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【特集】関節リウマチの症状とは。朝、関節のこわばりを感じたら要注意

【特集】関節リウマチの症状とは。朝、関節のこわばりを感じたら要注意
井畑 淳 先生

国立病院機構横浜医療センター 臨床研究部長/膠原病・リウマチ内科部長

井畑 淳 先生

提供:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
初版公開日:2015/07/22

関節リウマチは、人体を守る免疫システムが誤動作を起こし、関節の滑膜を攻撃するようになって炎症や痛みを生じる病気です。積極的に治療を行わない場合、発症から2年以内に関節が破壊されることが分かっています。ここでは、生活を阻害する関節リウマチの症状や合併症について、国立病院機構横浜医療センター 経営担当院長特任補佐 膠原病・リウマチ内科部長の井畑淳先生に詳細を解説していただきます。

関節リウマチは、関節を覆う滑膜が免疫システムに攻撃され、炎症を起こすことによって起こる病気です。そのため、全般的な症状としてはこわばりや痛みなどが生じますが、関節リウマチの場合、初期症状から病状が進行した末期状態になるまで、症状は変化していきます。また病状の進行にともなってさまざまな合併症を生じることが一般的です。

関節リウマチのもっとも初期にみられる症状は「起床時の関節のこわばり」です。起床時に少なくとも1時間以上関節がこわばった感じが治まらない場合、関節リウマチの初期症状が起きている可能性が考えられます。

関節痛、関節の腫れなども起こります。
なお、関節の腫れや痛みは外傷や痛風などの代謝疾患でも起こります。これらの原因によって起こる症状と、関節リウマチによって起こる症状の違いは、関節リウマチの場合は左右対称・複数の関節に痛みや腫脹が起こることです。また、腫れている部分は外傷などとは違って柔らかいという特徴があります。

関節リウマチの患者さんのうち、90%以上の方が手足の指の関節に症状を訴え、膝・肘・肩・足首などにも痛みが出ます。そのなかでも特に上肢の関節に強く痛みが出る傾向があります。膝や足首に腫脹や熱感が起こることも珍しくありません。手の指の第1関節に症状が起きることはまれで、第2関節や指の付け根の関節に症状が出ることが多いのも特徴です。

また、まれにですが、手や指、手首の関節に腫れがみられないものの、足の指など下肢の関節にだけ腫れが生じている場合もあります。一般的に足は手よりも痛みを感じにくいことが多いといわれています。足に違和感を生じるときは、医師の診察時に、忘れずに申告することが大事です。

関節リウマチは、起床時の関節のこわばりからはじまり、やがて関節の炎症が進み、痛みや腫脹が起こる病気です。炎症が進むと滑膜が増殖し、関節本来の運動機能が徐々に損なわれます。
さらに病状が進行すると、関節内の軟骨と骨が破壊されます。また、骨粗しょう症を起こして骨がもろくなり、圧迫骨折などを引き起こす可能性も高くなります。

関節リウマチを発症した場合は、重たいものを持ったり、無理な運動を行ったりすることは好ましくありません。しかしながら、何も運動しないと筋力が低下するだけでなく、骨自体ももろくなってしまいます。主治医の指示にしたがって、筋力維持のトレーニングを図ったり、関節の可動域(関節が動く範囲)が狭くならないようなリハビリテーションを継続的に行ったりすることも重要です。

関節リウマチは、関節以外にも症状を引き起こすことがあります。具体的には「リウマトイド結節」とよばれる、皮膚の下にしこりを生じる症状がもっとも多くみられます。そのほかに末梢神経(まっしょうしんけい)の障害や潰瘍(かいよう)などの皮膚疾患、間質性肺炎もよくみられる症状です。

上記の中でも特に注意すべき合併症が、間質性肺炎です。間質性肺炎は肺の間質という部分に炎症や損傷が起こるもので、進行すると肺が硬くなり呼吸機能の低下をもたらします。自覚症状としては空咳(痰の絡まない咳)や日常動作程度の活動での息切れ、疲れやすさなどが挙げられますが、無症状の場合もあります。関節リウマチ患者さんのうち、症状を伴う間質性肺炎を発症する割合は7~29%程度とされています。間質性肺炎によって一度肺が壊れると、その部分を元の状態に戻すことは難しいため、呼吸機能が低下してしまいます。これこそが間質性肺炎が重篤な合併症といわれる理由です。一方で、関節リウマチのための定期的な通院・検査を継続していれば、間質性肺炎を早期発見できる可能性も十分にあります。また、早期発見をすることで肺の機能が大幅に低下する前に間質性肺炎の治療を開始することも可能です。そのため、やはり定期的な通院を欠かさずに行うこと、そして自身の体調に気を配ることが大切といえます。何か気になる症状があれば受診時に医師に相談してみましょう。

宮坂信之(編)『膠原病の肺合併症 診療マニュアル』医薬ジャーナル社,2012.
日本呼吸器学会・日本リウマチ学会(編) 『膠原病に伴う間質性肺疾患診断・治療指針2020』 メディカルレビュー社,2020.

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