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エーラス・ダンロス症候群
エーラス・ダンロス症候群 (Ehlers-Danlos syndrome: EDS) は、皮膚や骨、血管、さまざまな臓器などを支持する結合組織が脆弱になる遺伝性の疾患です。結合組織は私たちの体の...
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エーラス・ダンロス症候群えーらすだんろすしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

エーラス・ダンロス症候群 (Ehlers-Danlos syndrome: EDS) は、皮膚や骨、血管、さまざまな臓器などを支持する結合組織が脆弱になる遺伝性の疾患です。結合組織は私たちの体の強度や伸縮性を生み出すために重要な役割を担っています。原因や臨床症状、遺伝形式の違いに基づき、古典型、関節型、血管型、後側彎型、多発関節弛緩型、皮膚弛緩型の6つに分類されます。これらの他にも新たな病型が見つかってきていますが、いずれも珍しく詳細が不明であるものがほとんどです。すべての病型を合わせると、世界的にみて5,000人に1人程度の有病率であると推定されています。古典型ならびに関節型がもっとも多く、古典型で20,000~40,000人に1人、関節型で10,000~15,000人に1人程度とされています。そのほかの病型に関しては、世界的にみても後側彎型で約60例、多発関節弛緩型で約30例の報告しかなく非常にまれです。

原因

エーラス・ダンロス症候群は遺伝性の疾患であり、発症に関わるとされる原因遺伝子が複数同定されています。古典型に関しては、COL5A1やCOL5A2といったⅤ型コラーゲン遺伝子上における異常が高頻度に認められます。関節型については、ごく一部の患者さんでTNXB遺伝子の異常が見つかっていますが、ほとんどの症例で原因が特定されていません。血管型についてはⅢ型コラーゲン遺伝子 (COL3A1)、後側彎型ではリジンハイドロオキシラーゼというコラーゲンの形成・安定に関わる酵素の遺伝子 (PLOD1)、多発関節弛緩型ではI型コラーゲン遺伝子 (COL1A1やCOL1A2)、皮膚弛緩型ではプロコラーゲンN-プロテイナーゼというコラーゲンの分解に関わる遺伝子 (ADAMTS2)がそれぞれ原因遺伝子として見つかってきています。いずれもさまざまな種類のコラーゲン生成に関わるもの、もしくはコラーゲンの成熟に必須の酵素生成に関わる遺伝子です。これらの遺伝子に異常がおこることで、結合組織の構造や強度を保つためのコラーゲン生成が阻害され、その結果エーラス・ダンロス症候群が引き起こされると考えられます。古典型、関節型、血管型、多発関節弛緩型は常染色体優性遺伝形式、後側彎型、皮膚弛緩型は常染色体劣性遺伝形式をとります。

症状

各病型において特徴的な症状はあるものの、エーラス・ダンロス症候群の患者さんで共通して認められる症状として、関節の過伸展性、皮膚の過伸展性ならびに脆弱性があげられます。関節を支える結合組織がもろくなることから、正常な可動域を超えて動き、脱臼しやすくなります。また、皮膚が健常の方と比べて非常に伸びやすく、感触も柔らかでなめらかです。さらに皮膚が脆いために傷がつきやすく、治りにくいという特徴が認められます。症状の程度は個人差が大きく、関節の症状は認められるものの皮膚症状はともなわないといった患者さんもおられます。血管型の場合には、眼球突出や薄い上口唇、耳たぶが小さいなど特徴的な顔貌を示す方も認められ、また皮膚が薄く静脈が透けて見えることも特徴として挙げられます。エーラス・ダンロス症候群で問題となる症状のひとつは、心臓や腎臓などの大きな動脈が脆くなることです。このような大きな血管が破れてしまうと命に関わる問題になりかねません。血管型の患者さんではさらに、腸管や子宮破裂といった重篤な合併症を生じる場合もあります。

検査・診断

エーラス・ダンロス症候群の診断時には、特徴的な臨床症状や病歴・家族歴から本疾患が疑われ、さらにいずれの型に該当するかが検索されます。共通して認められる関節症状や皮膚症状に関しては、関節の可動性や皮膚の過伸展、萎縮性瘢痕が評価されます。このほか、皮膚生検で得たサンプルをもとにコラーゲンの組織学的な評価を行う場合や、採取した細胞を培養して生化学的な評価を行う場合もあります。また、心臓のエコーやCT、MRIなどの画像検査も実施されます。エーラス・ダンロス症候群では、コラーゲンの生成や成熟に重要なタンパクや酵素に関わる遺伝子異常が複数みつかっていることから、遺伝子に異常がないかを検討する場合もあります。

治療

エーラス・ダンロス症候群の治療については、それぞれの症状に応じた対症療法が中心となります。痛みが強い場合には鎮痛剤が処方されることもありますし、一部の患者さんでは血管がもろくなることから血圧を下げる薬が処方されることもあります。関節が脱臼しやすくなることから、関節まわりの筋肉強化を目的としたリハビリテーションも有効ですし、必要に応じて補装具の利用もすすめられます。また治療だけでなく、皮膚や関節が脆弱であることから、激しい運動を避けたりサポーターを装着するなどの予防も重要となります。血管型の場合には、動脈解離や動脈瘤、動脈破裂に加えて腸管破裂や子宮破裂といった重篤な合併症をきたす可能性もあるため、定期的なフォローが必要となります。