睡眠の重要性~睡眠関連疾患が心身や日常生活に及ぼす影響~
睡眠には脳や体を休めて疲れを回復する効果や、免疫機能を高める効果など体の調子を整えるはたらきがあるといわれています。また、その日あった出来事などを記憶として固定するほか、感情を整理したり心の調子を整えたりするはたらきもあります。睡眠関連疾患によって睡眠時間の不足や睡眠の質の低下が起こると、これらがうまくはたらかなくなり、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
体や脳が回復しないまま日中の活動を続けると、眠気が強くなるだけでなく、注意力が低下して仕事上のミスや事故を引き起こすリスクも高まります。また、心の回復が十分でないと、不安や抑うつにもつながりかねません。
お子さんの場合は、勉強に集中できないことによって成績が落ちたり、心身の成長の妨げにつながったりする可能性もあります。
睡眠関連疾患による合併症のリスク
睡眠関連疾患はさまざまな病気につながることも知られており、合併症には注意が必要です。代表的な合併症は以下のとおりです。
精神疾患(うつ病など)
睡眠関連疾患の合併症として特によく知られているのは、うつ病をはじめとする精神疾患です。たとえば睡眠関連疾患の1つである“不眠症”が長期化すると、うつ病にかかりやすくなることが分かっています。また、うつ病の初期症状として不眠の症状が現れることもあり、病気の発症や再発を知らせるサインとしても知られています。
生活習慣病(糖尿病、高血圧症など)
生活習慣病との合併にも注意が必要です。たとえば、就寝中に気道が塞がる閉塞性睡眠時無呼吸の患者さんは肥満であることが多く、生活習慣病(糖尿病や高血圧症など)を合併している場合も多いとされています。呼吸が止まると酸化ストレス*の増加や交感神経(活動時にはたらく神経)の活性化が生じ、血糖値や血圧の上昇などにつながる可能性があると考えられています。
認知症(アルツハイマー病)
近年、睡眠不足であったり眠りが浅かったりして睡眠の質が低下すると、認知症の1つであるアルツハイマー病の発症と関連することが明らかになっています。アルツハイマー病とは認知症の中でももっとも発症率が高い病気で、物忘れや認知機能の低下などさまざまな症状が現れます。発症予防の一環として、しっかりと睡眠時間を確保するとともに睡眠の質を高めることが大切です。
睡眠に関する問題が続く場合は1人で悩まずに病院へ
睡眠関連疾患は、生活習慣を見直すだけで改善が期待できる場合もあれば、病院での治療が必要となる場合もあります。生活習慣を改善したにもかかわらず、「寝付きが悪い」「夜中や早朝に目が覚める」「日中の強い眠気で仕事や授業に集中できない」といった睡眠に関する問題が続いている方もいるのではないでしょうか。不安な気持ちが症状を悪化させてしまう可能性もあるため、睡眠に関する悩みがある方は一度医師に相談してみましょう。
かかりつけの医師がいる場合には、まずはかかりつけ医に相談するとよいでしょう。かかりつけの医師がいない場合には、睡眠関連疾患の診療を行っている病院への受診をおすすめします。当サイトの病院検索では、睡眠関連疾患の診療を行う病院を検索することが可能です。