後もずっと症状が続くわけではなく、良くなったり悪くなったりを繰り返す特徴があります。患者さんによっては、数年単位で症状の出現を繰り返すこともあります。
このように乾癬は長い経過を辿ることから、途中で治療をやめてしまう方も少なくありません。しかし、乾癬は根気よく治療を続けていくことで、症状をコントロールできる可能性があります。

また、症状が悪化するタイミングは患者さんによって異なりますが、乾癬の患者さんでは皮疹ひしんがない部分でも刺激が加わることによって新たな皮疹が生じてしまうことがあります(ケブネル現象といいます)。そのため、症状の悪化を防ぐには皮膚をこすったり、引っ掻いたりしないことが大切です。そのほか、けがや激しい日焼けといった強い刺激や精神的なストレスなどによっても悪化することがあります。皮疹の範囲が広がったりかゆみが強くなったりすると、見た目や日常生活にも影響を及ぼすため症状そのものが精神的ストレスとなり、さらに症状が悪化するという悪循環を招きかねません。
一方、適度な紫外線は乾癬の症状を軽減する効果があることから、夏場には症状が起こりにくい方もいらっしゃいます。

乾癬と類似する病気

乾癬で起こる赤い紅斑や皮膚の盛り上がりはほかの病気でも見られることがあります。このため乾癬だと気付かずに放置してしまい、適切な治療を受けられないまま重症化するケースもあります。似たような症状が現れる病気には以下のようなものがあり、診断の際には慎重に皮膚を観察したり、場合によっては病理検査*などで詳しく調べることで、これらの病気との鑑別を行います。

*病理検査:皮膚の一部を小さく切除して、それを顕微鏡で詳しく調べる検査。

湿疹しっしん
・じんましん
脂漏性皮膚炎しろうせいひふえん
・接触皮膚炎
・白癬
・類乾癬
Gibertジベルばら色粃糠疹ひこうしん
・皮膚リンパ腫(菌状息肉症きんじょうそくにくしょう
・梅毒
薬疹やくしん
・関節リウマチ など

少しでも気になることがあれば早めに受診を

乾癬の症状は見た目にも目立ったり、鱗屑が剥がれ落ちたりするために、周囲からの視線を気にしながら日々の生活を送っている患者さんが多くいらっしゃいます。また、感染する病気ではないのにもかかわらず、「うつるのではないか」と勘違いされることもあります。こういった精神的なストレスによって、QOL(quality of life:生活の質)が大きく低下してしまうのが乾癬の大きな問題といえるでしょう。
また、乾癬のなかには、乾癬性紅皮症という乾癬の重症化などによって発症するタイプのものや、膿疱性乾癬といった命にかかわる可能性があるタイプのものもあります。乾癬の症状があっても「単なる乾燥や湿疹だから自然に治るだろう」と思い受診を控え、診断や治療が遅れてしまうケースも少なくありません。乾癬は皮膚科で診断・治療を受けることができます。もし当てはまる症状があるなど少しでも気になることがあれば、放置せずに早めに受診しましょう。

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乾癬の種類について
乾癬は、もっとも患者数が多い “尋常性乾癬”、関節症状を伴う”乾癬性関節炎”、全身の皮膚が赤くなる“乾癬性紅皮症”、発症頻度は低いものの病状が重くなりやすい“膿疱性乾癬”、そして水滴ほどの小さな紅斑がみられる“滴状乾癬”の5種類に分類されます。それぞれの種類にはどのような特徴があるのかを詳しく見ていきましょう。
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乾癬の病態概念と注意すべき合併症
乾癬は遺伝的な“なりやすさ”に加え、メタボリックシンドローム、ストレス、食事などのさまざまな因子が重なって免疫機能に異常をきたすことで発症すると考えられています。また、発症すると免疫機能の異常により全身の臓器に炎症を起こすため、皮膚のみならず全身に多様な合併症が現れてくることがあります。具体的にどのような合併症が起こりやすいのかを詳しく見ていきましょう。
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乾癬のお悩みQ&A
「どんなときに受診すればよい?」「食事制限は必要?」「着るものは何を選んだらよい?」など、乾癬の患者さんの多くが抱えるお悩みと回答をQ&A形式でまとめました。受診を検討している方や症状のコントロールで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
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監修
自治医科大学 副学長、自治医科大学 皮膚科学講座 教授
大槻 マミ太郎 先生
出典:
*1 Takahashi H, et al.J Dermatol.2011 Dec;38(12):1125-9.

参考資料:
清水宏『あたらしい皮膚科学第3版』中山書店, 2018
公益社団法人 日本皮膚科学会(https://www.dermatol.or.jp
公益財団法人 難病医学研究財団 『難病情報センター』(https://www.nanbyou.or.jp
大久保ゆかり: 実地診療マニュアル イラスト&ビジュアル46 尋常性乾癬. Clinical Derma 13: 3-6, 2011.
接触皮膚炎診療ガイドライン 2020
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/130_523contact_dermatitis2020.pdf
乾癬性関節炎診療ガイドライン2019
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/PsAgl2019.pdf
山本俊幸編. 乾癬・掌蹠膿疱症-病態の理解と治療最前線.中山書店.2020
2022年12月作成