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タナトフォリック骨異形成症
タナトフォリック骨異形成症とは、全身の骨が短くなることで低身長や呼吸障害を来すようになる重症な骨疾患のひとつを指します。タナトフォリック骨異形成症では、FGFR3と呼ばれる遺伝子の異常を有するこ...
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骨・関節

タナトフォリック骨異形成症(たなとふぉりっくこついけいせいしょう)

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

タナトフォリック骨異形成症とは、全身の骨が短くなることで低身長や呼吸障害を来すようになる重症な骨疾患のひとつを指します。タナトフォリック骨異形成症では、FGFR3と呼ばれる遺伝子の異常を有することが原因で病気が発症します。
タナトフォリック骨異形成症は、日本においては難病指定を受けている疾患のひとつであり、全国で100名前後の患者さんがいると推定されています。以前は「致死性骨異形成症」の名称でしたが、医学的に必ずしも致死的ではないということや、ご家族への心理的な影響も踏まえて、「タナトフォリック骨異形成症」へと名称が変更されています。
タナトフォリック骨異形成症では肋骨の短縮に関連した呼吸障害が強く、呼吸管理をすることがとても重要です。出生後に亡くなる方も多い一方、呼吸管理を行うことで長期生存することも可能であると報告されています。

原因

タナトフォリック骨異形成症は、FGFR3と呼ばれる遺伝子に異常が生じることを原因として発症します。FGFR3遺伝子は、骨や脳の正常発達に重要な役割を果たしていることが知られています。FGFR3遺伝子に異常が生じると骨や脳の発達に異常が生じることになり、タナトフォリック骨異形成症で見られるような特徴的な症状につながると考えられています。
FGFR3遺伝子に関連して産生されるタンパク質は、アミノ酸を構成成分として産生されています。タナトフォリック骨異形成症で生じる遺伝子異常にはいくつかのタイプが知られていますが、特に248番目に位置する「アルギニン」が「システイン」へと置き換わってしまうタイプのものがもっとも多いことが知られています。
タナトフォリック骨異形成症は、病気の家族歴がない家系において、FGFR3遺伝子に突然変異が生じることから病気が発症します。FGFR3遺伝子異常に関連したタナトフォリック骨異形成症は、「常染色体優性遺伝」と呼ばれる遺伝形式をするのではないかと想定されています。しかしながら、現在までのところ病気を有する方がお子さんを持ったという報告はなく、どのような形で次世代に伝わるかの確証は得られていない状況です。

症状

タナトフォリック骨異形成症では、全身各部位の骨が短くなることが特徴的な症状です。手足、特に大腿骨と上腕骨が著しく短くなるため、低身長を呈することになります。また手足の骨は短くなるのですが、相対的に皮膚は過剰な状態になります。したがって、四肢に皮膚のしわが寄ることになります。
骨の短縮は、肋骨にもみることになります。肋骨の骨が短縮をすると、肺が収納されるスペースが小さくなることになります。その結果、肺がうまく大きくなることができず、呼吸不全をきたすことになります。呼吸不全の程度は非常に強く、呼吸管理を行わない場合はほぼ致死的です。そのほか、頭蓋骨に変形をみることも特徴です。また、お腹が張っている腹部膨満をみることもあります。
骨の短縮症状は、胎児期から認めます。四肢の短縮は妊娠中期から指摘することが可能であり、呼吸様運動が抑制されていることと関連して羊水が多くなることも特徴です。

検査・診断

タナトフォリック骨異形成症は、胎児期の母体に対してのエコー検査から疑うことが可能です。エコー検査では、妊娠中期からの四肢の短縮、妊娠30週頃からは羊水過多をみます。胎児期のうちに確定診断を行うために、羊水中に存在する胎児の細胞を用いてFGFR3遺伝子の異常を検出する遺伝子検査が検討されます。また、タナトフォリック骨異形成症以外の骨疾患と鑑別を行うために、胎児期にCT検査を行うこともあります。
出生後には、全身各部位のレントゲン写真を行い、特徴的な骨の変化を確認することになります。具体的には四肢の短縮、肋骨の短縮、特徴的な頭蓋骨の変化などをレントゲン写真で確認することになります。胎児期と同様、FGFR3遺伝子の異常を検出するための遺伝子検査が行われることもあります。

治療

タナトフォリック骨異形成症では、出生後早期からの呼吸障害が最も生命予後に影響を及ぼします。肋骨が小さいことから肺がうまく成熟をしておらず、呼吸不全になることになります。無治療の状況では出生後数時間のうちに亡くなることになるため、呼吸機能をサポートするために酸素、挿管、人工呼吸管理が必要になります。人工呼吸管理に関連して哺乳を行うこともできないため、チューブを用いた経腸栄養も必要になります。
タナトフォリック骨異形成症は致死的疾患のひとつでありますが、呼吸管理により長期生存をされる方もいらっしゃいます。しかし、生命倫理の観点から議論のある分野でもあるため、個々の症例に応じて、両親と医療従事者の間で治療方針を議論することがとても大切になります。