インタビュー

核医学検査とは?その5―肺と腎臓の核医学検査

核医学検査とは?その5―肺と腎臓の核医学検査

日本核医学会

日本核医学技術学会

日本アイソトープ協会

この記事の最終更新は2015年08月14日です。

今回の記事では、肺と腎臓の核医学検査について詳しく解説していきます。
肺の最も基本的な機能は、酸素と二酸化炭素の交換です。体内に入った酸素を血中へと取り込み、二酸化炭素を血中から体外へ放出させます。また腎臓は腰の付近にあるそら豆のような形をした臓器で、血液を濾過する働きを担っています。いずれも重要な臓器ですが、これら2つの臓器についても、核医学検査が行われます。

本記事は、日本核医学会日本核医学技術学会日本アイソトープ協会の3学会にご監修いただいております。

肺の核医学検査では、「肺の換気機能を調べるもの」と、「肺の血流を調べる検査」のふたつがあります。肺の換気を反映する画像とセットで測定することで、より正確な診断が可能です。
肺血流の検査は、肺塞栓症肺高血圧症などの診断に用いられます。例えば、肺には無数の毛細血管が張り巡らされています。この毛細血管へ血液を送る血管に、血液の固まり(血栓)が詰まってしまうと、胸に痛みを感じたり、息苦しくなったりすることがあります(この症状を肺塞栓症といいます)。

肺の核医学検査は、血栓が肺のどのあたりにあり、それに対して、どういう治療をするのかを調べるために行います。これにより肺血流を妨げている血栓がどこにあるのかが分かります。また、血栓を溶かす治療をしているときに、治療の効果を検証するために検査をすることもあります。

肺の核医学検査に伴う目安時間は、およそ20分~1時間程度です。検査によって得られた画像は、例えば肺塞栓症の場合、画像に多数の欠損を認めます。
また、左右別や上下左右別の取り込みを比較することで分肺機能(血流比)を評価することもできます。肺換気機能もあわせた検査をおこなう時は、ガス状の放射性医薬品を使い、マスクを使って吸い込んだ後に画像撮影をおこないます。

腎臓の核医学検査では、前述したように、2つの腎臓の濾過作業(体に必要なものは再吸収し、老廃物は排出する機能)がきちんと働いているか、また、濾過の速さがどの程度かを調べることができます。
また、この検査で、左右にある腎臓の働きを比較することも可能です。これは慢性腎炎腎不全腎梗塞や、腎臓移植後の腎臓が正常に機能しているかの評価などに用いられています。では、具体的にどのように検査をするのでしょうか? 

腎臓の核医学検査は、まず初めに、尿を出しやすくするため、検査開始の20~30分前に水200~300mlを摂ります。そして、検査中にトイレに行くことを避けるため、一旦排尿します。その後、薬剤を注射し、30分ほど撮影をおこないます。

撮影によって得られた画像で、放射性医薬品が腎臓に集積し、腎盂から尿管、尿管から膀胱へと排泄される様子を捉えることができます。腎臓の核医学検査をすることによって、腎臓から膀胱までの経路のなかでどこに原因があるのか、あるいは、腎障害の程度がどれくらいなのかといったことを視覚的に確認できます。

※本記事は、日本核医学会、日本核医学技術学会、日本アイソトープ協会による『なぜ核医学検査を受けるの?(pdf)』をもとにしています。

記事1:核医学検査とは?その1―放射性医薬品とは何か
記事2:核医学検査とは?その2―検査の手順と他の検査との違い
記事3:核医学検査とは?その3―骨の核医学検査でわかること
記事4:核医学検査とは?その4―心臓と脳の核医学検査
記事5:核医学検査とは?その5―肺と腎臓の核医学検査
記事6:核医学検査とは?その6―甲状腺と副腎の核医学検査