しょくどうきょうさく

食道狭窄

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

食道狭窄とは、何らかの原因で食道が狭窄(きょうさく)(狭くなること)して通過障害が生じたものを指します。

食道には、食道入口部、左主気管支交叉部、食道裂孔部に生理的な狭窄部位があります。しかし食道は蠕動運動(ぜんどううんどう)を行っており、通常では、これらの狭窄部で通過障害を生じることはありません。

原因

食道狭窄には、先天性のものと後天性のものがあります。

先天性

原因として多いのは、胎児の分化段階で食道内に気管の軟骨が入り込んだ気管原基迷入型狭窄です。そのほかには食道の筋肉の一部が肥厚した筋線維性狭窄、食道内に粘膜の膜がある膜様狭窄があります。

後天性

食道の機能に異常があるものや、物理的な狭窄が生じるものなどさまざまな原因があります。

食道アカラシア

食道平滑筋と下部食道括約筋(LES)の運動を支配する迷走神経に異常が生じて、食道が食べ物を通過させるのに必要な蠕動運動とLESの弛緩不全が引き起こされ、食道下部が狭窄する病気です。

食道炎

食道の粘膜に炎症が起きて、びらん(ただれ)や潰瘍を形成する病気です。もっとも多いのは胃酸が食道内に逆流することで粘膜が傷害される逆流性食道炎です。ほかには、カビやウイルス感染によるものや、鎮痛薬などを飲んだ後に正常に胃に入らず食道内に長時間残ったことで生じる薬剤性食道炎などがあります。

食道炎は通常では瘢痕(はんこん)を残さずに治癒することがほとんどです。重症例や未治療の状態が長く続いたときには、粘膜の引きつれなどを生じ、これが食道狭窄になってしまうことがあります。

食道裂孔ヘルニア

横隔膜の食道裂孔ヘルニアに胃の一部が入り込む病気です。LESの機能異常が生じやすく、逆流性食道炎となって食道狭窄を引き起こすことがあります。また食道裂孔部に胃がすっぽりときつく入り込んだ場合には、それ自体が通過障害の原因となります。

食道がん

食道がんは食道粘膜にがんの塊ができるので、食道の内腔が狭くなって食道狭窄となります。特に進行がんで起こりやすく、中部食道に多いといわれています。

また内視鏡治療や放射線治療後にも場合によっては粘膜に瘢痕が残ったり、外科手術後には食道をつなぎ合わせた部分に狭窄が生じたりすることがあります。

他臓器病変の圧排

甲状腺病変やリンパ節腫大などによって食道が外側から圧排されている状態です。

症状

症状は、原因にかかわらず基本的には共通しています。

食べ物の通過障害が起こるため、吐き気や胸焼け・嘔吐・嚥下後の胸痛などの腹部症状が生じます。また食道炎食道がんでは、食べ物の通過に関係なくみぞおちや前胸部の痛みを感じることがあります。高度な出血がある場合には、吐血やタール便などの上部消化管出血に共通する症状が現れます。

先天性食道狭窄では哺乳開始後すぐに症状が現れる場合もありますが、軽度な狭窄の場合には離乳食開始以降に気づかれることもあります。

検査・診断

基本的には、内視鏡検査と食道造影検査を行います。原因となる病気に特化した検査が追加されることもあります。

内視鏡検査

食道の内部を直接観察できる検査です。食道がん食道炎の診断には必須であり、治癒後の瘢痕を確認することもできます。食道裂孔ヘルニアが発見されることもあります。

食道がんが疑われる場合には、検査と同時に生検を行って確定診断をします。

食道造影

造影剤を飲んで食道の狭窄部分を造影する検査です。リアルタイムで狭窄部を観察、通過障害の程度を判定することができます。

食道内圧測定

食道アカラシア逆流性食道炎の検査です。

食道の蠕動運動やLESの圧、働きを調べる検査です。実施できる施設は限られており、食道アカラシアでは、内視鏡や食道造影検査のみで「疑い」と診断されるケースが多いですが、確定診断には必須の検査です。

また逆流性食道炎は内視鏡で診断可能な場合が多く、なかには粘膜に異常を生じないこともありますが、このようなケースでは食道狭窄を生じることは極めてまれです。

レントゲン検査・CT検査

これらの画像検査では、食道裂孔ヘルニアや他臓器の病変とそれによる食道の圧排を調べることができます。また食道がんでは、転移の有無を判定するのに必須の検査です。

治療

治療は原因となる病気によってそれぞれ異なります。

先天性

バルーンを用いた食道拡張術で改善することがほとんどです。しかし、高度な狭窄がある場合には手術によって狭窄部を切除したり、膜様構造の切開、肥厚した筋肉の切開が行われます。

後天性

食道アカラシア

軽症例では内服薬による治療が行われます。しかし、内服効果は一時的なものであるため、標準的にはバルーンで狭窄部を拡張する治療が行われます。バルーンで改善しない場合には手術で通過障害の改善と胃酸逆流防止が行われることがあります。

食道炎

逆流性食道炎ではプロトンポンプ阻害薬(PPI)を内服して炎症を予防します。また治癒後の瘢痕で物理的な狭窄が生じている場合には、バルーン拡張術を行うこともあります。

食道裂孔ヘルニア

逆流性食道炎の発症を防ぐためにPPIを内服することがあります。また、食道裂孔ヘルニアは肥満や喫煙などで起こることがあるため、生活習慣改善や減量指導が行われることもあります。

食べ物の通過障害がある場合には、食道裂孔の緩みを修復する手術が行われます。腹腔鏡手術によって行われることも多くなり、患者さんへの負担は軽減されています。

食道がん

早期の場合には内視鏡手術が行われ、内視鏡で取り切れない大きな病変では外科的手術が行われます。どちらも術後に放射線治療が行われることが多く、食道狭窄の原因ともなります。治療後に食道狭窄が生じた場合にはバルーンによる拡張術やステント留置が行われます。

他臓器病変の圧排

圧排の原因となっている他臓器病変の治療が必要です。

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